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番外編⑤ 私のお姉様

ルビアナの妹目線

 私の名前はミカ・アルトガル。私には優しいお母様と大好きなお姉様と生意気だけど嫌いじゃない弟がいる。

 エドが家にやってきたとき、お母様が悲しそうな顔をしていた。優しくて、大好きなお母様が、愛人の子供だからって辛そうだった。だから私はお母様と一緒にエドにひどい事を言ってしまったりしていた。だけど、お姉様は、エドに対してそういう態度はしなかった。

 エドに向かって笑いかけて、安心させるような態度をしていた。お姉様は、エドの事を家族として受け入れいていた。お母様があんなに悲しんでいるのに。正直裏切りだと感じなかったわけではない。だけど、お姉様はどこまでも大好きで優しい私のお姉様だったから。エドに優しいお姉様。だけど私とお母様に対しても優しくお姉様は微笑んでいた。

 お姉様は、人の幸せを願える人だった。愛人の子供であるエドの事も、家族だから幸せになってほしいと願う人だった。そんな、自分の手で届く範囲の人は幸せにしたいって思っている、お人よしで、大好きなお姉様。お姉様が願うから、お母様も私もエドを受け入れた。

 エドが悪いわけではなく、お父様が悪いってそうやって受け入れることができたのはお姉様がいたからだ。それから長い月日をかけて、私はエドを本当の意味で弟として受け入れた。

 可愛くはないけれども、お姉様の事を取るからやだけど、でも家族だ。大事な弟だ。

 お姉様は私とエドの事を可愛がってくれていて、それでいて私たちの幸せを常に考えていた。私はそんなお姉様にこそ、幸せになってほしかった。

 だってお姉様が居たから、お姉様が行動してくれたから私たち家族はギスギスとかすることなんてなくて、優しいお姉様が微笑んでくれるから私は幸せをもらっていたから。

 だから、私はフィルベルト君がお姉様を好きになって、お姉様はその好意に欠片も気づいていなかったけれどフィルベルト君の事を好きだな的なのが見てとれた時、嬉しかった。

 フィルベルト君みたいな人を射止めるなんて流石お姉様と感心した。

 だけど、あまりにも鈍感すぎるお姉様はフィルベルト君の思いはおろか、自身の思いにさえ気づいていなくて、正直どうしたものかと悩んだものだ。学園の生徒のほとんどにとってそれは承知の事実だった。

 まぁ、そんな中であの勘違い女が現れて色々あった。お姉様はあんな女も見捨てられないらしい。理由は私には話してくれなかったけれど、あの子に何か思うところがあったみたいだった。そのこともフィルベルト君にだけは話している様子で、そこだけ見てもやっぱりお姉様にとってフィルベルト君は特別なんだと実感した瞬間だった。

 寧ろこれだけ特別っていう態度をしといて、特別だと気付いていない、ただの友達だと思っているお姉様は色々な意味で鈍感すぎるとしか言いようがない。

 あの子は気に食わないし、消えてほしいとさえ思った。だって私たち家族が仲が悪いなんていうわけのわからない事をほざくのだ。そんな勘違いをして、お姉様に大変な思いをさせる、そんな存在許せなかった。でもお姉様がそれを嫌だというから、権力を行使してわざわざ突き放すなんてマネはしなかった。

 でも、お姉様があの子を助けるために死にかけたと聞いた時には流石に血の気が引いた。あの子を責めようとした。だけどあの子は今まで様子が違う様子で壊れたかのように泣きじゃくっていた。

 「ゲームと違う」「どうして悪役令嬢が」「私は」とよくわからないことを繰り返して、そして泣いていた。そんなあの子の事を理解したような顔をしていたのはただ一人で、ヴィーア・ノーヴィスだった。私が知らないところでお姉様と仲良くしていた子。

 「ここは現実ですよ。貴方の行動一つですべてが変わるの」

 そう、ただいった。

 「ここは乙女ゲームの世界ではない」

 と、よくわからない言葉と共に言い放った。

 そうすれば益々あの子は壊れてたように泣き喚いたけれど、ノーヴィスはあの子に冷めた目を向けて去って行った。

 その後、勘違いばかりで学園を乱したあの子は学園を去り、あのリサ・エブレサック様の元へいった。学園に謝りにもきた。学園にいた時のあの子とは別人だった。むしろ、学園のいた時の方がおかしくなっていたのかもしれない。それでもやらかしてしまったことは変わらないから、同情はしないけれど。

 お姉様とフィルベルト君は付き合いだしたし、エドはいつの間にか好きな子とうまくいっているし、私も恋人ほしいなぁなんて思っていた。そのことをつぶやいたら、お姉様が「ミカにはぴったりの子を探してあげる」って張り切りだしてちょっと困ったけれど、お姉様が生き生きしているからいいかと思った。

 お姉様、大好きなお姉様が笑っているだけで私は幸せなんだよ。




 私はお姉様が大好きだ。




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