第138話 風雲急を告げる王国の危機に対処しよう
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「国王様。その王座、私に渡して頂いてもよろしいですかな?」
昨日、王城でヤーベ男爵に対する二度目の謁見を行い、子爵へ陞爵させた。
一昨日の聖堂教会大聖堂に急襲による、三名の枢機卿を含む十名以上の聖職者が捕縛されるという大捕り物があった。その立役者がヤーベ男爵であった。その奥方の一人も活躍したようだが、なかなか切り込めなかった大きな組織へバッサリ切り込み、結果を出すヤーベ男爵、いや、ヤーベ子爵の実力には国王としても舌を巻くばかりであった。
その二度目の謁見時、プレジャー公爵は謁見の間に呼ばれなかった。
なぜなら、謹慎命令が出ていたからである。
「プレジャー公爵? 卿には謹慎処分を科していたはずだが?」
国王ワーレンハイドは執務室で職務を始めたところであった。
国王の執務室には女官2名、執務官2名、護衛騎士1名、そして国王であるワーレンハイドの六名であった。
その誰もが執務室にノックも無く無断で入って来たプレジャー公爵とその後ろの男に驚いていた。
「もう、ワーレンハイド国王のかじ取りでは王国を任せられないと悟りましてな。私が変わって国王となり、このバルバロイ王国をより発展させて行く事としましょう」
気持ち悪いほど嫌らしい笑みを浮かべるプレジャー公爵。
「貴様、何を言っているのかわかっているのか?」
護衛騎士が剣の柄に手を掛け、国王の執務机の前に出て来る。
通常であれば公爵であるプレジャーに対して騎士がそのような口を利くのは不敬罪に当たる。だが、プレジャー公爵は現在多くの犯罪にかかわったとして謹慎処分中であり、ましてこの国王の執務室にノックも無く乗り込んで来て、王の座を明け渡せなどと宣ったのである。騎士が貴様、と気勢を上げてももっともな事であった。
「キャハハ! 弱い弱ーい!」
ガクンッ!
いきなり騎士が膝から崩れ落ち、倒れる。
「「キャ――――!」」
女官たちが悲鳴を上げる。
「なんだ? いきなり何をした?」
ワーレンハイド国王は眉を顰める。
そして理解する。この執務室に来るためには王国騎士が警備する通路を通って来なければならない。そして、今の騎士が倒れた事を考えれば、プレジャー公爵の後ろに立つ緑のローブを着た男のさらに後ろに浮かぶ女性の姿をした悪魔の仕業により、騎士の守る通路を突破されたのだと。
「それで、王国の王の座を私にお譲りいただけますかな?」
プレジャー公爵が如何にも愉快といった表情で繰り返す。
「馬鹿な。お前なぞに明け渡すわけがなかろう」
ワーレンハイド国王はきっぱりと言った。
例え殺されても、「王座を明け渡す」とは言えるわけがなかった。それは王家の矜持でもあった。
プレジャー公爵自身もその点はわかっている。
比較的国王として評判の高いワーレンハイドを殺してしまうと、その後自分が国王に就いたとしても国民の反感が凄まじいものになるだろう。
できれば、ワーレンハイド国王自ら、プレジャー公爵に国王の座を譲ると言わせてその簒奪が正統性のある物だと知らしめたいと思っていた。
「キャハハ! じゃあ洗脳しちゃう?」
ふわふわと浮かんでいる女性悪魔が緑のローブの男に声を掛ける。
「どうします?」
緑のローブの男は自分の雇い主であるプレジャー公爵の指示を仰いだ。
「待て。この男自身がワシに王の座を譲る以外にないと分からせることが大事なのじゃ」
ウシシと笑うプレジャー公爵。気持ち悪さが一層に増していく。
だが、この男、一体何を企んでいるのだろうかとワーレンハイド国王は疑問が浮かぶ。
自分が公爵に王の座を明け渡すことなどありえない。それはヤツ自身もわかっているはずだ。ならば、ヤツは何を切り札に持っているというのか。
「ワーレンハイドよ、この王城には王国の北、西、南を見渡せるバルコニーがあったのう?」
ついに国王を呼び捨てにしたプレジャー公爵。
「ああ、それがどうした」
「今、この王国がどのような状況になっているか、目で見れば如何に愚かな国王様であろうとも理解できるであろう」
不遜な態度が加速するプレジャー公爵。
ワーレンハイド国王はとにもかくにもここで言い争っていても始まらないと、プレジャー公爵と共に執務室を出て最上階に近い場所にあるバルコニーに向かった。
「どうじゃ?ワーレンハイド」
「こ、これは・・・」
ワーレンハイド国王が見たバルバロイ王国の姿。
南からは万にも迫ろうかと言う魔物の大群が、
東からは20mはあろうかという山のような一つ目巨人ギガンテスが
北からは恐るべき稲妻を迸らせながら雷竜サンダードラゴンが向かって来ていた。
事態は風雲急を告げるのであった。
・・・・・・
「一体どうなっているのだ!」
王国騎士団の隊長グラシア・スペルシオは次々と舞い込む魔物襲来の情報にパニックに陥っていた。
最初に来た報告は王都バーロンに南から万に迫る様な魔物の群れが向かって来ているとの報告であった。
明らかにスタンピードのような状況に信じられない思いだった。
どちらにしても全軍で当たる以外に方法はない。
騎士団も最低限の人数だけを王城に残し、迎撃に出る予定でいた。
王国軍の将軍職の連中にも連絡を取った。
だが、
「隊長!バーロンの西から20mはあろうかという山のような一つ目巨人のギガンテスがこちらに向かっているとの事です!」
「何だと!」
ギガンテスなど、もはや伝説級の魔物である。それがこの王都バーロンに向かっているという。
「大変です!」
「今度はなんだ!」
矢継ぎ早に来る伝令につい苛立つ声を上げるグラシア。
「王都の北に、ドラゴンが現れました! しかもワイバーンを数匹伴なっており、しかもそのドラゴンは雷竜サンダードラゴンであると思われるとのことです!」
「何だとお!バカな!」
グラシアはその報告をにわかに信じることは出来なかった。唯のドラゴンではなく、地水火風の属性を持つドラゴンは通常のドラゴンの上位種として非常に恐れられる存在であり、また、その姿をほとんど現さないことからこちらも伝説級の存在として知られていた。
「い、一体、何がどうなっているのだ・・・」
今、まさに王都バーロンは絶体絶命の危機に陥ろうとしていた。
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