閑話20 王都に住む人々の幸せな日常①
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後、昨夜寝落ちして執筆が遅れました、申し訳ありません。(土曜夜で本当によかった・・・平日だったらえらいことに(苦笑))
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「は・な・し・な・さ・い~~~~~」
「離しませんよぉ!」
レーゼンが羽交い絞めにしてカッシーナ王女を引き留める。
「今夜は! 今夜はヤーベ様の奥様方が揃って初めて同衾されるのです! 何としてもその末席に!」
「いや、姫様! 同衾もダメですが、末席って!もう少し王家の血というものに誇りを持って下さい!」
「王家の誇りなぞ偉大なるヤーベ様の前では何の価値もありません!」
「いやいや、そこは姫様がしっかりヤーベ様に教育されるくらいの気持ちで・・・」
喋っている間もレーゼンはカッシーナ王女に引きずられている。
(ちょっとまって!? なにこの姫様のパワー! 一体いつの間に!?)
暗殺者として超一流の実力を持つレーゼンがそのパワーを持ってしてカッシーナ王女を止められない。
「エマ!メイ!手を貸してちょうだい!」
「「は、はいっ!」」
今度はカッシーナ王女の正面から新たにメイドが二人止めに入る。
「姫様!何卒!」
「お留まり下さい!」
がしっとカッシーナ王女に抱きつく二人。しかし、
「ぬおおおおお!」
三人に抱きつかれているのにじりじりと前に進んで行くカッシーナ王女。
「ええっ!?」
「姫様すごいお力です!」
エマとメイと呼ばれたメイドたちが驚愕する。
「姫様!うら若き乙女が「ぬおおおおお!」などと男くさい雄たけびを上げてはいけません!」
レーゼンは違うところで引っかかっていた。
「じ、人海戦術~~~~!!」
その言葉に十人以上のメイドたちが「わああ~~~」っと走って来る。
ついにメイドたちに押しつぶされるカッシーナ王女。
王女の扱いがそれでいいのかと思わなくもないが。
「や、ヤーベ様ぁぁぁぁぁ! 私も!私も貴方様のおそばにぃぃぃぃ!!」
カッシーナ王女の絶叫は王城に響き渡った。
「ふうっ!」
下町の定食屋ポポロの裏戸が開き、妹のリンは昨日のゴミを袋に詰めて裏通りの回収場所に出しに行った。
「昨日のお客さんいっぱいだったな~」
昨日は昼時から客が並んで、夕方には売り切れてしまった。
材料の買い出しもすごく親切にしてもらえるようになったし、すべてはあの「ヤーベさん」と呼ばれるお兄さんのおかげだとリンは思っていた。
最初、教会の孤児やシスターたちと大勢で食べに来てくれたのだが、先日はお客さんの来ない昼過ぎにふらりと訪れてくれた。
「俺の必殺の料理があるんだけど、食べてみる?」
材料は良い物が買えるようになったのだが、あまりお客は増えていない。
お客さんが来ないと、一番得意の「コロッケ」もたくさん作れないし、油も痛んでしまうため、お金がたくさんかかってしまう。
「必殺の料理?」
「何よ!またアンタ来たの?余計な事しないでよね!」
姉のレムが奥の厨房からやって来て文句を言う。
「妹を守るために気を張っているのはわかるけど、話を聞かないといけないときに聞けないのは損にしかならないぞ?」
「うるさいわよ!」
「このお店の名物は油で揚げる「コロッケ」だったんだよね?」
「そうよ! お母さんの作るコロッケは絶品なんだから! 私もその技術をマスターしてるんだから!」
「うん、なら俺の必殺の料理も作れるね。その名も「バクダン」だ!」
「バ、バ、バ、バクダン!!」
「それ、だ、大丈夫な料理なんですか?」
レムもリンも驚く。
「もちろん! 食べたらおいしくて爆発するくらいおいしいから!」
「「ええ――――!!」」
姉妹が揃って声を上げる。
「それに、さらに驚く「必殺のソース」があれば無敵だよ!」
「「む、無敵!?」」
リンとレムは顔を見合わせて、
「「教えて!」」
と声を揃えるのだった。
