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第97話 王女の愛を振り切ろう

ブックマーク追加誠にありがとうございます!

大変励みになります。

今後もコツコツ更新して参りますのでよろしくお願い致します!



俺はカッシーナ王女が泣き止むまでずっと抱きしめて頭を撫でていた。

ちなみに今の俺の姿は矢部裕樹ではなく、デローンMk.Ⅱである。

したがってカッシーナ王女は今の俺より身長が高い。

そんなわけで、泣いて抱きついて来てくれたわけだが、今は膝を床に付けて跪くように俺に抱きついている。よしよしと頭を撫でる触手の先だけは手のひらにしている。

触手では触り心地が悪いだろうという気遣いである。


「ヤーベ様、本当に・・・本当にありがとうございます」


やっと落ち着いたのか泣き顔を笑顔に変えて少し顔を上げるカッシーナ王女。

でも、抱きついている手は解かない。


「気にしなくていいよ。貴女の重荷は全て私が受け止めると言ったでしょ? 貴女はただ、心の赴くままに自分の人生を謳歌すればいいんだよ」


俺の言葉に、再び涙を流すカッシーナ王女。でもさっきの様に顔を埋めずに、ずっと俺を見ている。

・・・俺って、目があるのかな? あ、有るわ! イリーナに指で突っつかれたっけ。つぶらな瞳でカワイイ感じだといいけど。


「ふふっ・・・本当に素敵ですね、ヤーベ様は。先ほどは早計でしたが、今ならいいですよね? 私を貰ってはもらえませんでしょうか?ヤーベ様」


花咲くように輝く笑顔を見せるカッシーナ王女。

先ほどの柔らかな月の光のような美しさから一転、傷が治った事への嬉しさからか、とても力強い太陽のような輝く美しさを放っている。


「貴女が美しい事はこの私がよーく知っていますよ。そしてそんな貴女に気持ちを寄せてもらって嬉しくないはずがない・・・。ですが、私は見ての通り、人間とはちょっと違っている感じなんですが・・・」


なんせデローンMk.Ⅱですよ、今。

よく今の俺に言い寄ってくれるよなって、自分で思っちゃうけど。


「そう言えば、そうなんですか? 確か、精霊王って言い直してましたか・・・」


うわっ! よく覚えてますね。

ぶっちゃけ、それもどうかと思うんだが。精霊王って・・・。


「自分が何者か、自分でよくわかっていないのですよ。まだまだ自分探しの旅は終わりが見えない感じですよ」


そう言って苦笑する。


「まあ・・・、そうなのですね。よろしければ貴方自身が見つかるまでずっとそばにいて、お手伝いできればと思います」


すげーグイグイくるな。


「私は叙爵されてもおりませんし、きっと王様から許可も出ないと思いますよ?」


ものすごく当たり前のことを伝えてみる。


「私は塔に引きこもった忌み子です。うまく話せば、なんとかなると思いますよ? それに王国の利益を考えるのであれば、貴方ほどの御方と婚姻を結ばないという選択肢はありませんよ」


にっこりと何となく迫力のある笑顔を見せるカッシーナ王女。

こういうところはさすが王女様、といったところか。


俺はするりとカッシーナ王女のハグからすり抜けると、バックステップで窓の外へ飛び出す。


「ヤ、ヤーベ様!」


裸のまま窓枠まで走り寄ってくるカッシーナ王女。


翼を羽ばたかせ、宙に浮く俺はカッシーナ王女に優しく語り掛ける。


「貴女はもう捕らわれのカナリアではない。今の貴方は自分の翼を羽ばたかせ、大空へ飛び立つことが出来ます・・・。お幸せに。貴女はもう自由なのだから」


翼を羽ばたかせ、少しずつ窓から遠ざかる。


「ヤーベ様! 私が大空を飛ぶには、貴方の力が必要なんです! 貴方がそばにいてくれるから羽ばたけるんです! い、行かないで! 私も連れて行って!」


泣き叫ぶように伝えてくれるカッシーナ。

王女ではない、一人の女性として、カッシーナの気持ちは本当に嬉しい。

だが、今彼女を連れて行くわけにはいかない。何といっても彼女はこの国の王女なのだから。


「貴女は幸せになるべきだ、たくさん、たくさん、誰よりも。貴女は羽ばたけるよ。俺がそばにいなくてもね」


そう言って背中を向ける。そして、翼を残したまま矢部裕樹の姿を取る。


「ヤーベ様!」


さっと手を振り、飛び去る。

彼女の俺を呼ぶ声が聞こえるが、振り返らずに離れていく。


『よいのですか?』


ヒヨコ隊長が聞いてくる。


「今連れて帰ったら誘拐犯になっちゃうよ」


俺は努めて明るく振る舞った。





明け方にコルーナ辺境伯邸に帰って来た。

自分の部屋の窓から直接部屋の中に入る。


「んっ!?」


自分のベッドに誰か寝ている。


「リーナか」


俺のベッドに丸まって猫のように寝ている。

ほっぺをつんつんしてやる。


「ふみゅう」


リーナがムニュムニュと寝言を言う。


「・・・・・・」


今日もワンピースで寝ているリーナ。

思わず、スカートの部分をペラッとめくる。


「よかった、ちゃんとおパンツ履いてるね」


今日はちゃんとパンツを履いて寝ているようだ。

ちゃんとスカートの部分を戻してあげる。


「うん、奴隷がちゃんとパンツ履いているか、チェックが必要だからね、うん」


誰に説明するでもなく呟く。

リーナを起こさない様にベッドにそっと潜り込む。

だが、


「ふおおっ! ご主人しゃま!」


ガシーン!と音がしそうな勢いで隣で寝ようとした俺にガッチリ抱きついてくる。


「うおおっ!?」


「ふおおおおおっ! ご主人しゃまー! ご主人しゃまー!」


顔をグリグリして抱きついてくるリーナ。


「ちょっとちょっとリーナ・・・」


落ち着いてもらおうと抱きついているリーナに声を掛けようとしたのだが・・・


「ふみゅう・・・」


「寝てるんかい!」


すげーテンション高い寝言だな、オイ!


「ホントに寝てるのか?」


ほっぺをツンツンしたり、むにゅっと摘まんだりしてみる。


「ふみゅみゅみゅみゅ~」


だが寝ているようだ。すごい力でガッチリ抱きついているのに。


「一人でいるのは寂しいのかな・・・」


そう思うと、一緒にいたいと泣き叫ぶように伝えてくれたカッシーナ王女の事を考えて胸が痛んだ。


「とにかく寝よう、少しでも・・・」


リーナの頭を撫でながら、俺は掛布団を被った。


今後とも「まさスラ」応援よろしくお願いします!

よろしければブックマークや評価よろしくお願い致します。

大変励みになります(^0^)

他にも投稿しています。


ドラゴンリバース 竜・王・転・生

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魔王様にテンセイ!

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