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可愛い子には要注意!  作者: 逢花 奏音
3/38

episode.2 失敗

「はい、今日はここまで。みんな気をつけて帰るんだよ。」


「はーい、先生。」


「先生、また明日。」


「はい、また明日ね。みんなさようなら。」


放課後…


(ふぅ…日直の仕事終わった。後は、担任に提出するだけっと。)


「ん?もうこんな時間か… まぁ…大丈夫かな。早速、始めますかっ」


星名は、一つ物を手に取って教室を出た。


(この辺なら、いいかな…)


〈物を落とす〉


(拾ってくれる人ってどんな人だろう…)


落とした物は、携帯。星名が考えた作戦は「落し物作戦」その作戦とは…わざと物を落として通りかかった人に拾ってもらって出逢いのきっかけを作ること。

なぜ、出逢いのきっかけを作るのに落し物作戦なのだろうか…まぁ、ここは聞かないでおこう…それはさておき。さて、その落し物作戦に引っかかる人はいるのか…

しばらく様子を見て、30分後…


「ん?なんだ?これ、誰の携帯だ?」


(あ、かかった。ちょっと行ってみよ。)


拾うのを確認した星名は、拾った相手のとこに駆け寄った。誰が拾ったのか見ようとした時、その相手が立ち上がった。


「え…嘘…」


相手の顔を見て星名は固まってしまった。

携帯を拾った相手は、汗だくのハゲたメガネデブのA君だった。


(こ、この人が…私の運命の人…そして彼氏になる人…いやいや、あり得ない…あ、頭なでたら幸運訪れるのかな…よし、なでてみるか…って、私ったら何考えてんの!)


「これ、君の携帯?」


「あ、はい…私のです…」


A君に問いかけられた星名の顔は引きつっていた。A君が拾った携帯は汗のせいでベタベタになっていた。


(うわ…私の携帯が…早く返してくれないかな…)


「もし…良かったら、連絡先交換しない?」


「え…連絡先…ですか?」


「うん、出会った記念でさ。ダメかな?」


「……ごめんなさい!あ、携帯拾ってくれてありがとうございました!では!」


携帯を奪うように取って、逃げるようにして走って行った。

次は、違う場所で作戦をやって拾ってくれるのを待っていたが誰も来なかった。それから繰り返しやったけど、通りかかる人はいなかった。携帯はベタベタ、人はA君以外来ない、作戦は失敗に終わった。


(その後は、誰も来なかったな…はぁ…)


ため息をつきながら、星名は階段で下の階へ降りていった。俯いたままフラフラした状態で地下に着いた。そのまま右に曲がり…


「きゃ!……いた…っ」


角を右に曲がったとこで、下に置いてある看板に足をぶつけて転んでしまった。看板の近くにあった柱を支えにして立ち上がり制服に着いたホコリをはたいて…


「ん?なにこの部屋…こんなとこにあったけ…」


顔を上げた時、目がいったのは薄茶色のペンキで塗られた木の部屋だった。


「入ってもいいのかな…」


星名は、不安になりながらも中に入った。


「わー…広くて素敵…」


そこは、風通しの良いフワリと優しい自然の木の香りが漂う落ち着きのある居心地のいい空間だった。

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