第262話 冒険者ギルドに顔を出そう
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「ここがガーデンバール王国の王都ログリアにある冒険者ギルドね~」
やっぱりカランコロンと鳴った正面扉を開けて感想を呟く。
「バルバロイ王国に比べると少し小さめですわね」
俺の後ろについて来たフィレオンティーナも感想を呟いた。
俺とフィレオンティーナは二人だけでガーデンバール王国の王都ログリアにある冒険者ギルドにやって来たのだ。
ちなみに、この国の王都に到着後、そのまま宿泊先に向かうという予定だったので、冒険者ギルドに寄ってもらうことにした。ギルド建物の前に騎士団が列をつくり馬車を止めて、騎士たちも護衛ですとか言ってついて来ようとしたので追い返した。
「ヤーベ伯爵は国賓待遇なのですよ!」
と騎士団長のグラシアが言っていたが、どこの世界に騎士団引き連れて冒険者ギルドに顔を出す冒険者がいると言うのだ。ちなみにローガ達も予定の宿泊先ホテルまで先に行かせた。
「ボス!我々こそギルドの前で待ちます!」
とメチャメチャ尻尾を振ってお座りしていたが、邪魔だから!
30頭も狼牙族がお座りしていたら事案だから!
尻尾が萎れていたが、心を鬼にして騎士団や馬車と共にホテルに向かわせる。
挙句カッシーナ達も付いて来ようとしたが、どう考えてもフラグだから!そんなフラグいらないから!
「おお!テメエいいねーちゃん連れてるなー、ちょっとコッチ来て酌しろや!」
とか、
「オメエのようなヤツにゃ勿体ねーから俺たちがパーティに入れてやんよ!」
とか、そんなフラグ絶対いらないから!大事な事だから二度言っとく!
だけど、フィレオンティーナだけはガンとして随行を譲らなかったんだよね。
なんたって当人もAランク冒険者だしな。
ランクの高い冒険者は一応その国に入った際には冒険者ギルドに顔を出して所在を明らかにしておくよう言われているそうだ。
・・・そんな事王都グランドマスターのモーヴィンや勝手に?副グランドマスターに就任したゾリアから聞いたことないけど。
「それはそうと、どうしてガーデンバール王国の冒険者ギルド本部に?」
「ゾリアの奴がガーデンバール王国の冒険者ギルド本部グランドマスターであるレドリック殿に書簡を届けて欲しい、とかぬかしやがってね」
フィレオンティーナの疑問にそう答えて俺は懐からさも取り出したように亜空間圧縮収納から書簡を取り出す。
「まあ、そのような依頼を受けておられたのですね」
「ああ、だけど、国賓待遇で呼ばれて表敬訪問するって予定の奴に物頼むかねぇ、普通」
「普通は頼まないでしょうけどね。ゾリア殿は旦那様の事を気に入っておられますから」
「迷惑極まりないな。やはりゾリアだけはガーデンバール王国の土産無しだな」
俺はフィレオンティーナの方を向いてニヤッと笑いながら冒険者ギルドの入り口扉を押して中に入ったのだった。
「よーよー、ねーちゃんすげー美人だなぁ!俺達と一杯やんねーか!」
「違うことも一杯しちゃおーぜ!」
建物に入ってすぐ、建物の見ればむさ苦しい男4人組が酒を飲んでいたテーブルを立ってこちらへ向かって来た。
「・・・・・・」
俺は右手で両目を押さえ、天を仰ぐ。
「・・・・・・申し訳ありません」
ものすごくすまなさそうにフィレオンティーナが俺に謝る。
そりゃそうだ、カッシーナ達が一緒に行くと言い張っていたのを、こういったフラグが立つからやめようね、と懇切丁寧説明していたのだ。だがフィレオンティーナだけは自身が冒険者であるため、問題ないと突っぱねて俺について来ていた。
「そんなやさ男じゃ満足できねーだろ?」
「俺たちと一緒に呑もうぜ!」
「お断りします」
すげなく答えたフィレオンティーナに気色ばむ4人組。だが、
「いい加減にしてもらえますか!これ以上ギルド内で揉め事を起こすならランクダウンの検討も辞さないですからね!」
そう言って受付から出て来て両手を腰に当てて捲くし立てたのは受付嬢の一人だった。
「チッ!」
大人しく4人が元いたテーブルに座り直すのを見て受付嬢がこちらに声を掛けてきた。
「大変失礼いたしました。ガーデンバール王国冒険者ギルド本部受付嬢のレスと申します。それはそうと、どうかなさいましたでしょうか?依頼をお探しなら依頼ボードはあちらになりますが」
正面扉を入ってすぐのところでブツブツと喋っていたからだろうか、見れば受付嬢らしきレスと名乗った受付嬢は絡んできた4人組を追っ払うと俺に問いかけた。
時間ももうすぐ夕刻だからだろうか、それなりにギルド内は賑わいを見せている。絡まれて大変という親切もあるだろうが、込み合い始めたギルド内の入口で立ったままの俺達が邪魔というか、不審な感じを抱かせたか、そんな部分もありそうだ。
「まあ、依頼はまた機会があれば。実は俺たちはバルバロイ王国の冒険者ギルド本部からこちらのグランドマスターであるレドリック殿宛てに書簡を預かって来た。なんでも出来れば当人に直接手渡してもらいたい、との言付けもある」
ゾリアの奴、出来れば直接渡してくれ、なんて言ってやがったからな。ギルドに居れば絶対だぞ!とも言っていた。そんなに大事な手紙だろうか?
