ドッグフード
犬の人間味は加速し、引きこもりは絶望に打ちひしがれた。
リューヘーのごはんとはいったい?
現実とも思えない現実に打ちひしがれたリューヘーは自室にひきこもった。
リューヘーだけの世界。リューヘーにとって自室だけが現実であってそれ以外で起こった
出来事はすべて見てはいけない悪夢だ。あの犬もしかり……。
ネットダイブをし始めて何時間かたったころだった。
その時窓から自分と同じ名前で尚且つ自分よりすぐれている犬の姿が見えた。
しかも一人ではない。リューヘーをかこむようにたくさんの女の子ー人間の女の子が
ネットやゲームでしかみた事がなかった存在があのクソ犬と歩いている。
そしてこちらに、こちらの家に歩いてきている……。
一体何が起こっているのだろうか,そしておそらくは5,6人はいるその集団は
我が屋になだれ込んできた。
「ど、どど、どうしよう~こわいよ~」
とリューヘーは等身大の人形に抱きつくが何も答えてくれない。そうこうしているうちに
そのハーレム集団は二階に上がってきた。なぜ!?
そう思ったのもつかの間、その集団は隣の部屋に入って行ったらしい。
どうやらあのクソ犬には自分の部屋まで与えられているらしい。
隣の部屋からしきりにワイワイキャッキャッと楽しそうなどんちゃん騒ぎが聞こえてくる。
リューヘーは壁に耳を当て様子をうかがった。
「リューヘーちゃんの毛並みふさふさで気持ちいぃ!」
「私にもさわらせてよ~」
リューヘーという単語につい反応してしまったリューヘーは
あの犬に対してとてつもない敗北感と同時に自分への嫌悪感にみまわれた。
かといって
「随分楽しそうだね、おいらもまぜてくれよ~」
なんて気さくに隣の部屋にはいっていく勇気持ち合わせているはずもなく
結局ハーレム集団が帰るまで恋愛シュミレーションゲームに興じることしかできなかった。
全員クリアしてハーレムルートになったところでゲームを終えると既に外は暗くなっていた。
そんな事も気がつかないほど現実逃避をしていたらしい。
いつもならば食事が運ばれてくるが、家族がいない今となっては自分で調達しなければいけない。
部屋に取り付けられている10個のカギを開け、やはりいまだに怖い地獄への階段とでも名付けたい
13階段を下りるとなぜかいいにおいがした。
そしてリューヘーが見たのは例のあの犬がフランス料理のフルコース然とした豪華なディナーに
舌鼓を打っているところだった。
ちなみに床にはドックフードの入った皿。
「おい犬、なんでそんなもの食べてるんだ。お前のえさはこっちだろ」
犬はナイフとフォークを使い子羊のステーキを切っていた手を止め、
ハンカチで口元を拭いてから答えた。
「リューヘーさん、僕は生れてこのかたドックフードなんて一度も食べたことはありません。
いつも家族と同じものをたべていますからね。それなのに家族はドックフードを置いて行った。
この意味がわかりますよね?」
そう、家族の置手紙の(リューヘーのごはんはドックフードです)というのはこの犬に宛てたものではなかったのだ。
文字どうり「負け犬」の象徴としてそれはそこに置いてあった。
リューヘーは生れてはじめての敵に戸惑いを隠せない。
その理不尽さに泣きながら部屋に隠してあった非常食のスニッカーズをかじった。
失踪回避しました。
投稿遅れてすいません(人ω<`;)
いかんせん暇がないのでw
でもこの話実はかなり先まで書いるので
一定のペースで挙げていこうと思います。