ヤーベが教えたのは「バクダン」。ジャガイモコロッケの中にゆで卵を入れたものだ。さらにゆで卵を半熟にして、しかもラーメンの煮卵の様に味のするタレをしみこませたものを使用するように工夫した。それをじゃがいもで包んで衣をつけて油で揚げる。それに合わせるソースは「オーロラソース」と呼ばれる、マヨネーズとケチャップを混ぜ合わせたものをチョイスした。トマトベースのケチャップに似たソースはあったのだが、マヨネーズは無かったので、ヤーベがリンとレムに教えている。
「これもその内アローベ商会で取り扱うから、作るのが大変なら買ってもいいけど、作る方が安くて新鮮だから、頑張って!」
と励ましていた。作り方も内緒にしてね!なんて可愛く頼んでいたので、リンもレムもちょっと照れながら「「うんっ!」」と返事をしていた。
「はいっ!バクダン定食3つですね!お待ちください」
昼前から新しいメニュー「バクダン定食」の看板を立てた。
実はヤーベから教えて貰ったバクダン料理にひと手間加えていた。
バクダン、という真ん丸なコロッケに、導火線に見立てたアスパラガスを焼いたものを1本突き刺したのだ。
これが功を奏したのかどうか、見た目が珍しいという評判と美味いという評判がさらに評判を呼び、店を開けてから材料切れになるまで店を閉められないほどの盛況ぶりとなった。
「ヤーベさん、来ないかな・・・」
リンは開店の準備を進めながらヤーベがまたお店に来てくれたらたくさんサービスしようと心に決めた。
「こら―――――! ちゃんとお掃除終わったら道具を片付けなさい!」
シスターアンリが声を張り上げる。
「「わああ~~~、シスターアンリが怒ったぞー!」」
子供たちが走って逃げる。
「もう、ちゃんと片付けないとだめだよ」
優しく声掛けして掃除道具を片付けるのはマリンちゃんだ。
彼女はストリートチルドレンとして一人で生活してきた時間が長いせいか、年齢よりもだいぶお姉さん感が出ていた。
逃げた子供たちが教会の庭に出る。
庭でヒヨコたちと遊ぶためだ。
「ぴよぴよぴ~」
「わああ~」
庭に飛び出た子供たちは待機していたヒヨコたちを捕まえようと走り回る。
「ぴよぴよ~」
ひらひらと飛んで子供たちの追撃から躱し続ける。
ボスであるヤーベからも子供たちの運動や筋力トレーニングの一環として、走り回って体を使わせるように指示されている。
「キュピー!」
シュゴゴゴゴッと派手な音をまき散らしながら謎の生命体が教会に帰って来た。
<スライム的掃除機>である。
「あっ!キューちゃんおかえり!」
マリンが教会の庭に出て来て帰って来た<スライム的掃除機>を持ち上げる。
「キュピー!」
「シスター、キューちゃんが帰って来たので、ゴミの引き取り屋さんに行ってきますね!」
「気を付けてね!」
マリンは<スライム的掃除機>を抱えてゴミ収集屋さんに向かった。
その肩にはヒヨコが2羽止まっていた。
ちなみに、マリンちゃんに不埒な理由で寄って来る連中はこの肩に止まったヒヨコ2羽による火炎攻撃で撃退されることになる。
『クロムウェル将軍!教会南東の壁に敵が三名張り付いております!』
『壁を乗り越える瞬間を狙って迎撃せよ!魔法の使用許可を出す!』
『ラジャー!』
ヒヨコたちの活躍により、教会は今日もどこかで襲撃者たちの悲鳴が上がっていた。
シスターアンリは商業ギルドの通帳カードを見ながら溜息を吐いた。
借金やら何やらで、とにかく支払わなくてはいけないお金を払ったら金貨5枚以上かかってしまった。子供たちの食事にはしっかりと節約していい物を、と考えていたのだが、残りのお金を考えると、食費にあまりお金がかけられない。せっかくヤーベさんが子供たちのために出資してくれたのに・・・と落ち込みながら商業ギルドにお金を卸しに行くと、何故か金貨が15枚近く入っていた。
アンリはヤーベが金貨10枚を追加してくれたのだと気が付いた。
「ヤーベさん・・・」
アンリは、そっと教会に設置してある神の像ではなく、空に祈った。少しだけ頬を染めて。
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