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フォスター公爵家での一幕

「さて、少々変則的になってしまったが……」

「僕の方は兄が窓口になって、父が話を進めます。としか言えません」

「はは。だろうな」


 ひと騒動終わり、フォスター公爵家でお茶を頂いている俺は、レアさんの兄、ネイハムさんとお話をしている。

 だがイレギュラーな対応で転がり込んだ俺にはなんの権限もなく、ネイハムさんもそれを十分わかっているので苦笑するだけだ。


「ただ、妹の方から君の気持を第一にしてくれと念押しされていてね。手紙の内容から察するに問題は無いという認識だがどうかな?」

「個人的には願ってもない事ですが……レア様は自分でよろしいのですか?」

「勿論、です」

「妹がすまないね。言葉に詰まりはしたが、浮かれて地が出て……なんだ。分かっているようだ」

「自分も家の外と中では口の動きが違いますから」


 軽ーい様子見パンチが飛んできた。

 こっちはあくまで個人的な話だと前置きするが、ポエマーがこれからもよろしく的な挨拶を送った時点で、俺も承諾している様な物だからあまり気にせず口を開く。

 そんでもってレアさんはいつもの口調で話そうとしたが、非公式の場とは言えお兄さんがいるので、口調を慌てて改めたらしい。


 このネイハムさん、育ちがいいお坊ちゃま的美形だが、ポエマーの話を聞くにレアさんにとんでもない嫉妬心を抱き、兄妹仲は最悪らしい。

 しかし俺の前ではそんな様子をまるで見せないし、なんならちょっとフォローしてる……多分、レアさんの件が片付き始めたから、余裕が出来てるんだろうな。


 実際たまーにレアさんが、これ誰だ? 的な眼差しをネイハムさんに送ってる。

 年に一回か二回会う程度なら上手くいって、それ以上なら滅茶苦茶になるような関係だな。


「では私は独り言を呟く。次の上の方に提案したら非常に喜ばれた。まあ、父は多少渋るが話は上手く進むだろう。君が学院を卒業するころにははっきり形になっている筈だ」


 ネイハムさんの独り言はつまり、次の王であるゲオルグ殿下がこの件で喜んでいるから上手くいくが、お前は娘に相応しくないという、お約束的やり取りはちょーっとあるかもね。ということだ。


 もうそんなに話が進んでんのか。判断が早い。


「学院の次の行事は……王城でのパーティーだったな?」

「そうなります」

「今現在の王都は色々と面倒臭い。手間取らせた詫びにはならんが、私たちも出席予定だから妙な者が絡んでいたら誰か人をやって助けよう」

「ありがとうございます。よろしくお願いします」


 ネイハムさんの提案にありがたく感謝する。

 王都情勢は複雑怪奇なため、意味不明な角度から殴られることだってあり得る。そんな時に、海千山千の公爵家の人間が助けてくれるなら心強い限りだ。


「特に王都騎士団には気を付けてくれ。連中は悪い意味で鈍感だから、ウィンターの名前を出しても気にしないだろう」

「自分達の地位なら、何が起きてもなんとかなるだろう。という感じですか?」

「そうだ」


 ネイハムさんに強く頷く。

 非常に大きな影響力を持つ。もしくは死の危険を知らずに育った者達は、近くで爆発が起こっても逃げずに、原因は何だろうかと見に行くほど鈍感になる。

 だから手を出せばボロ雑巾になるのを理解せず、ポエマーに喧嘩を売る可能性すらある。

 もう既に揉めている俺は、十分な注意が必要だろう。


「いやしかしよかった。気を利かせ、度胸があり、政治的な判断も出来る。実にいい男ではないか」

「畏れ入ります」


 割と本心から褒めてくれてるネイハムさんに頭を下げた。

 レアさんを追い出しても、俺が下手やったら尻拭いに奔走する羽目になるから、馬鹿じゃあ困りますもんね。

 結構馬鹿なような気もするけど、まあ褒めてくれるんだからいいか。


 そんでもって俺からリップサービスは無し。

 多分この人、俺がフォスター家の継承問題に口を挟みませんから! なんていった日には、途端に疑心暗鬼になるようなタイプだ。

 妙なことは言わずに付かず離れずの行動を続けた方が、円滑なコミュニケーションを行なえると見た。


 これが眉と口元で何を言いたいか察しないといけない長兄と、ポエムを垂れ流す次兄に揉まれた俺の力だ!


「ネイハム様、失礼します」


 そんな時、部屋の外で待機していた使用人が、困ったような表情で中を窺ってきた。


「どうした?」

「ご当主様がすぐこちらに戻られているようでして……」

「ありがたいが早いな……やはり寝耳に水だったらしい」


 どうやらレアさんとネイハムさんのお父さん、現公爵が戻って来るらしい。

 そんでもって俺も急なお邪魔だったから、この辺りでいいだろう。


「大変美味しかったです。謝罪を受け入れてくださり、誠にありがとうございました」

「はは、こちらこそ助かった。また会おう。レア、御客人のお見送りを」

「はい兄様」


 若干冗談めかした口調で別れを告げると、ネイハムさんは笑顔を浮かべた。

 そんでレアさんだけが見送って、留守を預かってる当主代理のネイハムさんが部屋に残るってことはあれか。ネイハムさん的には玄関付近のやり取りを自分は認知しないから、いつも通りの調子でいいぞって感じだ。

 なら甘えさせてもらおう。


「それじゃあレアさん、また訓練頑張りましょう!」

「ふふ。うん、そうだね。頑張ろう」


 俺らの関係がどうなるかはまだ分からんが、同じ学院で励んでいる仲間には変わりがない!

 しゅたっと気軽に手を振って、満面の笑みを浮かべるレアさんと、フォスター公爵家を後にする。


 さて……。

 レアさんと結婚出来るとか、人生の幸運全部使いきった気がするからお払いに行こうと思ったけど、司祭ともついさっき揉めてたわ。

 じゃあ気にせず寝るか! わははは!

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