自宅監禁
「心愛、今日からここがお前の家だ。飯は一日二食、外には絶対出さない」
男はドアをあけ、私を中へ連れて行く。むせ返るような汗の臭いが充満している。あまりの臭さに顔が引きつっているのが分かる。
「心愛、お前少し臭うな、よし風呂に入るか」
私が臭い? あなたのほうが百倍臭いわ。
男の手が私に伸びてくる。必死に抵抗しようとしても相手は大の大人、敵うわけがない。
無理やり風呂場につれていかれ、体中を洗われる。最初は頭、腕、脚、そして……
私は泣き叫んだ。しかし、もちろん誰も助けになどこない。
何もかも男の思い通りにされる。私は徐々に反抗する気力が失っていくのを感じた。
「そうそう、お前は俺のものだからな。これはその証だ」
びしょびしょに濡れた私をタオルで乾かし終えた後、男は私にきつい首輪をかけた。
痛い、苦しい、何とかはずそうとするも首輪はがっちりと巻きついてびくともしない。
どうして、どうしてこんなことするの?
お母さんに会いたい、私の兄弟たちにも。
「うるさいやつだな、腹でも減ったか?」
お腹は……確かに空いている。かれこれ。三日も食べていない。
「ほら、食えよ」
何これ!? グジョグジョになった嘔吐物のようなものが目の前に置かれる。生臭い臭いを放っている。
食べないと死んじゃう、食べないと死んじゃう……
「おお、食ったか。よくもまあ、こんなもん食えるな」
くやしい、くやしい。涙がこぼれそうだ。絶対復讐してやる、絶対復讐してやる。
腹の立つことにグジャグジャの食べ物はなかなか美味しかった。
ふと、下腹部に違和感を感じる。こんな状況なのにもかかわらず尿意が襲ってくる。
落ち着かなくなってその場をうろうろする。
「なんだ? ああ、トイレか。ここでしろ」
部屋の隅にある小さな箱に連れて行かれる。
こんなところでできるはずがない! せめて、向こうへ行って!
わたしの祈りも届かず、男はかがんでこちらをじっと凝視している。
もうだめだ。私は観念してその場で用を足した。
「終わったか? じゃあそこをどけ」
男は私をどかすとトイレをあさり、私の汚物を袋に入れた。私から羞恥心まで取り上げようというのだ。
もうどうでもいい、一生私は彼のペットとして過ごすのだ。
案外それも悪くないかもしれない。ご飯は毎日食べれるし、住むところも提供してくれるようだ。
男も私に危害を加える素振りもなさそうだ。思いのほかいい奴なのかもしれない。
彼の期待に応えられるようにがんばろう。私は彼のものなんだから。
「よし、心愛。一緒に寝るか?」
「ニャア」