閑話36 原初の女帝 ノーワロディ・ルアブ・グランスィード
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2019/5/21 誤記修正しました。ご指摘ありがとうございます。
「くふふふ・・・・、くふふふふふふ・・・・・」
女は玉座に優雅に座っていた。美しい足を組み、玉座のひじ掛けに右ひじを乗せ、自分の顎を支えていた。
薄い水色のドレスに身を包んだその女性は虚空を見つめながら笑みを浮かべていた。
珍しい漆黒の髪に交じって前髪の一部は赤く染まっている。艶のある黒い髪は母親譲りだろうが、赤い髪は父親の影響であるらしかった。
「なんておバカさんなのでしょう・・・。高々クズを一人王妃として送っただけなのに、完全にこちらを信用するなんて・・・くふふふ」
女は玉座に座ったまま愉悦の表情を浮かべていた。
この女こそ、グランスィード帝国初の女帝、ノーワロディ・ルアブ・グランスィードその人である。
元々グランスィード帝国は男尊女卑の国であり、帝王に全ての権力が集まる典型的な独裁国家であった。ノーワロディが女帝に就く前はその父親である、ガンダレス・ローマン・グランスィードが帝王の座についていた。
当時ノーワロディは妾の娘として生まれた。
正妻の子供は王子が二人、王女が一人。妾は多くいたが、ガンダレス自身に生殖能力の衰えがあったのか、あまり子供には恵まれなかったようだ。また、メイドなどにも手を出していたようだが、子供はいない様だった。
妾の中でもノーワロディの母親は特別な存在だった。
母親は「魔族」と呼ばれる存在で、人族を凌駕するほどの魔力と美しさを誇っていた。通常であればガンダレスなどの妾になっているはずのない人物であった。だが、卑劣なガンダレスの策略により、隷属の首輪をつけられ、幽閉されてしまったのだった。
ガンダレスは正妻や他の妾などに比べて、ノーワロディの母親に異常なまでの執着心を見せた。そうして生まれたのがノーワロディであった。
物心付くころから母親は父親のガンダレスに暴力を受けては穢される毎日を繰り返していた。そんな日常を見続ければノーワロディが自分の父親を憎むようになることなど当たり前のことだった。
ガンダレスはノーワロディにも暴力を振るった。正妻の子供たちも半人半魔のノーワロディを汚らわしい存在として扱った。
そのころには自身の母親の体調が崩れ、寝込む日々が多くなっていった。
ノーワロディはいつしかガンダレスや自分以外の一族を排除する事を考えるようになっていった。
そして、その時は意外と早く訪れる。
国民を顧みず自分たちの栄華のみを追求したガンダレスに牙を剥く者達が現れたのだ。
ノーワロディはその時十四歳。魔族である母親の血を色濃く受け継いだのか、内包魔力は通常の人間を大きく凌駕しており、魔術師としての力は宮廷魔術師たちを遥かに凌ぐ力を有していた。レジスタンスの主力メンバーはそんなノーワロディの力に希望を見出し、神輿を担ぐことを決める。ノーワロディはそんなレジスタンスの思惑を利用し、レジスタンスのメンバーを集め、自分の父親たちを打倒する準備を整えたのである。
立ち上がったノーワロディは迅速かつ苛烈に行動した。
ガンダレスを筆頭とする一族郎党について国民を蔑ろにする反逆者と断罪。
ガンダレスの寝所を急襲すると、捕獲した翌々日に国民の前で斬首とした。
正妻は元より二人の息子や親戚一同、悉く斬首として、国民に陳謝、国庫をある程度解放し、国民のための政治を行っていくとノーワロディは告げたのだった。
ノーワロディは帝国で初めて女帝として王位につくと、「ローマン」の家名を廃止、新たに「ルアブ」の家名を興して襲名した。
ガンダレスの血脈は自分以外では王女だったサーレンのみその命を救い、幽閉していた。別途他国への政略結婚に利用するためであった。
ノーワロディは女帝としてグランスィード帝国のトップに立つと、レジスタンスのメンバーの中でも特に優秀なものを主要のポストに就け、その政治を掌握した。
それからわずか二年。グランスィード帝国は国力を回復し、国民の生活は飛躍的に向上した。
そして軍備においても精強な軍隊を持つに至った。
そして、ノーワロディは毒を打つ。
ドラゴニア王国の若きバーゼル国王が閉塞感の打破を狙っている情報を掴むと、サーレンを王妃に娶る様政治交渉を仕掛けた。
ドラゴニア王国としてはグランスィード帝国と誼を結ぶことは帝国の後ろ盾を得ることに等しく、肥沃で広大な国土を誇りながらも平和が続くバルバロイ王国を侵略する足掛かりとして申し分ない申し出であった。
婚姻はすぐにまとまり、ドラゴニア王国では盛大な結婚式が開かれたのだが、ドラゴニア王国にとって完全に誤算だったのは、王女サーレンが女帝ノーワロディにとって歯牙にもかけない存在であったことだった。
ドラゴニア王国はバルバロイ王国に宣戦布告し、ほぼ全軍をもって侵攻を始めた。ほぼノーワロディの思惑通りに。
そして、ノーワロディは自国の精鋭騎士団をドラゴニア王国王都向けて進軍させた。
もちろん、空の王都を簒奪するためである。
「くふふふ・・・・、王族はみ~んな捕らえちゃっていいわよぉ。一般市民には出来るだけ被害を出さないようにね。特に第二師団の「狂犬」はちゃんと手綱を握っておいてよね~」
ドラゴニア王国王都簒奪の総指揮を任された大元帥ゴルゴダ・ヤーンはノーワロディからそんな言葉を貰って出立した。
女帝ノーワロディがクギを刺した「狂犬」の二つ名を持つ将軍、ヤンバルカーン率いる第二師団は戦場下において一般人を蔑ろにすることが多く、無意味に殺したり女性を乱暴したりすることが勝者の特権であるかの如く振る舞う危険な集団であった。
ノーワロディはドラゴニア王国の王都を血の海に沈めるつもりはないのだ。それでは生産性が保てない。
「戦争だから思い通りに行くとは限らないけど・・・まあ、精々踊って頂戴な」
蠱惑的な笑みを浮かべてノーワロディは虚空を見つめるのだった。
ついにこんにちは~してしまいました、怪しいヤツ!
今後、どう絡んできますかね~。
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