白黒-3
「改めてよろしく、水希。私達はこれからは仲間としてやっていかなければならない。そして私の名前は黒木 真人。気軽にマサとでも呼んでくれ。」
「…よろしくな、水希。」
「……………よろしく。」
「水希…ね。まぁ、一応よろしく。」
マサが、紅が、樹が、光が俺の仲間…?
これは夢か…?
「…お前ら…俺なんかを仲間として認めてくれるのか…?」
「うん?何か変か?これから一緒にいるんだから仲間に決まってるだろう?」
「………………友達みたいなもん。…仲良くしよう。」
友達…。
俺を友達と呼んでくれるのか…?
「…ありがとう。…よろしく。」
なんともよく分からない感情が沸き上がってくる。
しかしただ一つ言えることがあった。
今までの孤独感というものは、確実に消えつつあったのは間違いない。
「ちょっと!何泣いてんのよ!」
「…え?俺泣いてるのか?…嬉しかったからかな…。」
昨夜流した涙。
それとはまた別の涙を俺は流していた。
心なしか暖かい気がした。
「………水希。…これ。」
樹がいつの間にか俺の隣にいて、ハンカチを渡してくれた。
「樹…。ありがとう…。」
…本当に光と双子なのかが疑問だ。
正反対じゃないか。
「…やっと出来た初めての友達だ…。友達ってこんなにいいもんなんだな…。」
「…あんた友達いなかったの?」
「あぁ。水色の髪だったからいじめられててな。味方すらいなかったよ。」
「ふぅん…。でもあんた男でしょ?水色が好きって…どうなのよ?水色って言ったら普通女の子じゃない?」
…聞き間違いか…?
今光は何て言った?
要するに水色が好きなのは変って言ったよな?
「…どうした?水希?」
今まで何度も言われてきた言葉だが…
友達になった矢先に言われたら苛立ちは半端ないな…。
裏切られた気分だよ。
何だ?この感覚は…?
怒っているはずなのに身体は熱くなるどころか…
身体の芯から凍える様な感じ…。
何かが解放されたような…そんな感覚。
「……………ヤバイ。水希から離れろ……!」
凍える様に冷たいはずなのに不思議と寒くない。
心なしか、自分から水色のオーラが出ている様な気がする。
「…水色をバカにするのは…許さねぇ。謝罪しろ。」
自分で言ったのが不思議な位冷たい声が出た。
「…えっ?えっ?」
光は何の事か分からず困惑している。
何故か今なら樹のやった様な事ができる気がした。
「!?伏せろ!!!」
「……『ブリザード』」
言葉を発した瞬間身体から冷気が放出された。
いや…冷気というよりは吹雪に近かった。
コントロールは利かなかったが。
「うぉ!!!やべぇ!!!あいつコントロール出来てないぞ!!!樹!止めろ!!!」
「………それは無理。…『植物』は冷気には負けてしまう。」
「ちっ!紅!お前が1番相性がいい!ダメ元でやってみろ!」
もう自分じゃ止められない。
どんどん冷気が溢れだしていく。
「俺ですか!?…やるしかないみたいですね…。」
紅はさっき樹がやったように手を重ね呟いた。
「…『フレアレイン』!」
とたんに火焔の雨が降り注いだ。
その火焔の雨は吹雪を相殺し、溶かしていく。
そしてブリザードは止んだ。
「……(ガクッ」
俺の意識はここで途切れた。
to be continued…