独占
『ラジオの前のみなさん、今夜も残すところあと少しです。メイはとっても悲しい!最後に一枚、ラジオネームラストダンスさんからのお便りを読みまぁす!いつもありがとうございます。
メイさんのタイプの男性はどんな人ですか?わぁ困ったなぁ!えぇっとぉ優しくてメイのワガママを全部受け止めてくれる人かな!なかなかいないんだよねぇ〜ラストダンスさんは、メイのワガママ聞いてくれるかな?なぁんて!恥ずかしいぃ
では、今夜はこの辺で!お相手はメイでした!明日も聞いてくださいね☆バイチャ!!』
彼女の声は、天使の声だ。甘くて、柔らかくて、聞いているとうっとりしてくる。
外の世界に出ることを辞めた僕にとって、彼女の声は救いだった。癒される。僕が出した葉書を読んでくれた日は、生きることが楽しくて仕方ない。彼女が僕のラジオネームを読んでくれる・・僕の問いに答えてくれる。彼女は、僕に話し掛けてくれるんだ・・。
ラストダンス・・彼女といつか、満月の下で踊ることが僕の願い。
彼女をもっと知りたい。
彼女は僕のものだ。
僕だけのものだ・・・。
今夜も、彼女の夢を見よう。僕が彼女を独占できる、唯一の手段。愛くるしい顔をした彼女と向き合って、沢山話しをするんだ。僕の問いに彼女が答えて、僕のことも知ってもらいたい。夢でなら、それが可能だ。
あの日、突然僕に声を掛けてくれたあの人は、僕が夢で彼女を独占することを可能にしてくれた神だ。彼が僕の願いを叶えてくれる。
「スキな人を独占したい気持ちは、よく分かるよ・・」
あの人は、そう言ってくれた。
「ねぇ、俺が助けてあげるよ。キミの願い、叶えてあげるから」
あの日、僕は手に入れたんだ。たとえ夢の中でも、彼女を手に入れることができたんだ。
彼女を、僕だけの空間に閉じ込めることが・・。