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母よりも大きな、板チョコ

作者: 国後旺
掲載日:2008/05/04

●だいぶ前のことだ●


「仕事先でチョコ貰ったよ。板チョコ」

「は? あー、そう。で、それがどうし……」


 お母さんは、お母さんの胴体よりも大きな板チョコを持っていた。


「でかすぎやろぉ!?」

「あんたの声もでかいって」


「なん、なん? どうしたん?」

 ごはん片手にテレビ観てた姉がこっちを振り向く。

「おぉ、ねーさま」 どうでもいいことだが、俺は姉をねーさまと呼んでいる。


「うわ! でか!!」

 驚く姉。箸を落とした。

「やんなぁ!? でかすぎやんなぁ!!?」

 同意を求める俺。スルーされる。


 姉はチョコに夢中である。


「はー、こりゃすっごいね。ツルツルやん」

「ねーちゃん。それはチョコを包むビニールよ」 どうでもいいことだが、俺は姉をねーちゃんとも呼んでいる。

「分かってるって」

 となりで俺もチョコを包むビニールをペタペタ触る。うわー、うわー、たまんねえ。


「ちょ、お母さん、貸して貸して」

 お母さんからのチョコ奪還成功。ズシッと重い。

「こ、こんな重いチョコ…初めてだ…ぜっ…」

「いや、流石にそこまで重くないやろ」

「クール過ぎるよ、母上」 冗談が通じないお人だ。


 姉が二階に上がる。ドタバタと駆け上がる。いつもは物静かなお人だが、興奮してらっしゃるな。そんなときの姉は面白い。日ごろ冷めてるから、余計に面白い。数秒後、ドタバタと足音が近づいてきた。俺の予想だと…、


「ケータイ持ってきたー」 やっぱりね。こんなときの姉は、大抵カメラマンだ。


「ちょ、旺。チョコ机に置いて」

「へ? あー、うん」 置いた。

「これでいい?」

「その上に手、置いてみ?」

「へ? あー、うん」 置いた。


「そろばん」


  パシャ


 なるほど。写真を見る。更に、なるほど、と思った。お母さんも「なるほど」と言った。


 それから色々と写真をとった。ちょっと、至福のときである。


 その間、テレビはつけたままである。もったいないとか言わないで。



 しばらく経って、俺達は正気に戻った。正気に戻った俺と姉が言った最初の言葉は、


「「このチョコ、どうする?」」


 うーん。なやむ。


 お母さんは飽きて、テレビ観てる。



「じゃあさ、」


 姉は言う。



「今日は、お座敷に飾っておこう」



 飾った。



 俺達は、チョコを拝んだ。



 その間、お母さんはテレビ観ながら寝てた。こら、もったいないでしょ。

 二週間後には、チョコは消え失せてました。甘かったです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ………………え? あれ? な感じで終わりました。 実話なのかな。 仲里さんはいつでも相変わらず厭味な言葉責めですね。 いやほんとマトモに会話をするのを躊躇うパワーがあります。 彼に付…
[一言]  どこに具体的な大きさが書いてあるのでしょうか? ちょっと僕には分かりませんでした。胴体との比較の部分でしょうか? そうなのだとしたら、読み手はお母さんの体格も知らないわけですから・・・とい…
[一言]  どれくらい大きいのか、見てみたいですね。せっかくエッセイなのですから、サイズや入手場所などの詳細を書けば、驚きが増しますよね。その点が、少し残念ではありました。  国後さんとは逆で、このよ…
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