圧倒的優劣
家族からの置手紙には驚愕の内容が記されていた。
リューヘーとリューヘーの戦いの火蓋が今切って落とされる。
--リューヘーへ----------------------------------
その犬の名前はリューヘーと言います。
旅行から帰ってくるまでにどちらが本物のリューヘーか
決着をつけてください。負けた方は追い出します。
うちにリューヘーは二人もいりません。
追伸
リューヘーのごはんはドックフードです
家族一同より
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リューヘーは犬をにらみつけた。
この犬は文字どうりリューヘーになり替わろうとしてるのだ。
生き残る為にはこの犬に勝たなければいけない。
生き残るのはどちらか一方。喰うか喰われるか。
犬の凛とした容姿はリアルに充実している感たっぷりだった。
しかしここで引けをとっては勝ち目がない。一言いっておく必要がある。
「お、おい犬!ひ、一言いっとくけどなぁ僕は君に地位を譲るつもりも、
この家から出て行くつもりもないからな!」
犬のリューヘーは澄まし顔で言い返してきた。
「リューヘーさん、それは私のセリフですよ。ひきこもりのあなたに負けるつもりはありませんよ。
それからわたしの名前は犬じゃありません、リューヘーです。以後、おみしりおきを。」
犬のくせに随分な口ぶりだった。犬に負けるなど引きこもりの恥だ。
ちがう、ひきこもりじゃない、人間の恥だ。
その時ピンポーンと音がした。
リューヘーはびくっとなった。
インターホンの画面に知らない人の姿が映し出されている。
今のリューヘーに人とコミュニケーションをとることなど不可能極まりない。
それを読み取ったリューヘー(犬)がにやにやしながら皮肉たっぷりに言った。
「あれ、リューヘーさんお客さんみたいですよ?でないんですか?
しょうがないなぁ私が行きますよ、これも番犬としての役目ですからねー。」
リューヘー(犬)は玄関に走っていき、器用にドアを開けた。
りゅーへー(ひきこもり)はあわてて隠れ、様子をうかがう。
「あら、リューヘー君、よしよし、お母さんは?」
「こんにちはおとなりのおばさん。家族は今旅行にいってます。」
「旅行?そう、それでリューヘー君はお留守番?」
「役目ですから。」キリッ
「偉いわねー、なにかあったら遠慮なく言ってね。」
「お心使い感謝します!」
そうしてお隣の人は去って行った。
そして残ったのは誇らしげにこちらをあざ笑う顔をした犬。
そして本物のはずだが自信がなくなってきた人間。
この犬はリューヘーが出来ない事をなんなくやってのける。
今のリューヘーにはこの犬に勝る要素を何一つとしてもちあわせてはいなかった……。
ちょっとがんばって長い文での投稿です