第182話 明日の準備の前にお邪魔虫を片付けよう
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キ―――――ンと音がするほどの速度で王都へ向かっている。
そう言えば王都を出る時も街門を通らずに空飛んで行ったな。今後はちゃんとルールを・・・ちょっと待てよ? 超高速で移動していろんな町で冒険者ギルドプレートを出しまくったら、逆にマズイのか? スライム伯爵の貴族証でも同じことだな。あまりに短時間で長距離を移動していると、変に勘繰られるかもしれん。ウン、街門での受付はしないようにしよう!並ぶのが面倒臭い訳ではないぞ? 我が能力を危険と判断されると困るからだ。決して並ぶのが面倒臭いからではない。大事な事だから二度言おう。
それにしても、<迷宮>が十階層程度で助かった。それに左右奥行きともに感覚としてはそれほど大規模な感じではなかったな。小ぶりな<迷宮>でよかったよ。百階層とかだったら目も当てられないな。こんなに短時間で攻略は出来なかっただろうしね。
いかん、すっかり日が暮れてしまったな。
確か喫茶<水晶の庭>の夜の営業は休んで明日の用意を進めているはずだ。リューナちゃんに指示した練習はどれくらいの成果をあげているだろうか?
昼の営業だけでも昨日予選をトップ通過したホットケーキを是非食べたいと客が殺到しただろうしな。フィレオンティーナ達が活躍してくれているといいが。
・・・ウン、大会が終わったら慰労会を開こう。別にヤマシイ事なんてないけれども。
「あれ? ナニコレ?」
喫茶<水晶の庭>の入口に降り立った俺は首を傾げる。
めちゃめちゃ高級な馬車が何台も並んでいる。御者たちはいるが、中には人が乗っていないのか? それにしても、何台あるんだ、この馬車?
俺は喫茶<水晶の庭>の入口扉を開けて中に入った。
「ただいまー」
俺は右手を軽く上げて挨拶したのだが。
「ウムッ! ウマイッ!」
「素晴らしい食感ですわ!」
「確かにこれは美味しいですね!」
「しっとりと甘くて、やめられません!止まりません!」
「これほどの物とはのう・・・レシピを聞いてウチでも出来ぬかのぅ」
ステーン!
俺はぶっ転んだ。何してんのこの人たち!
でもってカッシーナよ、お前はどこかのえびせんでも食べているのか?
「ああ~、ヤーベさんお帰りなさい~助けてくださいよぅ~」
リューナが涙目になりながらホットケーキを焼いている。隣でフィレオンティーナもせっせとホットケーキを焼いている。奥のソファーには燃え尽きたであろうイリーナ、ルシーナ、サリーナ、そして一番上にリーナが積み上げられている。なぜかここは戦場だった!
「国王様! 一体ここで何をやってるんです!」
俺は中央テーブルのど真ん中に陣取ってホットケーキをパクついているワーレンハイド国王に文句を浴びせた。見れば横にはリヴァンダ王妃に、カッシーナ。反対には・・・どこのイケメンだ?もしかしてこの人がカルセル王太子?
「おおスライム伯爵! ホットケーキとやらはすさまじく美味だな。金を払うからぜひ王城の料理人たちにも指導してやってくれないかね?」
「私からもお願い致しますわ!」
「リヴァンダ王妃! 一体何枚のホットケーキを積み重ねているんです!」
リヴァンダ王妃の目の前には七段重ねのホットケーキが鎮座していた。
「王妃様、それお代わり三回目ですからね~!」
涙目のリューナが告げ口する。
「ちょ! リューナちゃんそれは言わない約束で・・・」
「何が言わない約束ですか!」
俺は両手を振り上げて抗議する。
「いや、ヤーベ卿。本当にウマイですよ、このホットケーキというやつは。温かいスイーツとはまた珍しいですね」
「それはどうも・・・って、初めましてですよね?カルセル王太子様。謁見の時も一度もお顔を拝見しておりませんでしたが?」
「なに、結構暗殺者に狙われることが多いのでね、最近は少し落ち着くまで引きこもっていたんだけど、まさかカッシーナがヒキコモリから脱却して嫁に行くとはね」
「さらっと聞いたら話が重かった!」
「カッシーナも降嫁すると、私しか王の地位を引き継ぐものがいなくなるからね・・・、でもヤーベ卿のおかげで面倒な公爵の一つは潰れて、一つは引きこもったから、大変ありがたいよ」
結構爽やかな笑顔で毒吐くな。初めて会ったけど、思ったよりしっかりした人かもな。
「もきゅ、もきゅ、もゅきゅきゅ! もぐもぐ!」
見ればカッシーナが右手も左手もフォークを持ち、それぞれの手でホットケーキを突き刺して頬張って食べている。カッシーナのほっぺたはパンパンだ!
「カッシーナよ!お前はリスか?リスなのか!?」
「もきゅ?」
「もきゅ?じゃねー!!」
俺は激怒した。頭から煙がドッカンだ。
「可愛く言ってもダメだから! どんだけホットケーキ食べてるの! 大体貴女明日も決勝戦の審査員でしょー! お腹一杯になっても知らないよー! だいたい決勝参加者のお店来ちゃダメでしょー!」
「テヘペロ♡」
「誰だ!カッシーナに碌でもない事教えたヤツ! 表出ろ!」
俺は地団太を踏みながらキィー!と暴れる。
「それはそうとヤーベ様、今お兄様を仕留めれば、私を妻とするヤーベ様が王位の座に!」
「おいおい、兄に連れないじゃないか」
「私の細胞の一片までその全てがヤーベ様のためにありますの」
何をドヤ顔で言っちゃってるのかな? カッシーナさん!
後、連れない程度で済むのか、カルセル王太子よ。
「いらないから! 王の座なんてノーセンキューだから! そんなメンドクサイのいらないから! からの~、も無くて! マジで王様なんてメンドクサイ立場お・こ・と・わ・りですからー!」
「メンドクサイって二回も言われたよ・・・」
「まあまあ、面倒なのは事実ですから・・・」
あ、ワーレンハイド国王が落ち込んだのでリヴァンダ王妃が慰めている。
悪いことしたかな。お詫びのスイーツは決勝戦後だな。
「まあまあ、ヤーベ卿、あんまり暴れると血管切れるぞ?」
見ればキルエ侯爵もいるじゃないか。優雅にコーヒー飲んでるようで、実は手元にホットケーキの皿持ってますよね!
ていうか、キルエ、エルサーパ、ドルミア、フレアルトの4大侯爵家勢ぞろいですけど!? フレアルト侯爵は明日の決勝戦もカッシーナと同じ審査員でしょーに!
そして何気に一番奥でそっと食べてるの、ドライセン公爵じゃね!?
「偉い人来過ぎなんですけど――――!!」
国王以下偉い人たちを追い返すのにだいぶエネルギーを費やすことになった。
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