表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/41

境目の平穏と青春

本日はここまで!

 慌てて宿泊所に戻ると、そこは野郎共の天国でした。


「まあ、天気がよろしいですわね」

「今日も世界は美しいこと」

「うふふふふふふ」


 男爵子爵連合軍の一部五人程が、この世には善行しかないと信じ切っている様な表情を浮かべていた。

 その間抜け面といったら……今にもうっかり唾液が口から垂れそうで、とてもではないが人前に出せないレベルだ。


「ああ我が友ケイ。お前は本当にあの素晴らしさを体験しないつもりか?」

「今までの苦労が全て洗い流されるようだ……」

「ぐふふふふふ」


 俺に纏わりついてくるコイツらの共通点は一つ。

 夜は明日のパーティーの準備で忙しいため、日が高くてもやってるムフフなお店に行こうぜ! と、元気いっぱいに出陣した新兵共だ。

 っつーかなんで最近、いっつもシモの話題が付きまとうんだよ!

 それが青春のせいしゅんってか⁉ エロゲーとかいう概念の風紀はどうなってんだ風紀は!


「美人でスタイル抜群の女が沢山いてだなー」

「ワインも上等でー」

「話し上手でー」


 聞いてねえよテメエら! だがしかし、俺らの歳なら猥談が当たり前! これは神の定めた必然! 話題にするなという方が無理筋なのだ!


「ケ、ケイ君。ど、どうやら僕はここまでらしい……」

「ダ、ダリルー!」


 なんてことだ俺より先に猥談に巻き込まれたらしいダリルが、今にも昇天しそうだ!

 だが、仲間連中との馬鹿騒ぎを、これはこれで楽しいと思っているのがよく分かるぞ! これもまた友情!


 我ら馬鹿男子連合は永久に不滅だー!


「はい! お辞儀の角度をしっかり意識! そこ! 角度が甘い!」


 しーん。

 馬鹿男子連合壊滅!


 ついさっきまでアホ面晒してた連中が、地獄にでも迷い込んだような雰囲気で礼をしている。


 明日、王城でパーティーがあるもんだから、なんかスゲー角度が鋭い三角形の眼鏡をかけた、これぞ出来るマナー講師です! と、言わんばかりの中年女性に指導を受ける羽目になっていた。


 まあ、学院でも多少は学んでいるので呆れ果てられることはないが、それでも詰めが甘いため、浮かれ切っていたへっぽこ男子連合は、マナーという壁を直視する必要があった。


 マナーってのは食い物ボロボロ溢さなかったら、それでいいんじゃないですかねえ神様?

 歩き方がどうのこうの。食い方の順番がうんたらかんたら。この場面ではこう! っていうものは、後の人間がどんどん勝手に追加していくから、もう誰にも会わない方がマシじゃね? みたいな結論に陥ると思いますよ。

 神様の聖典だって後世の人間が勝手に積み重ねて、クソ分厚いものに仕上がったでしょ? それと同じっすわ。


「では少し休憩!」


 ふーい解放されたー。

 ダリルと駄弁ろうっと。


「偉い人は凄いわ。きっと、天井まで届くマナー本を全部頭に突っ込んでるんだぜ。しかも更新され続けてるときた」

「よく頭痛がしないよねー」

「偉い人達も勘弁してくれとは思ってるだろうけどな」

「絶対そうだよ」


 他愛のない会話をしたんだが……なんかダリル、悩んでね?

 妙に普段と雰囲気が違う気がするな。そんでダリルは、直で聞いた方がいいタイプ!


「なんか悩んでるっぽくね?」

「えっ⁉」

「ど、どうしてそう思ったの?」

「ダチだからさ! はは!」


 ダリルがぎょっと目を見開いたので、キメ顔をして答える。

 うーん分かりやすい。これは間違いありませんねえ。


「そっか……ケイ君はさ。僕が僕じゃなくなったらどう思う?」

「……うん?」

「ごめん。僕もこれで伝わる訳ないと思った。うーん……」

「あ、ひょっとしてー、いい感じの婿養子先が見つかりそうで、俺たちの関係が……的な?」


 なんかスゲー哲学的な問いを発せられたがなんとなく分かった!

 多分、上位の子爵家で婿養子先が見つかったけど、今まで通りの友達でいいよね? 的なニュアンスだ!

 そんでまだ表に出てない話だろうから、超小声で耳打ちする!


「そ、そう!」

「俺らがダチって事実は変わりねえ! 共に学院で汗を流した仲じゃないか!」

「だよね!」


 お互い小声でぼそぼそ喋るが、ダリルの言葉には力強さが宿っている。

 例え子爵だろうが伯爵飛ばして公爵だろうが、共に過ごした青春は不滅なのだ! これもまた友情!


「では再開しますよ!」

「しーん……」

「ケイ君、頑張ろう……」


 マナー講師の声で、夕日を背景にした友情の物語から現実に引き戻される。

 確かに少しの休憩と言ってたけど、もうちょっと時間をいただけませんかねえ。


 しかしマナー講習に妥協できないのは確かだ。

 二日は続く王城のイベントには、学院に通う子弟の親や王だって関わるから、ここで恥をかくわけにはいかない。

 どんなに頭が煮えようと、眩暈がしようと、白目を剥いても頑張れ俺!

 ま、主役はレアさん達や公爵家出身の子弟だから、俺らは後ろの方で子犬のように振舞えばいい。

 きゅーんくぅーん。


 それに王城で行なう行事で騒ぎが起きる筈もないから安心安全! 気楽に行こうぜガハハ!


 と言えればよかったんだけど、絶対になにか騒動起きるよなあ……。

 しゃあねえ気合入れて行こう!

よければ☆☆☆☆☆で評価していただけると心底嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