第149話 何故か勃発する修羅場を対処しよう
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俺は三頭黄金竜を倒して亜空間圧縮収納にしまうと<高速飛翔>の呪文で王城へ飛んで帰った。
「ただいま~、無事三頭黄金竜を討伐する事が出来ましたよ」
俺は王城のバルコニーに着陸した。
「・・・あれ? 何この雰囲気」
俺はバルコニーに降り立った時から、周りの雰囲気が微妙におかしい事に気づいた。
「ヤーベ様ぁ~~~~~!」
俺を呼ぶのはスライム触手にぐるぐる巻きにされたサキュバスのミーナである。
「なぜ俺を様付けで呼ぶ?」
俺は首を傾げるが、
「ヤーベ様、これは一体どういうことでしょうか?」
なぜかカッシーナ王女が腰に両手を当てて俺を可愛く睨んでいる。
その後ろに腕組みしたままジト目で俺を睨むキルエ侯爵もいる。
「ヤーベ様ぁ!助けてくださいませ! ヤーベ様に忠誠を誓いますからぁ!」
大粒の涙を流しながらなぜか俺に忠誠を誓うサキュバスのミーナ。
「あらあら、女の涙で同情を誘うのはいかがなものかと思いますが?」
「うむ、女の風上にも置けんの」
カッシーナ王女とキルエ侯爵が何故かタッグを組んで強い圧力を発している。
なんだかヤバイ雰囲気だ。敵の召喚獣は全部仕留めたのに、なぜかヤベー、やべちゃんヤッベー!
「いや、別に忠誠とかいらないから、帰っていいよ」
「そんな!魔力を吸われて契約魔術も解除されて、自力で帰れないんです! ヤーベ様の使い魔になりますからぁ!捨てないでください!」
どうやら、ゴルドスターに召喚されたはいいが、俺が<スライム的捕縛網>で捉えた時に魔力を吸収しちゃったから、強制的に契約解除になった上、魔界?に戻る魔力も枯渇して自分で帰れなくなった、ということらしい。
「ということは・・・帰れないの?」
「そうなんです! ヤーベ様に養って頂く他ないんです!」
<スライム的捕縛網>で捉えたままのため、ぐるぐる巻きになったまま、ぴょんぴょんと腰で跳ねる様にアピールする。
「あらあら、どこかの泥棒猫は養ってもらおうなんて図々しい事を考えているのかしら? 身の程を知らないようですね」
極寒の世界を見つめるかの如く冷ややかな目を向けるカッシーナ王女。
「そのような世迷言をきく口は処分せねばならぬようだの」
キルエ侯爵が剣呑な表情で睨みを効かす。
「そんなぁ!」
涙をちょちょぎらせながらサキュバスのミーナが悲鳴を上げる。
「う~ん、帰れないのかぁ。なら、とりあえずウチに居候してもらうかぁ。でもウチって言っても俺が居候の身なんだよね。コルーナ辺境伯よろしいです? 一人増えても」
俺は横にいたコルーナ辺境伯に尋ねる。
「ああ、一人くらい増えてもどうってことない・・・ヒッ!」
ヤーベに聞かれたコルーナ辺境伯は軽く答えようとして、自分をものすごい目で睨むカッシーナ王女とキルエ侯爵に気づいて小さく悲鳴を上げる。
俺も油断するとオシッコチビリそうだ。
・・・スライムだからオシッコしないけどさ。
「カッシーナ、それにキルエ侯爵。ミーナは確かに魔族かもしれないけど、こうしてちゃんとコミュニケーションも取る事が出来る。帰る事も出来ないようなので、帰る事が出来るようになるまで面倒を見ようと思う」
「・・・ふう、優しいヤーベ様ならばそう言うと思いました」
溜息を吐くカッシーナ王女。キルエ侯爵も後ろで溜息を吐いている。
仕方がないですね、という雰囲気のカッシーナ王女に、噛みつくものが出た。
フレアルト侯爵である。
「魔族を許すというのか? しかも王城内で王国騎士に魔法で暴行を働いた者を!」
怒りの炎を目に宿してフレアルト侯爵が文句を言う。
確かに、罪ある者をそのまま贖罪する事も無く許していいのかという問題はあるだろう。
だが、魔族だからと言って無条件に命を奪っていいはずがない。
「ワーレンハイド国王。少し提案があるのですが?」
少し真面目な表情をしてワーレンハイド国王に俺は向き直る。
ちなみにサキュバスのミーナは簀巻きのままイモムシの様に転がっている。
「なにかな?」
