変な二人
ゴウンン!!!
世にも痛そうない音が辺り一面に響く。
レティは、ぎょとして、たら〜りと一筋の汗をかく。
彼女が目線を上から地面に降ろした先には、一人の青年が倒れていた。
彼女は、思った。
(やばい!!ついに、人殺ししちゃった・・・)
だった。それから、考えたことが、かなり混乱していたのか。
(逃げなきゃ!)
・・・パニックしすぎである。一応、説明しとくが(今更)彼女は由緒正しい妖精族の王女である。
しかし、レティが逃げるより先に、青年が目を覚ました。
「う〜ん・・・ん」
(げ、生きてるし!)
青年はむっくりと起き上がって、状況を把握しようとした。
「俺は、どうしたんだ?確か、フツーに道を歩いていて、何かが俺の頭の上に落ちてきたんだよな・・・」
青年はかなり勘違いをしていた。落ちて来たのではなく、正確には、殴られたのだ。
「あれ、あんたが助けてくれたのか?感謝するよ」
大いに勘違いしている青年をいいことに、レティは、いけしゃあしゃあと、態度を変化させていた。
レティも、心中は、ほっとしていた。(くどいようだが、王女である)
(こいつ、何も気づいていない)
ほとんど、犯罪者である。
「そうですわ。私が、歩いていたら、いきなり、貴方が倒れていたから・・・びっくりしましたわ」
レティお得意の「お姫様モード」にスイッチがONにされる。
よく見てみると、この青年、人間でいうところの『いい男』に分類される。
服装も、庶民のものとは違う。どこかの貴族の出身だということが分かる。上等な布地が使われている格好をしている。容姿は、吸い込まれそうな空色に澄んだ瞳。太陽に透けそうな黄金の髪。
一言でいえば、レティは美しいものが好きだった。
「ありがとう。俺は、アーティス。よろしく」
「私は、レティ」
こうして、二人は出会った。伝説の冒険の間抜けな出会いであった。
道の片隅から、眺めたら一枚の絵画のように美しい光景だ。
だが、実際はこんなもんである。