閑話46 留守番ズの華麗なるティータイム~ 新戦力を調査せよ!の巻
何とか間に合いました・・・
「ふう、美味しいアッポーティですわ」
「お気に召して頂き光栄です」
ルシーナはティーカップをソーサーに戻しながらメイド長のリンダを見る。
最近はヤーベに傷を治されたり、お給料がたくさんもらえたりと嬉しい事が多いスライム伯爵邸のメイド陣は笑顔を見せる者が多い中、このメイド長であるリンダだけは無表情で仕事をしている事が多く、笑った顔は見たことが無かった。
だが、仕事は途轍もなく出来る人間であり、文句の付け処はない。
「でへへへへ・・・」
お茶を飲みながらも自分の左手の薬指を見てはデレデレと破顔しだらしなく笑うサリーナ。
「サリーナさん? 嬉しいからってちょっと気を抜き過ぎでは?」
結婚の儀の後、古参のメンバーはヤーベからスライム細胞で出来たリングを受け取っていた。リーナだけはリングではなくブレスレットであったが、「ふおおっ!おっきいのでしゅ!」と大喜びであった。結婚の儀当日に知ったアナスタシアとロザリーナの分はまだなかったのだが。
ルシーナに苦言を呈され、サリーナはテーブルより上半身を起こして、ティーカップのお茶を一口飲んだ。
「このアッポーティってリゴンの実の香りがするね」
「リゴンの実の事を一部地域でアッポーと呼ぶのですよ。その地域で作られたお茶ですので、アッポーティと呼びます」
同じくお茶を飲んだサリーナが疑問を口にすると、リンダが説明してくれた。
「ふみゅう、美味しいのでしゅ!」
リーナも喜んでお茶を飲んでいる。
ちなみに、ジョージとジンベーの神獣コンビはうららかな午後の一時を昼寝に当てている。
日の光が入るヤーベの寝室のベッドの上でグースカ寝ていた。
「それにしてもヒマだね~、ヤーベさんがいないとつまんないよ~。なんでジャンケン負けるかなぁ」
行儀悪くテーブルにぐで~っと突っ伏すサリーナ。
その様子をちらりと横目で見ながら、お茶請けとティーポットを置いてリンダは部屋を退出した。
「寂しいのは同感ですが、私たちにはやることがありましてよ?」
リンダが退出した後、三人になったルシーナが二人を見ながら言った。
ルシーナの「やること」にサリーナとリーナが顔を向ける。
「新戦力のチェックです!」
ゴンゴン。
派手にノックされたかと思うと、返事も待たずにガチャリとドアが開けられる。
「おーい、ルシーナ。新しい人たちの部屋割り説明が終わったから連れてきたぞ」
無造作に入って来たのはメイド服姿のチェーダであった。
普段は外回りの警備担当が多いチェーダが内勤のメイド服姿なのは珍しいのだが、月の担当で数日は回って来るのだ。
バシン!
「あいたっ!」
「チェーダいい加減になさい!奥様達への礼儀がなってなさすぎでしょ!」
持っていた書類の束でチェーダの後頭部を殴ったのは秘書のパナメーラであった。
「大体妾希望の貴女が、奥様を呼び捨てにするって、貴女妾の立場わかってるの!?」
カンカンに怒ってチェーダを叱るパナメーラ。後頭部を殴られて涙目になっているチェーダはさらに委縮する。
「大変申し訳ありません、ルシーナ奥様」
丁寧に頭を下げるパナメーラ。チェーダも頭を擦りながら謝る。
「まあ、チェーダは来た時からそんな感じでしたから、あまり気にしてませんけどね。来客がある時だけ気を付けてくれればいいですわ」
「来客がある時はチェーダを倉庫に閉じ込めて出さないように致します」
「ヒデェ!」
ドスッ!
