俺の幼なじみは可愛い
放課後、図書室の知者を呼び出して、告白イベント
キャラ:主人公、本多彰平、×××××
「友達じゃなくて男として見て下さい!」
気合いがこもった声が、風を取り入れるために少し開けた窓を通り抜けていった
山田君、頑張れー
無責任に応援しながら、手元の公務員試験対策集をめくる
彼に相談を受けたのはつい先日のことだ
「加奈子ちゃんに告白するつもりだけど、薔薇を百本か年の数か、どちらの方がいいと思う?本多君」
「…まず薔薇をそんなに貰っても迷惑だと思うが」
真剣な山田君に対し、俺は当たり障りのない返答しか出来ず、
「そっか…、ありがとう。もう少し考えてみるよ」
と図書室を出て行った山田君がどんな告白プランを練ったかはわからない
「…薔薇だと加奈子ちゃんの手に棘が刺さっちゃうかも知れないから駄目だね…危ないし、第二案にして…誕生石の装飾品で」
山田君が図書室から出ていくまでの独り言など、俺の良すぎる耳には入っていない、知らない
加奈子の誕生日四月だった気がするとか、付き合ってない男からいきなりアクセサリーは嫌がられると聞いたことがあるとか考えてなかったし、ドア越しから指輪…なんて単語も聞いていない、大丈夫、空耳空耳
それよりも、だ
幼なじみをどう収拾つけるべきか…
加奈子曰わく、幼なじみはあまり女子の間で嫌われては無いらしい
美形集団からかまわれているというやっかみはあるが、彼ら自身が宥めていて実害はなく、また美形集団が気になってる女の子にはさりげなく仲介をしているのでチャンスを貰えて感謝している子も多いという
美形集団の中に好きな人…そもそも今気になってる人がいない加奈子は、仲介を見るとなぜか嫌な気分がするらしい
それはそうだろう…幼なじみは彼らが自分にしか眼中にないとわかって仲介をしている
そうとしか、俺には思えない
…私は少しお手伝いをしただけで、楽しくお話出来たのは貴方自身の魅力ですわ
無邪気な声が頭の中を流れる
…応援しますわ、私も出来る限りお手伝いしますわね?
明るい笑顔が頭に浮かぶ
胸の中に形容しがたい感情が流れ、流れて…衝動的に口に出そうなそれを握りつぶした
あいつは…大切な幼なじみだから
幼なじみに呼び出された
いつになく真剣な顔だったため、訝しく思いながらも司書の方に予め声をかけて待ち合わせ場所へ向かった
旧校舎裏の名がない大樹、この木の虚に恋文を入れて思いを通わせた逸話があり、今では告白の名所として使用されている場所を幼なじみは待ち合わせ場所として指定した
クラスが同じなため、声を掛けても良かったが幼なじみがホスト担任に呼び出されていたため、本を読みながら待つことにした
幸い、待ち時間は少しで済んだのだが、話を始めたが様子がおかしい
話す前から頬が少し赤みを帯びていたが、化粧品によるものと気にしなかった。しかし普段の快活な話し方と違いしどろもどろであり、耳や俯いた時に見えた項が赤く、風邪をひいたかと昔していたように額で熱を計った
どうやら緊張で血圧が上がっただけであり、風邪の症状でなくてほっとした
幼なじみは満ち足りたように胸を抑え、俺の名を呼ぶ
「彰平君」
聞いていると頷こうとして、次の言葉で固まった
「好きです」
思わず無言で幼なじみを見た
そこに居たのは始めて見る綺麗な子だった
…あぁ、惚れてる奴らが見るこいつってこんなに綺麗なのか
幼なじみであることに間違いない、ふわふわと揺れる栗毛、薔薇色に染まる頬、ぷるりとした桃色の唇、そして耳に残る甘過ぎない心地よい声、まるで俺の脳だけが異常を起こしてたように彼らが話す幼なじみがそこに居た
「私は貴方が好きです」
何かを思い出しながら言っているのか、ゆっくりと、その言葉を大切にしながら語りかけてくる幼なじみ
それを嬉しく思いながら何かが違うとぐるぐると胸を回る
