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第164話 新しい家名を発表しよう


「ヤーベ伯爵の家名について発表致します」


カッシーナ王女がよく通る声で話し出す。


あ、俺の家名の話ね。

てっきり結婚式はいつにします、とか王家の都合の話をぶち上げられるのかと思ったよ。


「ヤーベ伯爵の家名は、『スライム』となります。ヤーベ・フォン・スライム伯爵です! 今後はヤーベ卿の家名、スライム伯爵にて王宮の各行事をご案内する事となります」


「ス、スライム伯爵・・・」

「家名がスライム・・・」

「スライムって響き、イマイチじゃないか・・・?」


スライムという家名発表にざわつく一同。結構不評だ。


俺は昨日の夜の奥さんズ会議を思い出す。




昨夜―――――


「明日ヤーベの家名を伝えないといけない?」


「ああ、最初は二週間くらい考える時間をくれるって言ってたのに、伯爵になるから、もう家名を決めないといけないと言われてね」


イリーナが首を傾げながら聞いて来たので、俺はその理由を答えた。

家名って、あれだろ? ローエング〇ムとか、そーいうヤツ。カッコイイの考えないとな。

そーいや、意識を取り戻して一番最初にしてたことは、名前を考える事だったな。なんだっけ? 豪蔵院屯田丸だっけ? あれ、元ネタどこから引っ張り出してきたんだ?


「ヤーベは伯爵になるんだろ? ならルーベンゲルグでいいじゃないか。ちょうど伯爵だぞ?」


「そういうわけにはいかないだろ。お前の親父さんの家じゃないか。兄さんが継ぐんだろ?」


「それに、ヤーベ様は新しく家を興されたわけですから。ルーベンゲルグでもコルーナでもダメですよ。新しい家名でないと」


イリーナの自分の家の名を使うアイデアを全否定するルシーナ。


「旦那様はスローライフを求めておられるのですから、スローライフ伯爵はどうですか?」


「いや、そのままだし・・・。全然スローライフ出来てないから恥ずかしいよ。ぷぷぷっ、アイツスローライフって家名なのに全然スローライフ出来てねーぜって」


「そうですか・・・」


フィレオンティーナの『スローライフ』を却下する。


「なら、『アルケミー』はどうですか? 錬金術って意味ですよ!」


サリーナが嬉しそうに解説してくれるが、俺、錬金術出来ないし。


「それもないかな・・・」


「ですよね~」


スライム的狙撃(スライフル)>で使用する弾丸とかたくさん鉄のインゴッドから作ってもらっているけど、アルケミーはないわな。


「ふおおっ!ではでは、サイキョーご主人しゃま!でどうでしゅか!」


「いや、リーナ。なにがどうなのかまったくわからないけど・・・」


とりあえずリーナの頭を撫でてやる。

ご機嫌になるリーナ。抱きついて来て顔を俺の胸にグリグリと押し付けて来る。


「で、ヤーベには腹案は無いのか?」


腕組みしながらイリーナが俺に尋ねる。


「実は二つあるんだ。どちらかにしようと思ってる」


「なんだ、アイデアがあるのか」


「どんな家名ですか?ぜひ教えてください!」


「そうですわね、その家名を名乗らなければなりませんからね」


イリーナは落ち着いたようだが、逆にルシーナは前のめりに興奮している。フィレオンティーナはもう名乗る気満々だ。


「一つは『ヤーベ』を家名にして、俺が自分の名である『ヒロキ』を名乗るパターンだな」


「ヒロキ・フォン・ヤーベ伯爵、ということか?」


イリーナの確認に俺は頷く。


「旦那様はヒロキ様・・・お名前、悪くありませんわ・・・」


呟くようにフィレオンティーナが俺の名を口にする。照れるな。


「だが、今までヤーベヤーベと多くの方がヤーベの名を呼んでいる。その名を家名にするのは些か違和感があるが・・・」


イリーナが腕組みをしたまま眉を顰める。


「そうですね・・・、妻となる私たちも、大きなくくりではヤーベ伯爵夫人となります。我々もヤーベ家を名乗るわけですからね」


ルシーナが家名を解説してくれる。


「どうせヤーベは今までの友達や仲間にヤーベと今まで通り呼んで欲しいだろう? そのためには家名にヤーベを使わずにいた方がいいぞ。ヤーベを家名にしてしまうと、ヤーベ伯爵と貴族呼びに拍車がかかるだろう」


「確かにそれは嫌だな」


「もう一つの案はどんなものですか?」


サリーナが俺に腹案のもう一つを催促する。


「『スライム』だ。スライム伯爵」


「・・・ヤーベ・フォン・スライム伯爵・・・」


イリーナが心に刻むように呟く。


「スライム・・・ですか?」


ルシーナが首を傾げる。スライムという名にピンと来ないのだろう。


「スライムは俺の粘体の体を指す言葉なんだ。種族・・・と言い変えてもいいかもしれない。だけど、この世界ではスライムという魔物を聞いたことがないという人ばかりだ。ならば、名前に使ってもいいかなと思ってね」


「旦那様はスライム・・・、なんとなく可愛いですわね、スライム伯爵」


フィレオンティーナが俺を見ながら頬に手を当てて目を潤ませる。


「確かに、スライム伯爵って、語呂が可愛いですね!」


ルシーナも賛成してくれるようだ。

そうなんだ、実際、誰もスライムって言ってくれないから、自分で名乗ろうかなってさ。

まあ、誰も言ってくれないって、俺もスライムだった正体明かしてないから当たり前か。

そんな訳で、家名を『スライム』と登録しておこう。




「・・・なお、スライム伯爵は子爵時の決定にある様にコルーナ辺境伯家の寄子としての位置づけとなります。また、現状はスライム伯爵には領地を下賜せずに、宮廷貴族としての立場となりますが、王城への出仕義務は免除いたします」


カッシーナ王女の説明を要約すると、土地はあげない、コルーナ辺境伯の子分、でも王城に出勤して来なくていいよ、みたいな感じかな。俺に自由を下さい。


「そして、スライム伯爵と私の婚姻についてご報告いたします」


なぬっ!? やっぱりあるのかその話。でもって事前連絡まるでなし。事前相談プリーズ!


今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

大変励みになります(^0^)

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よろしければぜひご一読頂けましたら幸いです。

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