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可愛い子には要注意!  作者: 逢花 奏音
9/38

episode.8 ハプニング

〈扉を開ける〉


「ん?おー遥。はよー」


「航輝、おはよう。」


内田 航輝。遥とは中学時代からの親友。遥と同じ1学年でサッカー部所属。シュートとドリブルが大得意。チームメイトや監督から信頼されている。可愛い子好きですぐ手が出てしまう癖がある。そのせいで、女子からは冷たい目で見られている。愛称は「航ちゃん」


「珍しいな。遥が遅れてくるなんて。」


「あー…いや、その前から来てたよ。」


「え、マジか!」


「内田君、HR中よ。静かに。」


「あ、はい…」


航輝は、遥と話してるのに気づかれて注意されてしまった。それを聞いた男子が笑ってバカにした。


「航輝、怒られてる~」


「ほんとだ~、ダメだろ。航ちゃん。」


「…………」


「ほら、君達もでしょ。もう少しで終わるから喋るの我慢してね。」


「はーい…」


「分かりました…」


キーンコーンカーンコーン…


「はい、HR終わり。皆授業頑張ってね。」


「はぁ…終わった…くそ…あいつら…俺に恥かかせやがって…」


「まぁまぁ、わざとじゃないんだし気にするなよ。それに喋ってたの俺も同じだよ。」


「遥~、お前ってほんと優しいよな。」


「そんな事ねぇよ。っていうか、授業行かないか?」


「おう。遅れるとマズイし行くか。」


遥と航輝は、一時限目の授業の準備をして別の教室に向かった。


4時間後…

キーンコーンカーンコーン…

昼休み…


「なぁ、遥。屋上で弁当食わねぇか?」


「あ…航輝。悪い…俺、行くとこあるんだよ…」


「行くとこってどこ?」


「ちょっと保健室に…約束してる人がいるから…」


「約束してる人?誰だよ?」


「えっと……名前は、如月 星名っていって…二つ上の先輩…」


「先輩…ね…なるほど…まぁ、気にせず行って来い!」


「…?お…おう…」


遥は、航輝を見て首を傾げて変だと思っていた。話が終わって星名のいる保健室に向かった。


(あの子…今、星名の名前言ってた…ちょっと聞いてみようかな…)


「ねぇ、そこの君!」


声をかけられて呼び止められた遥は後ろを振り返った。遥を呼び止めたのは星名の親友、深雪だった。遥は、深雪のとこへ駆け寄って問いかけた。


「俺に…用ですか?」


「あ…うん…ちょっと星名の事…聞きたくて…」


(星名先輩の事…?あ、もしかしてこの人が先輩の言ってた…)