ボタンを掛け違えたような違和感
「付き合って欲しいなんて今は言いません…」
ぐるぐる、ぐるぐる、胸が気持ち悪い
「私を幼なじみじゃなくて…一人の女の子として見て下さい!」
そう言って目を瞑った幼なじみに俺は何か言おうと口を開き…目の前が真っ白になった
………
目が合った
僕の脳内に映画のフィルムが何十本も流れ出す
その莫大な情報に激しい頭痛が発生し、崩れ落ちそうな体を必死で支える
似たような内容が繰り返される映像を整理できず、不必要に要らない情報と不快感と嫌悪感が蓄積され…
触れようとしてきた手を衝動的に払いのける
「触んな、ビッチ」
不快感と嫌悪感が命ずるままに言葉が口にして…唐突に理解した
これは俺の…僕の大切な幼なじみではなく、人を騙すのに罪悪感もなにもない人間であることを
どこかに消えてしまった俺の本当の幼なじみは、こいつに乗っ取られたことを
何か凶器になるようなものはないかと自分の所持品を脳内に思い浮かべたとき、不意に知らない音楽が胸ポケットの携帯から流れ出した
ちらりと呆然とした女の顔を見て逃げそうにないのを確認し、着信画面を見た
そこに書かれていた名前は、もう見ることのないはずのものであり、若干戸惑いながらその名を呼んだ
「…利里奈?」
「あーちゃん」
聞きなれた懐かしい呼び名に、頬が緩む
「あーちゃん、あのね…」
二年だけ会っていないだけなのに溢れ出る歓喜が抑えられない
どうでもいい思いをすべて投げ捨ててこの小さな携帯に意識を集中する
「あーちゃん、あーちゃん…」
少し幼い無邪気な声、利里奈しか呼ばない特別なあだ名
会いたい、抱きしめたい、思い切り甘やかしたい
「…利里奈」
「…どうしたの、あーちゃん?」
「聞いてほしいことがあるんだ」
いつかの約束、好きな人が出来たら教えあうこと
「…うん、わかった。その日に家に居とくね」
その日までに、全て片付けておこう
夏休みの宿題も、部屋の掃除も、利里奈が好きなケーキの予約も
電話を終えて、女のほうを見ると恨みがましい目で俺の携帯を睨んでいた
…ああ、粗大ごみも捨てなきゃな、すぐ終わるし
「俺はお前のことを女の子として見たことはない」
幼なじみだと思い込んでいたからな、今思えばこいつと利里奈を同列に扱うなんて馬鹿にもほどがある
高校デビュー気取って一人称変えたせいか?
一応告白されたからこの女にきちんと答え返して、上から聞き耳立ててる星野先輩に押し付ければ大丈夫だろ、保険医にも電話入れてダメ押しもしておこう
煮るなり焼くなり好きにどうぞ、もう止めないし
言いたいことだけ一方的に言い、大声で先輩を呼び、保険医に連絡を入れるなどすべての処理を終えて、慌ただしい学園内を利里奈の好きそうな店を携帯で検索しながら図書室へと向かう
好み変わってないといいんだけどな…ああ、そういえば
「あいつの名前、なんだっけ」
まあ、いいか
どうせ呼ぶことなんてないし
ゲームでは明かされない本多彰平Bad endでした
彼にとってはHappy end
主人公が騙した風になっていますが理由があるので、主人公は一応幼なじみです、一応
主人公が見た素敵なことは、山田君の告白風景です
山田君はどっかの御曹司で、多少人と金銭感覚がずれています
山田君endは難易度が高い友情endで、彼とのスチルはないので一度クリアしたらそれでお終いです
ただ全スチル一覧で見れるパスワードの意味を知ることができるendでもあるので、達成感が満たされるendでもあります
今回のタイトルはちょっと迷いましたが、シンプルにひねりなしで
語られないことも多いですが、短編から少し続いた本編はこれで終了です
最後まで読んでいただきまして、本当にありがとうございました。
外伝、設定、おまけなどもありますので、そちらも読んでいただければ幸いです
長々とありがとうございました