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リーラ・エブレサック 3

 私とシエルは、双子で、お人形のようだってよく言われた。見た目的に私もシエルも冷たく見えるらしい。お母様のように常に穏やかで人を安心させるような笑みを浮かべるだなんて私には難しい。

 お母様は優しくて、お母様はどんな時でもいつも通りで、そんなお母様だから一緒に居て沢山の人を安心させて、沢山の人を幸せに出来るのだ。

 中等部に上がって、カイエンは益々もてだして。凄く嫌だった。カイエンに近づく女子生徒がいると、わざと近づいたりしてしまって。ちょっと自分の事が嫌になった。でも、カイエンを取られたくなかった。

 空間が好きなのだ。大好きな人たちと過ごす空間が。

 その空間が失われたくない。そう、思っていたから私はシエルが好きな人とか作って、親しんだ空間に誰かを連れてこなくてよかったって思ってた。まぁ、シエルは大事な家族だからなんだかんだで恋人が出来たら、ちょっと嫌だなとは思うけれど応援はするだろうけど。

 カイエンも告白はされていたみたいだけど、そういうものに興味はないみたいだった。

 シュア様の言いつけでどんどんカイエンは人前では仮面をかぶるようになっていた。私は、私やシエルの前でカイエンが素を出してくれることが嬉しかった。私は、私の事は、特別に思っててくれているんだってそんな風に思えたから。

 高校に上がっても、対してその関係は変わらないと思ってた。

 でも、あの女が、メルト・アイルアがやってきて色々とばたばたして。っていうか、あの子、私のお母様の事をかわいそうなんて口にして本当許せなかった。

 結局、アルトガル先輩が色々動いてアイルアさんは今私の実家にいる。色々事情があったらしい。子供みたいに泣きじゃくって、ごめんなさいという彼女を私は責める事は出来なかった。許せないとは思っていたけれど、お母様が彼女をどうにかしようとは思っていたみたいだから。

 今、お母様のおかげもあってかアイルアさんは学園に居たころとは別人のように過ごしている。……お母様から聞いた話では、学園に居る間のアイルアさんがおかしかっただけで、今のアイルアさんの方が彼女の本来の姿らしい。

 まぁ、それは結果よければ全てよしってことで別に良いのですわ。

 私がもう、どうしようって思っているのは――――、

 「おい、ノーヴィス、いい加減あきらめろ」

 「嫌ですうぅううううううううううううううう」

 アイルアさんの一件をきっかけに、カイエンがとある女子生徒に興味を持ってしまったことである。

 ヴィーア・ノーヴィス。

 赤茶色の髪と赤い瞳を持つ、男爵家の娘。

 アイルアさんの一件の中でひそかに暗躍していたらしいそばかすの顔が特徴的な少女。

 カイエンは、彼女を追いかけている。

 風紀に入れたいのだとそんな風にいって。

 カイエンが、カイエンがこんな風に女の子に興味を持つのなんてはじめてだった。

 私はカイエンがノーヴィスさんを追いかけるのを見るだけでどうしようもない気持ちがわいてきていた。

 私のカイエンを取らないでって。嫌だってそんな気持ちが沢山わいてきて。ずっとどうしたらいいかわからなくてドロドロしていた。

 嫌だ。カイエンが。カイエンがって、ずっと胸のうちにそういう気持ちばかりわいていて、思わずノーヴィスを睨んでしまう時もあった。

 「風紀委員長、横、横、横! リーラさんを見てください。私に構わずに」

 私はわかりやすいのだろうか。ノーヴィスさんはそういうことをよく言う。まるで私の気持ちを知っているとばかりに。

 なんだかそれは恥ずかしい。

 「リーラ?」

 そしてカイエンは私の気持ちに全然気づかない。ちょっと鈍感で、ちょっとムカつく。

 気づいてくれたらいいのに。って思うけれど、カイエンとの関係が壊れるのも怖い。

 「……カイエン、ノーヴィスさん嫌がっているから行きましょう」

 追いかけてほしくなくて、その瞳にほかの女なんて映して欲しくなくて私はそういった。

 赤い瞳が私を見ている。

 カイエンのその瞳にずっと見つめてもらいたいと思う。その瞳に映し出されるのが私だけであればよいと思う。ただ、そんな独占欲は年が経つにつれ、どんどん大きくなった。

 「リーラさん、ナイスウウウ、女神ぃいい。私は行きますぅううう」

 そしてノーヴィスさんはカイエンが私の方に一瞬視線を向けている隙に、意味の分からない事を叫んで消えて行った。

 もういなくなったとか、本当凄い魔法技術ですわ。

 私やシエルも戦闘に関しての魔法は得意ですが、そういう隠密系の魔法はノーヴィスさんのようにうまくは出来ませんもの。

 それにしても、貴族の子女だというのにノーヴィスさんはあれだけ叫んで変わった子ですわ。それに、カイエンが追いかけているというのになびかないなんて、安心しますけれど、驚きました。

 「また、逃げた」

 「ノーヴィスさんは、逃げるの上手ですわよね」

 カイエンと二人になれたことがうれしくて、私は笑みを浮かべた。

 カイエンが好きだ。こうして二人っきりだと素に戻るカイエンの事が大好きだ。

 ずっと、ずっと、本当にずっと―――カイエンと一緒に居たいってそういう気持ちばかりが心にある。




ゲームでリーラがカイエンを好きだったことと、現実で観察をしていたからヴィーはそういうことを言っています。


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