第255話 目玉商品をドドーンとディスプレイしよう
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昨日はアローベ商会のオープン初日だったのだが、ありがたい事に大盛況だったな。尤も宝くじ効果があった事は否めないからな。今日からは堅実に商売だ。
「キュキュ――――!」
「ズゴズゴ――――!」
俺の頭の上に鎮座する神獣のジョージとジンベーもそうだそうだ、気を引き締めろと鳴いているようだ。
「ふふふ、主殿は商才もあると見える。これは生活にも困らぬのじゃ。よい夫を見つけたと言えるのじゃ」
隣ではものすごくドヤ顔でミーティアが両腕を組んでふんぞり返っている。
なぜそんなに偉そうにしているのだろうか?
「あ、オーナー!おはようございます!」
元気よく挨拶してきたのは、先日面接で採用を決めた店長候補生のジェフ・フォン・ウィリアーム君だ。本人の履歴説明を聞くと、辺境の男爵領の三男らしい。どう頑張っても貴族としてやっていけないので商人として勉強したいとの事だった。
俺のところでなんの勉強が出来るかわからんが、イケメン君で誠実そうな青年だったので採用した。切れのある動きのサウスポーだ。ちなみに俺の事は会頭でもなく大旦那でもなく、オーナーと呼ぶように教育した。オーナー・・・いい響きだ。まるでプロ野球のオーナーにでもなったような・・・んなわきゃないか。ジェフ君は見習いだが、実際の店長や会計担当はスペリオル商会から出向してもらっている。
全面的に協力してもらってもよかったのだが、あまりにべったりでも他の商会からの妬み嫉みが生まれやすくなってしまう。そんなわけで、俺もアローベ商会として何名かスタッフを募集、面接を行った。
・・・メッチャ来た。俺がアローベ商会のオーナーだとバレたらしく、プレオープンでカソの村の野菜やハチミツを取り扱ったのも拍車をかけたらしい。
スペルシオ商会の会頭、アンソニーさん達にも手伝ってもらって、やっとこ三十名くらいに絞り込んで雇う事が出来た。なんせ千人以上募集来たしな・・・。
「オーナー!今日からこの目玉商品を展示するんですよね?」
その中でも期待の星であるジェフ君が元気よく問いかけてくる。
「ああ、ディスプレイ頼むぞ」
「ディスプレイ?」
「ああ、目立つところにカッコよく並べてくれってことだ」
「わかりました!」
そう言ってジェフ君は鎧を着せられた人形を運んでくる。
「この辺でしょうか」
「そうだね、お店に入ってすぐ目にはいるから、よく目立つね」
そう言って俺はその人形を見つめる。
その人形に着させている鎧は黄金に輝いている。そう、三頭黄金竜の鱗を用いて作られた鎧だ。ドワーフの腕利きゴルディン師に素材を渡したところ、喜び勇んで取り組んでくれた。雷竜と三頭黄金竜をまるまる解体に出したからな。解体や鎧、盾、兜、槍、その他バッグなどの製作費用についてはドラゴンの牙と鱗をちょっと分けてくれればいいわい、とのことだった。ちょっとって、どれくらいなんだろ?
