閑話19 闇に暗躍する者達②
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「どうなっておるのだ!」
僅かな蝋燭の揺らめきだけが支配する部屋の中で、男の怒声が響き渡る。
「・・・事前に何かあったようですな。王女を暗殺するという情報は掴んでおりましたが、実際失敗するとは思っておりませんでした」
「何? お前王女が暗殺されると知っていたのか?」
「ええ、まあ」
黒いローブの男は抑揚のない声で答えた。
「何故だ?」
「・・・不要でしょう。アレが手に入るのならば、王家の血など邪魔でしかない」
「・・・アレが手に入るメドが立ったのか!」
「ええ、アレの封印を解く4つの≪魂の鍵≫、3つまでは手に入れております」
「ほう! すでに3つも集まっておるのか」
「公爵様のおかげですよ。食事会で呼び出しやすいですからね。すでにエルサーパ、ドルミア、フレアルト3侯爵の当主からはキーを手に入れました」
「さすがよな」
男はいやらしく笑った。
「ですが、キルエ侯爵はキーを持っていませんでした」
「当主夫妻は事故で亡くなっただろう? そのせいか?」
「いえ、その場合は直系の子供に受け継がれるはずです。そういう『封印』なのですよ」
「・・・それでは?」
「元々4侯爵は4つの≪魂の鍵≫を管理するために作られたと言われています」
「むっ・・・そのような事ワシでも知らなかったぞ」
「昔から王家だけに伝わる秘匿された情報でしたからね」
「むう・・・」
「ですが、いつからかキルエ侯爵家からキーが消えたようですね」
「なっ! ではキーが揃わないではないか」
「いいえ、ある時期にキーが移ったんですよ。養子を取る事によってね」
「なんだとっ!?」
「だから、娘と婚姻を結ぶように言ったんですよ」
「・・・ルーベンゲルグ伯爵家・・・!」
「そうです、ルーベンゲルグ伯爵家の当主、長男にはキーがありませんでした」
「だから娘を・・・」
「残りのキーは後1つ。あの娘からキーを奪えば、封印を解くことが出来ます」
「そうか・・・アレの封印が解けて手に入ったら、確かに王家の血など無用の長物よ」
「ですが・・・、現在はあの娘に近寄るのは難しいですが」
「くっ・・・あの下賤な輩が・・・!」
「ある程度作戦は考えてあります。焦る必要はありませんよ」
黒いローブの男はのんびりと言った。
「ですが、間違いなくあの公爵はキレますよ。多分証拠が積まれているでしょうから」
「ふん、あの男がどうなろうと知ったことではないな」
男は足を組みなおしながら、椅子に深く座った。
「ですが、多分ブチ切れてますから、王都を破壊するくらいの事をやりかねませんよ?」
「・・・留まるのはまずいか?」
「ええ、領地に帰られた方が良いかと。どちらにしても最後のキーを手に入れるための儀式は公爵の領地で行うわけですし」
「そうか」
「それに、あの女を連れだして領地に連れて行かないといけませんしね」
「よし、頼むぞ!ワシは領地に帰る準備をしよう」
「高速運転が可能な魔道馬車を1台残しておいてください。それであの女を攫って公爵領へ移動します」
「あのブタどもはどう動くと思うか?」
「あの殺し屋も返り討ちにあったらしいですからね。間違いなく切り札を切ると思いますよ」
「まさか・・・」
「ええ、あの<召喚士>は間違いなくドラゴンを呼ぶでしょうね」
「王都はどうなる・・・?」
「ほぼ間違いなく灰燼と化すかと」
男の問いにまるで人ごとの様に回答する黒いローブの男。
「ほっほ、では王都の屋敷の金目のものは領地に持ち帰らないとのう」
「ドラゴン以外にもあの男が呼べる魔獣はいますからね。『救国の英雄』だかなんだか知りませんが、まあ間違いなく木端微塵ですよ」
「それが見られぬのは少しばかり残念じゃのう。あのクソ生意気な小僧が死ぬところをぜひ見て見たかったんじゃがのう」
「ブタ公爵が王都を壊し、王家を簒奪、貴方はその後正義を正すためにブタ公爵を滅ぼし、王国を制圧すればよろしいかと」
「ほっほ、アレがあれば、ドラゴンなど単なるデカイトカゲじゃな」
男は愉快そうに笑った。
「(さてさて・・・あの男の警戒網を掻い潜ってあの女を公爵領まで連れ去る・・・。ずいぶん難易度が高いな)」
黒いローブの男は深く溜息を吐いた。
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