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夢解  作者:
8/22

花畑

 花畑。

 ここは、昔住んでいたところにある花畑だ。誰も来ないここを小さい頃、勝手に自分の隠れ家にした。親にも、兄弟にも秘密。僕だけの楽園にした。

 ここに招待したのは、ただ一人。百合のように可憐な女性、紗江さえだ。

 紗江はここに来るなり、涙を流した。こんなに美しいものを見たことがないと、僕に言ってくれた。その時、僕は決めたんだ。

 この人と、結婚しようって。

 小さなダイヤの指輪を渡し、ありったけの勇気を振り絞ってプロポーズした。顔から火を噴くとはこういうことなのかと、その時初めて理解した。でも紗江の透き通るような瞳が、僕を真っすぐ見てくれから、恐くなかった。

「私からも、いつまでも一緒にいてください・・」

 この言葉を聞いた時、世界の色が一変して、僕は飛び上がりそうになるくらい喜んだ。

 幸せの絶頂とは、このことだ。

 一緒だよ。死ぬまで一緒だよ。握りしめたこの手は、絶対に離さない。離さなければ、一生一緒にいられる。

 僕は、そう信じていたんだ。

 なのに・・・

 結婚式の一週間前、紗江は突然逝ってしまった。本当に、呆気なく。僕が知らないところで、逝ってしまったんだ。

 神様なんていないんだと思った。なぜ、紗江なんだ?!僕らが何をしたと言うんだ?!ささやかな幸福を望んだだけなのに、与えられた運命はこんなにも残酷。

 もう会えない。昨日まで笑っていた彼女は、目を閉じて冷たくなっている。


 葬式が終わった後、呆然としていた僕は誰もいないところで声を上げて泣いた・・。  

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