「えーと、商品は三頭黄金竜の鎧、三頭黄金竜の盾、三頭黄金竜の兜、三頭黄金竜の槍・・・、それにしてもすごい品ぞろえですね。これ全部装備したら眩しくて見えなくなっちゃうかもしれませんね」
「そりゃ面白いな」
ジェフ君の冗談に俺は乗っかる。
ワーレンハイド国王とかがコレを全部装備して堂々と出て来たら、逆に笑うかもしれんな。
これが一組しか出来ないくらいの量の鱗しかないのならば、王家に献上してもいいのだが、死ぬほどあるからなぁ・・・鱗。なんせ首三本と巨大な体が丸々あるからな。その気になれば鎧も盾も相当数製作が可能だ。
一応オーダー制にして、注文を受けてから採寸を行い、その人に合わせた鎧を製作する。尤もツルシでOKという王都旅行者や冒険者もいるだろうし、多少の作り込みはしてあり、微調整で着られる人は持ち帰りも可能としている。
「あ、王城に納品する雷の槍五百本は倉庫から荷馬車に積み込んでおいてね」
「了解です!」
雷竜の牙から作った雷の槍は雷属性を持つ槍になった。ものすごく強力だった。ゲルドンのハルバートの先にも取り付けて強化をしてある。
最近一緒に出掛けないゲルドンだが、午前中は王城へ出向いて騎士団とトレーニングをしている。ほとんど模擬戦らしいけど。
「ヤーベ殿、呼んだだか?オラ来たで」
そのゲルドンがアローベ商会一号店にやって来た。
「すまんね、呼び出して。今日はバイト代弾むから、一日よろしく頼むよ」
「頼むって・・・何をだべ?」
「この鎧と兜と盾と槍を持ってお店に立ってるの」
そう言って三頭黄金竜シリーズの武具を指さす。
「こ、この金ピカの武器や鎧を着るだか!? オラが今着ている真っ赤の鎧よりハデだで!?」
「そう、コレ着て一日中立ってて。来客にアピールしてね」
「ゆるキャラの着ぐるみ張りに厳しいだで!」
「何を言う、着ぐるみよりは暑くないぞ」
「殺生だて!」
文句を言うゲルドンを店の奥に押し込んで着替えさせる。
やがて、全身を三頭黄金竜シリーズの武具でまとめたゲルドンが出てきた。
「おお、似合っているな、ゲルドン」
「いや、確かにすごい魔力を感じるだども・・・」
元来内向的な性格のゲルドンだ。ド派手な格好が落ち着かないのだろう。
「まあ、もう時間になるし、店を開けるとしよう」
「えー!」
未だに文句を垂れるゲルドンを無視して店をオープンする。
途端に店舗に客がなだれ込む。
我先にといろいろ買い込もうとする客が多い中、何とタルバリ伯爵が来店した。
「ヤーベ卿!ついに出たのだな!これがそうか!」
ディスプレイの三頭黄金竜シリーズの武具に食いついているタルバリ伯爵。
「着込むとこんな感じですよ」
そう言って店の端っこに避難していたゲルドンを引っ張って来る。
「おおー、いいじゃないか!ぜひ購入したい!」
「お値段は・・・」
「うおっ!それはちょっと・・・もう少し何とかならんか?」
「まあ、タルバリ伯爵との仲ですからね~」
奥さん同士が姉妹だしね。
「三頭黄金竜のハンドバッグもお付けして、このお値段で」
「よっしゃ!買った!」
「毎度あり~、奥でドワーフの職人たちによる採寸チェックがありますから、どうぞ奥へ」
「よろしく頼む」
そう言ってウキウキと奥の部屋に向かうタルバリ伯爵。
早々にクソ高い高級品の三頭黄金竜シリーズが売れてしまった。恐るべきドラゴン効果。
次々と商人や貴族の使いがやって来ては買い物をしていく。品出しに雇ったスタッフたちも天手古舞の状況だ。
そう言えば、ワーレンハイド国王に三頭黄金竜のハンドバッグの第一号を予約して貰ったんだったな。それくらいは王家に献上するか。リヴァンダ王妃も喜んでくれるだろう。
そう思っていたら、店の前にひと際豪華な馬車が止まる。
「んん?」
何だがデジャビュだ。
豪華な馬車からは帽子を深々と被り、黒い髭がもじゃもじゃした男が降りてきた。
髭面の男はキョロキョロ店の中を見まわして、三頭黄金竜シリーズの武具が飾ってある人形を食い入るように見つめる。
「・・・ワーレンハイド国王様、一体何をしているんです?」
俺は謎のひげもじゃ男の肩を手で掴む。
「うおうっ!ヤーベ卿、後生だ!見逃してくれ!ワシだってどうしても三頭黄金竜シリーズの武具が欲しいのだ!」
「いや、だからって国王様が町でフラフラしちゃダメでしょ」
やっぱりすぐに王国騎士団が馬で駆け付けて来る。
「国王様!勝手に城を抜けられては困ります!」
「後生じゃ~~~!」
ワーレンハイド国王が何か喚いているが、結局騎士たちに連れて帰られた。デジャビュだ。
仕方ない。ワーレンハイド国王へ三頭黄金竜シリーズの武具を献上するとしよう。来賓室にでも一式飾ってもらえるように整えるとしよう。
・・・リヴァンダ王妃のためのハンドバッグも忘れずに届ける事にしよう。
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