文句を言うチェーダに肘鉄を喰らわすパナメーラ。
「それで、お部屋での荷解きは終わったの?」
「ああ・・・いえ、ええ。終わりましたので案内致しましたです」
「ああ、もう・・・」
チェーダのメチャメチャな敬語に頭を抱えるパナメーラ。
「ふふふ、入ってもらって?」
ルシーナが椅子に座り直してちょっとばかし優雅な姿勢を作りながら促した。
「ああ、いや、はい。コッチに入ってくれ・・・下さい」
横でパナメーラがゲンコツを握り締めてプルプルしているが、ルシーナはそっと目を逸らす。
「皆さんお待たせしました~」
優雅なドレスで笑顔を見せたのはグランスィード帝国の女帝ノーワロディの母親であるアナスタシアであった。新たにヤーベの奥さんズに加入したニューフェイスである。
「な、なんたる・・・」
サリーナが一点を凝視して言葉を失う。
ぴょんぴょんと飛び跳ねる様に部屋に入って来たアナスタシアの爆乳・・・イヤ、魔乳が大きく揺れていた。
「敵影発見!調査に当たります!」
そう言ってサリーナはアナスタシアにトツゲキするといきなり胸を揉んだ。
「キャッ!」
「おっきー上に素晴らしく柔らかいよ!脅威(胸囲?)指数は100を越えてるよ!」
アナスタシアの大きな胸をモミモミしながらサリーナがルシーナに報告する。
「ふおおっ!お尻もおっきーのでしゅ!やわやわなのでしゅ!」
「いやん!」
リーナも何故かアナスタシアの背後からお尻に抱きついていた。
「由々しき事態です・・・。ヤーベ様がその魔乳や魔尻に捕らわれて現世に帰って来られないような事が無いように気を付けなければ・・・」
「ええっ!? どういうことなんですの?」
訳も分からず胸を揉まれて困惑するアナスタシア。
後、魔族だからと言って自分の乳や尻に魔を付けなくてもいいのでは・・・とアナスタシアは思った。
そこへ次のニューフェイスも入って来る。
「改めてご挨拶させて頂く。ロザリーナ・ドラン・ドラゴニアと申す。先輩方と協力してヤーベ殿を支えていく所存。よろしくお頼み申します」
堅苦しい挨拶を決めたのはロザリーナ・ドラン・ドラゴニア。ドラゴニア王国国王バーゼルの妹である。
「いや、何で屋敷の中で鎧着て槍を持っているのです?」
呆れ気味にルシーナが問いかける。
「我の役目は護衛と認識しております。奥方様方の末席に座らせて頂けるとはいえ、我の役割はキチンと果たす所存!」
気合いを入れた挨拶に顔を引きつらせるルシーナ。
「えーい!調査調査―!」
そう言ってロザリーナの後ろに回ったサリーナが皮鎧の隙間からロザリーナのおっぱいを揉む。
「むうっ!ここにも隠れ巨乳が!敵影発見!脅威(胸囲?)指数90!」
「ひゃわっ!ちょ、ちょっと!」
急におっぱいを揉まれたロザリーナが慌てふためく。
「ふおおっ!つるつるの尻尾が気持ちいいのでしゅ!」
何故かロザリーナの背後に回って尻尾に抱きつくリーナ。
「おほほっ!尻尾は!尻尾はだめなのら!」
言葉尻が怪しくなるロザリーナ。事案が発生しそうである。
「むむっ!またも脅威(胸囲?)の新戦力が・・・それにリーナさん、尻尾がつるつるとは素晴らしい情報です!ヤーベ様に気を付ける様に言わないと」
「ええっ!私の胸と尻尾の何を気を付けろというのですか!?」
ルシーナの言葉に焦るロザリーナ。
今まで男性経験はおろか、一度も男性と付き合ったことなどないロザリーナはルシーナの言葉に慌てふためく。まだ会ってゆっくりと話も出来ていない自分の夫にいきなり嫌われるのは避けたかった。
「とにかく、屋敷内は槍を持ち歩かないでくださいね。チェーダ、武器預かっておいてちょうだい」
「了解」
「あ。この槍は我がドラゴニア王国の至宝で・・・」
だが、最後まで説明することも出来ず槍を片付けられてしまうロザリーナ。
「さ、これからティータイムの続きですわ。美味しいお茶を飲みながら旦那様への接し方をレクチャーいたしますわ」
ルシーナがニコリと微笑みながら着座するように言う。
その後、ヤーベの普段の様子から、一緒にお風呂に入る時の話、一緒に寝室に突撃する時の話などをしながら、留守番メンバーは新たに奥さんズに加わったメンバーと楽しい時間を過ごすのであった。
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