「ええ、グランドマスターに直接ですか・・・? グランドマスターには事前にアポイントがないとお会いできないのですが・・・」
そりゃそうだろうね。ここで、というか、この国の冒険者ギルドで一番偉い人だろうからね。俺が行けばホイホイ出て来るモーヴィンとゾリアがおかしいんだよな。
「どうかしたのかい?レス」
レスと呼ばれた受付嬢がびっくりして後ろを振り向くと、そこには緑を基調とした服に身を包んだ金髪の紳士が立っていた。
・・・見れば耳が長いですが?
「グ、グランドマスター。実はバルバロイ王国の冒険者ギルドより書簡を預かったという冒険者が来ているのですが、なんでも出来ればグランドマスターに直接書簡を手渡したいと・・・。事前にアポイントがないとお会いできないと説明したのですが」
「まあ、今は空いているから構わないよ。それで、誰からかな?」
「副グランドマスターのゾリア殿からになります」
そう言って俺は書簡を渡す。
「ああ、ゾリア殿から。珍しいね。確か彼はこの前バルバロイ王国冒険者ギルド本部の副グランドマスターに就任したのだったか」
そう言って受け取った書簡をぴらっと広げるレドリック。
おいおい、こんなところで広げるのかよ。大事な書簡だったらどうするんだ。あ、ゾリアからの書簡だから大したことないのかもな。
グランドマスターであるレドリック殿はゾリアからの手紙をその場で読み込んでいく
見れば一番偉いグランドマスターが受付カウンターの前にやってきて手紙を読んでいるのだ。珍しい光景なのか、ギルド内の冒険者や隣の酒場カウンターやテーブルで飲んでいる連中、受付嬢さえも固唾を飲んでその光景を見守っていた。
「フフッ」
手紙を読み終わったレドリック殿が笑う。どうしたのだろうか?
「読んでみますか?」
そう言ってレドリック殿がゾリアからの手紙を俺に渡してくる。
「・・・いいのですか?」
「ええ」
俺はレドリック殿から手紙を受け取り目を通した。
『おっす、レドリック元気か? ゾリアだ。
今お前に手紙を届けに来たヤーベってやつだが、超面白いぞ!
ウチじゃあ≪救国の英雄≫とか呼ばれてる王国の伯爵位だが、王女をも娶る女誑しだな。
だが、怒らせるのはよくねーぞ。なんせ竜を素手で殺す≪竜殺し≫でもあるからな?
使役獣の狼牙族とか、マジで国を亡ぼすレベルだからな? 怒らせるのはやめた方がいーぞ。
でもお人よしだからな。困ったことがあったら全部ヤーベに押し付ければ何とかなるぞ。
一応バルバロイ王国冒険者ギルドではSランク認定にしてあるからな。
後、ヤーベにお土産買ってくるように伝えておいてくれ。じゃーな』
「クソがっ!」
俺は某女芸人の如く口汚く罵ると手紙を丸めて床に叩きつけた。
「だ、旦那様一体何が!?」
普段激昂しない俺の豹変にフィレオンティーナが焦る。
「はっはっは、貴方を怒らせない方がいいと書いておきながら、貴方を怒らせているゾリア殿には困ったものですな。Sランク冒険者でバルバロイ王国の伯爵位を頂く、ヤーベ・フォン・スライム伯爵殿?」
爽やかな笑顔で俺のフルネームを口にするグランドマスターのレドリック。
一応ガーデンバール王国にも俺の情報は来てたのね。
「「「「えええええっ!?」」」」
「・・・Sランク冒険者ァ!?」
「は、初めて見た・・・」
「は、伯爵様・・・」
冒険者ギルド内が騒然となる。
あーあ、これでお忍びでクエスト受けに来ようかななんて、冒険者チックなイベント考えていたけど、パーだな。
俺は肩を落とし、深いため息をついた。
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ドラゴンリバース 竜・王・転・生
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魔王様にテンセイ!
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