隣にはその腕を取るリヴァンダ王妃がいる。
何故か良い雰囲気のようだ。
「捕縛した者の内、減刑を嘆願したい者たちがおります」
「はっ! 卑怯にも国王様に直訴かよ!」
フレアルト侯爵が毒づくが俺は無視したまま続ける。
「聖女と呼ばれたフィルマリーと、このサキュバスのミーナです」
「減刑というのは?」
「聖女フィルマリーはかなり乱暴を働き、素行が悪くわがまま放題だったそうですが、それなりに神聖魔法を使うことが出来るとの事。シスターアンリにも提案しますが、無償、もしくはかなり安く治癒魔術を実施しようと思っています。特に王国市民に迷惑を掛けていますので、そのお詫びも含めた教会のイメージ回復作戦ですかね」
「ふむ、治療魔術を使えるフィルマリーを牢につないでおくのはもったいないと言いたいのだね?」
「まあ、そういう事です。教会のイメージも悪いですからね。少しでも市民に寄り添う市民のための教会であるという認知に一役買ってもらいたいというのもあります。フィルマリーが反省しているという姿も見せたいですしね」
「改心するものかね?」
「そこはお任せ下さい。改心しなければ目にもの見せてくれましょうぞ!」
そう言って邪悪に俺は笑う。
ちょっと引き気味のワーレンハイド国王。
「それで、サキュバスはどうしてかね?」
ワーレンハイド国王は顎を擦りながら俺に聞く。
「王国騎士団に所属する屈症な騎士たちを惑わせるほどの魔術を操る者ですからね。ある程度その力を把握してみたいと思います。それに彼女の力は野放しにはできませんからね。私が使役したいと思います」
ものすごい勢いで睨まれる俺。カッシーナはともかく、キルエ侯爵からなぜこんなに睨まれなければならないのか、理解に苦しむ。
「うむ、きっと君は使い魔にでもするだろうという話が出ていたよ」
「それは・・・誤解がないといいのですが」
変な汗が出てくる。サキュバスを使役するって言っても、別にエロいことをするわけではない・・・うん。
コミュニケーションの取れる相手を問答無用で切るほど凝り固まった思想や概念は持ち合わせていない。分かり合える可能性がある場合は少なくとも努力をするべきだろう。
・・・もちろんその努力が報われないことも多々あるのだろうが。
だから、決してあのバカ聖女(元)やサキュバスのミーナをハーレムに増員しようとか、にゃんにゃんしようとか思っていない。思っていないと言ったら思っていない。
「ヤーベ様ぁ! ミーナは・・・ミーナはこのカラダ全てをヤーベ様に差し出す所存ですぅ!」
潤んだ眼でいきなり叫び出すミーナ。
「誤解満載のセリフご勘弁願えませんかねぇ!?」
「やっぱり! ヤーベ様はボインボインが良いのですか!! あんなものは脂肪の塊です!」
「そうだぞ!女の魅力は腰のくびれだぞ!」
「いや、何言ってるの!?」
カッシーナ王女とキルエ侯爵の怒涛のガブリ寄りに両手で肩を押し止めながらとりあえず落ち着くように言う。
「ヤーベ様、夜伽の方も私にお任せください!全身全霊を込めてお相手させて頂きますっ!」
一気にカッシーナ王女とキルエ侯爵の周りの気温が氷点下に下がった気がした。
「全身全霊込めなくていいから! てか夜伽の相手もいらないから! 気にしなくていいから!」
スライム触手の捕縛を外していないので未だイモムシのままのミーナが束縛状態のままぴょんぴょんと飛んでアピールする。
「とんでもありません! ヤーベ様は私の命の恩人です! 全身全霊をかけてお世話をするのが使い魔たる私の役目です!」
「ヤーベ様!一体どういうおつもりですか!」
「ヤーベも胸か!胸なのか!胸があればいいのか!」
ミーナ、カッシーナ王女、キルエ侯爵に詰め寄られ俺は何故か涙が出そうになる。
俺は確かにこの王国のピンチを救ったはずだ。
巨大なモンスターを倒し、王国に被害が出ない様に対応したはずだ。
だが、なぜ俺はこんなにもピンチになっているんだろう?
きらきらと水の球が俺の目から散って行くのがわかった。
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