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プロローグ
女は満月を見るたびにいつも考える。
死霊術士とはなにか。
全ての人間は、七つの属性のどれかをもって生まれ、自分では決められない。
陽・月・木・火・土・金・水
太古より夜は死の時間であり、死霊術は月属性ではあるが、その闇は濃く、その才をもって生まれるものは月の術士でも一握りである。
忌み嫌われるその才を持つ苦しみ。
完全な月属性の証明であるその才を持たない悲しみ。
満月を見るたびに、いつも思う。
その美しさへの畏敬の念と、嫉妬の思いで、女は喉をさすった。