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息子の眼
桜の花びらは絹みたいなやわらかさだね
梅雨の雨音は子守唄みたいに心地よいね
夏の砂浜は鉄板のように熱いね
川に手を入れるとくすぐられているようだね
セミは今年も頑張って鳴いているね
コオロギの合唱は時々うるさいけど時々きれいだね
もみじの葉を触ると本当にもみじまんじゅうの形しているんだね
滝の音は太鼓の演奏みたいに体に響くね
冬の風は肌にしみるね
積もった雪に足を入れると動けなくなるんだね
ところで雪って何色なの
息子の質問に答えたくなかった
息子が思う雪の色が私にとって答えだった
私はこの子の手を一生離さない