◆打ち上げ会の翌日
「えっ、太田さんから電話!?」
ママから子機を手渡されて、あたしは内心かなり動揺した。
というのもヒガシの家に立ち寄った昨晩。
帰宅時間が深夜になってしまって、怒ったパパからこってりとしぼられたばかりなのだ。
それなのにまた太田さんからねちねち言われるのかと思うと、うんざりする。
一瞬、居留守を使おうかと迷った。
しかし、今逃げてもどうせ月曜日には学校で顔を合わせることになる。
(うーん、しゃーないな……)
観念して電話にでると、意外や意外、通話口からは心配そうな声が聞こえてきた。
『鈴木さん、昨日はごめんなさいね。身体のほうは大丈夫?』
「えっ、なんで怒ってないの!?」
びっくりしたあたしが驚きの声をあげると、今度はムッとした声が返ってきた。
『開口一番になによそれ。人を怒りっぽく言わないで』
「だってあたしってば酔っ払ってヒガシに絡みまくってたんでしょ!? てっきり発狂されるもんだと覚悟していたんだよ」
『きーっ、嫌なことを思い出させないでちょうだい! だいたいねぇ……』
そこからいつもの電波トークが始まって、うんざりしつつもちょっとホッした。
やっぱり太田さんは、猿みたいにキーキーわめいてるほうが似合ってるよ。
殊勝な太田さんなんて全然彼女らしくないもん。
あたしは適当に相づちを打って電波トークを聞き流し、区切りがついたところで「太田さんって猿に似てるよね」と言ってすかさず電話を切った。
さてと、月曜日からまた学校頑張ろうっと!