表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/41

学園せい、げふん。生活

「ぐええええええっ⁉」


 教官殿の素晴らしい一撃を腹に喰らって吹き飛ぶ僕ちゃん。

 ちったあ加減しろ!


「ほらほら。敵は待ってくれねえぞ」

「こいつどうしてやろうかなー。げへへ! みたいな時間はあると思います!」

「まあ、ないこともない」

「ぐえええええっ⁉」


 教官に異議を唱えながら木剣を振りかぶったはいいものの、また蹴りを受けて床をごろんごろんと転がる。


「お前らは現場の責任者になりやすい立場だ。簡単にやられたら部隊が崩れるぞー」

「こんちくしょう!」


 教官のド正論に頷かざるを得ない。

 高貴な者達は後ろで全体の指揮をするが、その指先として機能しなければならない俺たちは前線勤務だ。

 生き残る。部隊の指揮をする。後方からの命令は遂行する。つまり全部やらないといけない!


「ぐげえええっ⁉」


 だがまた吹き飛ばされる!

 だいたい、学院の教官なんぞは五徳クラスだろ⁉ 俺ら子爵、男爵連合は一徳か精々が二徳だぞ! 逆立ちしたまま地中を掘り進んでも勝てねえよ!

 でもなんか噂で聞いた話、そんな教官たちでも三大美女にボコられてるらしい。やっぱヤバいわ。


「お、いいな」

「くっ⁉」


 そんな中、我らが体力大将ダリルが何とか教官に食らいつている。

 流石はわが友。やる!


「しゃおらッッッッ!」


 感化された俺も再び教官に挑む。

 だが駄目! 無理! ぶげらっ!


「ぐへっ」

「しーん……」

「ゲロロロロ」


 既に死体となっている仲間達に手を伸ばす。

 す、すまない……我が友たちよ。お、俺はここまでのようだ……。

 っていうか教官マジバケモン。三十人くらいいる我ら連合軍を一人で相手にしてピンピンしてるじゃん。

 人類の限界値、五徳ってのはやっぱすげえもんだ。


「よし。これで終了だ」


 生傷だらけの俺ら死体連合に、教官が終了の合図を出す。

 起立、礼。ありがとうございやしたー。


「誰か傷薬持ってない? しゅっと吹き付けたら、一瞬で治る感じの奴」

「そりゃいいな。俺が実家の販路で広めてやるよ」

「俺も俺も」

「あったらな」


 ぐったりして横になり、青春軍団の会話を繰り広げる。

 あーあー。打ち身とか擦過傷だらけだわ。でもこれから座学があるんだよなー。


「まだ群雄割拠していた時代の三百年前の王、カール王は蜜リンゴ酒が好きだった。しかしそれを逆手に取られて毒殺されており」


 正攻法じゃ上手くいかないなら搦手ってのはよくある話っスよね。

 なおここ最近は触手ちゃん達も大人しいので結構暇だ。弾が切れたかな? いや、多分、定命と時間間隔が違うから俺がぶっ殺した連中が、まだよろしくやってると勘違いしてるかもなあ。


 あいたっ。

 腫れた場所が痛いわ。聖女様、よければ伝え聞く癒しの力を僕らにお恵みください。なんてのは流石に冗談。

 聖女の力で癒してもらおうと思えば、どでかい貴族が大金払う必要があるだろう。軽傷にそんな奇跡を……いや、日常的に怪我してる俺らを実験台にして、聖女の力の練習的な感じにすれば?

 まあ、そんなこと思っても意味は無いんですけどね。


 それを言ったら、名称的にどう考えても運用が前線になり得る聖勇者も、俺ら現場組と交流してほしい。

 お供しますから! みたいな話じゃなくてどれくらいの範囲にいたら危ないのか、危なくないか的な意味で。

 え⁉ ここって聖勇者の範囲攻撃内なんすか⁉ なんてことを実戦中に思いたくない。


 女神は……よくわからんねえ。

 奉ずる神の力を使えるとか言われてるけど、実はかなりやらかしてるらしい上に、どうも死んでるくさい神の力を使ったらどうなんだ?

 だいたい、相手の意思もはっきり分かってないんだから、借り受けても微々たるもんの気がする。


「以上で授業を終える」


 はっ⁉ 自分の考えに没頭していたのに、授業内容はきちんと記載していた!

 これが全自動授業方式⁉


 まあいい。さーて、今日は外に出ようかなー。


 ってな訳で鼻歌を披露しながら、レーオン中央学院の周囲で栄えている街に足を運ぶ。

 高貴なる方々は馬車で移動するが、俺みたいな貴族って言っていいの? に分類されるような奴は、自分の足で動くしかないし、街の方々も貧乏貴族に慣れているので気楽なものである。

 ま、金が無いんで碌に買い物も出来ないんですがね。はははははは。はは……。


「やっぱ都会は凄いわ」

「圧倒されるよね」

「多分探したら、伝説の武器がどっかに混ざってるな」

「これだけお店があったら本当にありそう」


 ダリルとあちこちの店を覗いては冷やかし、大都会に圧倒される。

 ど、どっかで飯を食ったら、とんでもない値段を請求されるんじゃ……。


 うんん?


「ここは……」


 少しだけ大通りから離れたところを歩くと、やたらとデカい屋敷を見つけてしまった。

 ってここ、話に聞くムフフなお店じゃねー⁉

 貴族の生徒が集う学院の街に超高級ムフフ店。しかも国営があるのは必然というべきか、同胞によればエロゲー? らしい仕組みとかなんとか。


 問題。学院の令嬢が在学中に出来ちゃった婚すればどうなるでしょうか?

 答え。シンプルにヤバイ。


 そんでこういう問題を起こす側は男と相場が決まっており、まあ、女側から仕掛けた例もあるにはあるが……。

 発散する場として国がムフフ店を作り、学院内で貴族同士のトラブルを避けましょうねー。と男共に言っているのである。

 勿論金が必要。俺には払えないから無縁。


「ケイ君。ここ、あれだよね」

「多分、あれだね。甘酸っぱい青春を期待してるいい子がいちゃ駄目なとこ」

「校舎裏でお手紙渡したり?」

「マジで憧れるわ。そういう訳で退散!」

「だねー」


 金があったとしても、俺に向いてるような場所じゃないから即退散!

 だがこういう場があることを知るのも社会見学なので、最近暇になっている精神世界で日記を纏めよう。


 ◆


 ◆


 ああ、嬉しい。

 役に立てる。

 女でよかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