「もしかして…如月先輩の親友の伊藤先輩ですか?」


「え…そうだけど…何で分かったの?」


「如月先輩が言ってたので。そうかなと思って聞いたんです。」


「そうだったんだ…」


「はい。あ、丁度良かった。伊藤先輩、ちょっと一緒に来てもらいたいとこがあるんです。」


「え…ちょ…ちょっと待って!」


遥は、深雪の手を取って走り出した。そう、深雪と星名を仲直りさせる為に連れて行ったのだ。


〈扉を開ける〉


「如月先輩、連れて来ましたよ。」


「え…連れ来た……深雪…」


「……っ、星名…」


星名は深雪が来るとは思っておらず来た事に驚いていた。すると、深雪が口を開いた。


「星名…酷い事言って…怪我させてごめんなさい!」


「…っ…」


「私のせいで…星名に嫌な思いさせて…ほんと…」


「もういいよ…深雪…言いすぎたのは私も同じだよ…いつもみたいに仲良しでいようよ。だから、仲直りしよ?」


「そうですよ。仲良しでいるのがいい事ですよ。仲直りの握手しましょう。」


「深雪。仲直りの握手。」


「うん…」


遥の言う通りに、星名が深雪に手を差し出して深雪がその手を握って仲直りの握手をした。心の中でもう二度と、喧嘩しないと誓って。


「ありがとう。真崎君。おかげで深雪と仲直りできたよ。」


「良かったですね。役に立てて光栄です。」


「真崎君?」


「あー、二つ下で後輩の真崎 遥君。深雪と仲直りできるように協力してくれた人なんだ。」


「そうなんだ。星名と私の為に協力してくれてありがとう。私は…」


「いえいえ。言わなくても知ってますよ。伊藤 深雪先輩ですよね?」


「あ…うん…」


深雪の言葉を遮って、名前を言った。それを聞いた深雪は驚いていた。


「星名、真崎君に私の名前教えたの?」


「教えたというか…つい、口に出してたって感じかな…」


「ふーん…そっか…あ、いけない!こんな時間!部員と集まるって約束してたんだった!星名、ごめん…私行くね!」


「うん。じゃあね。」


時計の時間を見てテニス部の部員と話し合いの約束をしていた事を思い出し体育館へ急いで飛び出して行った。


「深雪も大変だな…」


「そうみたいですね…でも、仲直りできたから良かったですよ。」


「うん。そうだね。」


「はい。…ちょっと外の空気吸いたくなりました。少し外に出てきますね。」


「あ、待って。」


「え…」


「遥君。私も…きゃ…っ」


「わっ!」


星名がベットの隣にあった椅子の脚に躓いてバランスを崩して遥の方に倒れこんだ。


「んっ…」


「んっ…」


(何か…柔らかい物が当たってる…何、この感触…まさか…私…遥君とキスしてる…⁉)


遥の上に星名が覆いかぶさるような形になっていた。その時、倒れこんだ後にお互いの唇が触れてキスをしてしまっていた。ゆっくりと離れて見つめあって星名が…


「……もう一回…」


「ん…っ」


星名は「もう一回」と口にして遥の唇に二度目のキスをした。遥は戸惑って動けなかった。しばらくして離れると星名が口を開いた。


「ご…ごめん…私が…躓いたりしたから……」


すると、遥はゆっくりと起き上がり星名がいるベットに座って…


「…大丈夫ですよ…謝らないでください…」


「…遥君…っ」


「でも…星名先輩とのキス…嫌じゃなかったですよ…」


「えっ⁉……っ////」


(……俺って、何言ってんだろう…嫌じゃなかったとか、キスしたかったみたいな言い方じゃん…俺のバカ…っ)


「……っ…そ…そう…なの…?」


「…あ…はい…」


(遥君って…なんて可愛い事言うの…っ。そんな事言われたら…心臓が破裂しそうだよ…っ)


星名はドキドキと高鳴っている胸を抑えて落ち着かせようとしていた。その時、遥が星名の方に振り向いて…


「でも…先輩。二度目のキス…はズルいですよ…」


「えっ…なんで…?何かいけなかった…?」


「…いけなかったというか…」


星名の問いかけに戸惑って黙り込んでしまった。すると、遥が少し顔を近づけて…


「だって…その……二度目のキスは…俺がしたかったですよ…」


「………えーー⁉」


遥の思わぬ言葉に星名は大声を出すほど驚いてしまった。唖然としている星名を見て遥は問いかけた。


「星名先輩…?」


「え…何…?ん…」


星名の名前を呼んで星名の唇に優しいキスをした。そして、離れた後に…


「今のキスは…可愛い事を言ったので…俺からの罰です…」


「……っ…////ば…ば…罰⁉」


「はい…そうです…先輩が可愛い事言うからいけないんですよ…」


(罰が、キスって…可愛すぎるよ…って…何、共感してんのよ…私のバカ…っ)


「…私、可愛い事何か言った?」


「言いましたよ…」


キーンコーンカーンコーン…


星名と遥の会話を邪魔するように昼休み終了の鐘がなってしまった。


「あ…昼休み終わっちゃった…これから午後の授業か…」


「先輩。俺、行きま…っ」


遥が立ち上がろうとした時、星名が後ろからギュッと抱きついた。遥の肩に頭をつけて…


「離れたくないな…」


「ダメですよ…授業をサボるわけにはいかないですから…」


「だよね…はぁ…時間が止まってくれたらいいのに…」


時間が止まってほしいと星名の言葉を聞いて遥は…


「さっき…ダメって言いましたけど…先輩のわがままに…付き合います。」


「え…でも…」


「いいですよ…実は、ダメって言っておきながら俺も先輩と離れたくないんです…」


「……っ…遥君…」


「俺も…わがまま言っちゃいました…良くない…ですよね?」


「…ううん…わがままくらいたまにはいいよ…」


「ふふ…そうですね…たまには…ね。」


「うん。」


してはいけない事だと分かっていても…星名と遥はどうしても離れる事ができずお互いにわがままを言って抱き合ったまま放課後まで一緒にいることにした。
















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