仲間-2
コンコン、と部屋をノックする音が静な廊下に響き渡る。
「…光?俺だけど…。入っていいか?」
まず入らしてくれるのか?
…………………。
いつまでたっても返事が聞こえない…。
仕方ないので扉を無理やり開けることにした。
「…悪いが勝手に入らせてもらったぞ。」
光は俺を見た瞬間、部屋の隅まで逃げてしまった。
扉?壊したけど、多分問題無いと思われる。
「…光?」
気付けば光は小刻みに震えていた。
「…み、水希…。まだ怒ってる…?ごめんね…。私が悪かった…。だから…!」
そう言っている途中も俺の眼を見ていない。
あの気の強そうな光が泣いている。
「光。俺の眼を見て。もう大丈夫だから。」
「ひっ!無理よ!怖い…水希の眼が怖い…!」
…これは重症だな。
ここまで怖がられると思わなかった…。
「…俺はもう怒っていないよ…。もうあんな冷たい眼はしない。だから顔上げてくれ。」
「…本当に…?」
「本当だ。」
今はキレてないから大丈夫…のはず。
「……………。」
光は無言で顔を上げてくれた。
気の強そうな顔は涙で濡れていて、クシャクシャだ。
眼も泣いていたので赤くなっている。
「…な?大丈夫だろ?」
「………………。」
光は無言。まだちょっと震えている。
「…まぁ、今はいいから、これから少しでもいいから俺に慣れてくれよ。」
「…………気が向いたらね…。」
…やっぱりお嬢様か。
そうじゃなきゃらしくないとは思うが。
こういうやり取りも初めてだな。
喧嘩はしたことあるが、仲直りした事はない。
仲直りとは良いものなのだと、この時初めて実感した。