第133話 フィレオンティーナの実力を少し開放する事を許可しておこう
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「我が意図に傅き、その意思を放棄せよ!<女帝の魅了>!!」
ついに王都聖堂教会を牛耳るトップの一角、枢機卿フラメーアが牙を剥いた。
お茶を飲んでいた4人の美少女はキョトンとしていたのだが、一人だけは違っていた。
「<反射魔術>」
パ―――――ン!
フラメーアから放たれた<女帝の魅了>を文字通りそのまま跳ね返す。
その効果はフラメーア自身には及ばなかったが、後ろに控えていた二名の女性神官たちには影響が出た。
「「フラメーア様ぁ」」
しな垂れかかって来る二人を「うっとおしい!」と振りほどき、自身の<女帝の魅了>を跳ね返した女性を見た。
「フィ、フィレオンティーナ?」
スクリと立ち上がって笑みを浮かべるフィレオンティーナに、一体どうしたのかとイリーナが声を掛ける。
「この者、今魔術を唱えましたわ。見るからにどうも魅了系の呪文ですわね? このような魔術を使用する以上、きちんとした話し合いには応じないと見てよろしいですわね。であれば、今頃旦那様は牢の中にでも入れられていらっしゃるのかしら」
「な、何だとっ!!」
「ヤーベ様が!?」
イリーナとルシーナが気色ばんで立ち上がるが、フィレオンティーナが制する。
「落ち着きなさいませ。あの旦那様がこの教会程度の連中にどうにかされるとお思いで?」
「ま、まあそうか、ヤーベだしな・・・」
「そうですね~、ヤーベさんですし、万が一も無いかもしれませんねぇ」
ルシーナはまだ心配のようだが、イリーナも、サリーナもヤーベがどうにかされるという想像は出来なかった。
ちなみにリーナは理解が追い付いていないのでキョトンとしたままだ。
「わたくし、館を出発する前に旦那様に言われている事がありますの」
そう言うフィレオンティーナを見るイリーナたち。そう言えば、エントランスの集合にフィレオンティーナとヤーベは少し遅れて一緒に来ていた。
「教会内で旦那様と別れた場合、その後の判断は全て私に任せると。万一わたくしたち五人に危害を加えるような輩に出会った場合、一切容赦する必要はないと。そしてその責任は全て俺が取る、と」
凛とした佇まいの中、スッと目を細めてフラメーアを睨むフィレオンティーナ。
枢機卿として、海千山千の相手とやり合って来たフラメーアをして、心底怯えさせるほどのプレッシャーを感じていた。
「っつ!ふざけんなぁ! 光よ!我が手に集まり、敵を穿て! <閃光の投擲>!!」
フラメーアの唱えた<閃光の投擲>により、三本の光の槍が頭上に浮かぶ。
シュゴッ!
閃光の槍がフィレオンティーナを襲う。
「<魔術反射>」
ほぼノータイムで魔術を反射するフィレオンティーナ。ヤーベがここにいたらきっとこういうだろう。「反則だろ・・・」と。
反射された<閃光の投擲>がフラメーア達を襲う。
ドカンドカンドカン!
「うわわわわっ!」
何とかシールドが間に合ったようだが、その衝撃で尻餅をついてしまう。
「貴女、非常に頭が悪いのですわね。先に魔術を反射されておきながら、理解しておりませんでしたの?」
フィレオンティーナの指摘に歯ぎしりするフラメーア。
「テメエ!この枢機卿の地位にあるフラメーアに危害を加えたんだ!王国の王都警備隊に通報してひっ捕らえてやるからな! テメエらの言い分が通用すると思うなよ! この枢機卿フラメーアの言葉の重さを思い知れ!」
ついに実力行使では太刀打ちできないと気が付いたのか、権力によって行動を封じに出るフラメーア枢機卿。
「許して欲しけりゃ、ここで土下座してアタイの靴を舐めな!」
机にガンッと右足を乗せる。ブーツの底が厚めで固いのか、派手な音が鳴った。
「はあ・・・実に愚かですのね」
「はあっ? 何だとテメエ!」
「王都警備隊・・・警備隊隊長のクレリア・スペルシオでもお呼びになるのですか? それとも王国最強の騎士団長グラシア・スペルシオ様でもお呼びになりますか? どうぞご自由に」
「な、なんだと・・・?」
なぜこの女から王国の超重要職に就く人物の名前がスラスラと出て来るのか?
フラメーアはイヤな予感がし始める。
「貴女は頭が悪いようですので、先ほどお伝えした内容を忘れておいでかもしれませんので、もう一度言いましょうか?」
「・・・・・・」
フラメーアは声が出ない。
「万一わたくしたち五人に危害を加えるような輩に出会った場合、一切容赦する必要はないと。そしてその責任は全て俺が取ると。その俺、というのはわたくしたちの旦那様で、昨日ワーレンハイド国王様より男爵の爵位を叙爵されましたヤーベ様ですわ」
「なんだとっ!!」
フラメーアは枢機卿として、国内外の情報も集めていた。
そして昨日王城であった衝撃の謁見。
ただの平民が国王の要請を受けて謁見に訪れたと。
その平民はまるでおとぎ話のような英雄譚を地で行くとてつもない能力を持つ男だったと。
権力にも金銭にも興味を示さず、国から叙爵を打診されたのをあっさり断ったと。
そして何故か傷の癒えた『奇跡の王女』カッシーナ王女がその平民に結婚を申し込んだと。
王妃がそれを認め、カッシーナ王女を娶るためその男は叙爵を承認し、男爵となったと。
「確かに、ヤーベといった名だった・・・」
とんでもなくヤバイ奴らに手を出したとフラメーアは改めて感じた。
「そして、わたくしも同じく旦那様やわたくしの仲間など、わたくしの大切な存在を脅かす輩に、容赦する気はさらさらありませんわ」
濃密な魔力が渦を巻き、フィレオンティーナの腰まである黒紫の艶のある髪がふわりと浮き上がって行く。
「ま、魔力が・・・魔力が溢れるなんて・・・」
フラメーアは自身が魔法を使うため、魔力については素人よりは詳しいつもりだった。
だが、魔力が可視化出来る程濃密に溢れるなど、あり得る事ではなかった。
「わたくし・・・残酷でしてよ?」
「ヤ、ヤバイ・・・!」
フラメーアは枢機卿のプライドなどあっさりと捨て、這いつくばりながら逃げ出した。
「ふふっ・・・逃がすわけがありませんわ。雷撃よ、その双翼を広げ敵を拘束せよ!<雷撃拘束>!」
二人の女性神官も、フラメーア枢機卿も電撃の網が絡まり拘束される。
「「アババババ!!」」
「グギャアァァァァァァ!!」
明らかに女性神官に比べてフラメーアには電撃のネットの出力が高い。
女性神官たちもフラメーアも白目を剥いて泡を吹いて気絶した。
「だから言ったではないですか・・・わたくし、残酷でしてよ?」
フィレオンティーナは妖艶に笑った。
そしてイリーナたちはフィレオンティーナを怒らすことだけは止めようと心に誓ったのだった。
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