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カバのハマさんのレストラン〜にたまごラーメン〜

作者: 郁章

カバのハマさんは、森のレストランのコックさんです。

さいきんは、レストランのメニューをふやすために、新しい料理のけんきゅうをしています。


○ふわふわたまごのオムレツ

○チーズたっぷりグラタン

○たっぷり野菜のラーメン


など、お客さんによろこんでもらえそうな料理をつくるのが、楽しくてしかたのないハマさんです。


 ある日、ワニのジロウさんがやってきて、

「いつものメニューをお願いします。」

と、言いました。

「あったか野菜のラーメンもありますよ。」

と、ハマさんが言うと、

「おや、それもいいね。じゃあ、あったか野菜のラーメンにしよう。」

ジロウさんが言いました。


 ハマさんがラーメンを出すと、ジロウさんは、

「あれ、たまごがのってないよ。たまごがのった野菜ラーメンをたべたいなあ。」

と、言いました。

なるほど、たまごがのっていたら、もっとおいしく食べられそうです。

ハマさんは、

「ええ、たまごですね。すぐにおもちします。」

そう言って、たまごをもってきました。

ところが、ジロウさんは、

「これ、生たまごじゃないか。ぼくがほしいのは、ゆでたまごだよ。」

「あらら、しつれいしました。いま、ゆでたまごをおもちします。」

ハマさんは、あわててゆでたまごをつくりました。


 まず、なべにたまごを入れます。

つぎに、たまごがヒタヒタになるまで水を入れます。

塩ひとつまみを入れるのもおわすれなく。

そして、なべを強火にかけて、ぶくぶくあわがでてきたら、弱火にします。

ときどきさいばしでたまごをころがしながら、10分ゆでます。

 やっとできあがったゆでたまごをジロウさんのところにもっていくと、一口ゆでたまごをたべたジロウさんは、

「あれ、これはかたゆでたまごだね。

ぼくは、なかみがトロトロッとした半じゅくたまごがいいんだ。

ラーメンものびちゃったし、ぼくはもう、帰るよ。」

そう言って、お代にドングリ3個を置いて行ってしまいました。

「それは、失礼しました。」

と、ハマさん。ガックリとかたをおとして、ジロウさんをみおくりました。

 でも、ほんとうにこまりました。

ハマさんは、半じゅくたまごのつくりかたをしらないのです。

かなしくなったハマさんは、こんどはプリプリとおこりはじめました。

ハマさんは、かなしくなるとそのあとかならず、おこりだしてしまうくせがあるのです。

(せっかくのおいしいラーメンを食べないでかえっちゃうなんて、あんまりだわ! )

プリプリしたハマさんは、気もちをおちつかせるために、さんぽに出かけることにしました。


 しばらくあるいていると、キツネのスミレさんに出会いました。

スミレさんは、ハマさんの友だちです。プリプリしているハマさんを見て、

「プリプリしているけど、何かあったの?」

と、きいてくれました。

「じつは、半じゅくたまごのつくりかたがわからなくて、こまっているの。」

ハマさんが言うと、

「それならわたし、知ってるわ。おしえてあげましょうか? 」

と、スミレさんが言いました。

「おねがい! 」

と、いうことで、ハマさんはスミレさんに半じゅくたまごの作り方をおしえてもらうことになりました。


 まず、なべに塩とたまごを入れます。つぎに、たまごがヒタヒタになるまで水を入れます。

そして、なべを強火にかけて、ぶくぶくあわがでてきたら、弱火にします。

ときどきさいばしでたまごをころがして・・・・・・

ここまではかたゆでたまごとおなじですが、

「6分ゆでるのよ。」

ゆでるじかんがちがったのです。


さあ、6分たちました。たまごを水に入れてひやすと、カラをむいてパクリと二つにわります。

「やったー! 」

外はつるつる、なかみはトロトロッとした半じゅくたまごになっていました。ハマさんは、

「ありがとう」

と、スミレさんにおれいを言うと、いそいで店にもどりました。

そして、さっそくお店の新メニューを

○ふわふわたまごのオムレツ

○チーズたっぷりグラタン

○たっぷり野菜と半じゅくたまごのラーメン

に、かえました。


 そんなある日、トラのタミエさんがお店にきて、たっぷり野菜と半じゅくたまごのラーメンをちゅうもんしました。

ところが、タミエさんは少しふまんそう。

「ラーメンはとってもおいしかったけど、はんじゅくたまごに味がついてなかったわ。」

そう言って、帰っていきました。

それを聞いたハマさんは、またかなしくなりました。

それから、やっぱりプリプリとおこりはじめました。

(たまごに味をつけるなんて、いったいどうすればいいの? 

そんなこと、やったこともないわ! )


そんなわけで、気ぶんてんかんのためにさんぽにいくことにしたハマさん。

あるいていると、シカのタンジさんがなにかしているのを見つけました。

「タンジさん、こんにちは。何をしているんですか?」

「やあ、ハマさん。いま、ぬのをそめているんだよ。

木のかわといっしょにぬのをにこんだら、よく冷めるまでまつんだ。

そうすると、色がよくしみこむんだよ。」

それを聞いたハマさんは、

(そうだ、たまごも、しょうゆとダシでつくった汁でにこんで、味をしみこませたらいいんだ! )

と、ひらめきました。

「ありがとう、タンジさん。」

おれいを言って店にかえると、さっそく味のしみたはんじゅくたまごをつくりました。


ところが、食べてみるとはんじゅくだったたまごは、かたゆでたまごにかわっていました。

(これじゃあ、お店にはだせないわ。)

ハマさんは、少し考えて、今度はできあがった半じゅくたまごを、よく冷ました汁につけこむことにしました。

 一日目は、あまり味がしみこみませんでした。

あきらめないで、もう一日味をしみこませてみました。

白身のところに味がしみこんで、ずいぶんおいしくなりました。

(もう少し味をしみこませてみましょう。)

そして、三日目、味は黄身までしみこんで、とてもおいしい味つけたまごができあがっていました。

「やったー! 」

ハマさんのスペシャル味つけはんじゅくたまごのかんせいです。

ハマさんは、大喜びでメニューを書きかえました。


○ふわふわたまごのオムレツ

○チーズたっぷりグラタン

○あったか野菜と味のよくしみた半じゅくたまごのラーメン


ハマさんががんばって作ったラーメンは、たちまち森の人気メニューになりました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  おいしい半じゅくたまご作りに悪戦苦闘するハマさんが良いです。  不満を言うお客がワニとトラなので、チャーシューでもいいかなと思いましたが、卵もアリですね。 [気になる点]  オムレツとグ…
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