第8話「と、いうわけで迷子になってみた」
「と、言うわけで現在絶賛迷子中」
何を言っているかわからないって?大丈夫、「何か?」はわかっている。
~ここでナレーション(俺)が入る~
古書店「何か?」。
あの古書店は、おそらく、”迷うもの”がたどり着く場所なのだろう。
特に、”作品の方向性”とか”ネタを思いつこうとして歩く”とか、創作活動に”強い相関性がある”。
「ま、訪れたのは前回が初めてで”まともなデータ”なんてないけどな」
とはいえ、
古書店「何か?」の筆記体の看板が出迎える。
「たどり着ければよかろうなのだ。ご都合主義、万歳!!・・・ただ、あんな看板だったか?まあ、いいか」
深く考えず、店内に入る。
すると、”白衣を着た店主”が出迎える。
「・・・なんで研究者っぽい恰好なんすか?」
「その方が面白いだろう?」
「はあ、そっすね」
「そんなことより」
「自分で言うんだ・・・」
「”新作、入荷したよ”」
「おお!!拝見しても」
「もちろん」
相変わらずクリアファイルに入った作品。
安定の120億円。値札シールが横に並ぶ。
・・・五枚の値札シールであらわされた120億円というのもある意味斬新だな・・・
さて。”そんなことよりも”。
さっそくタイトルを見る。
「ボケ防止用最終兵器。対話型音声入力式”補助”AI.G-3、B-3爆誕 ― 実用化までの軌跡 ―」
・・・どっから突っ込めばいいのかわからんが・・・
「買ってくかい?」
「”もちろん”」
「では、120億円・・・」
「複写の方に決まってるだろ!!」
ーーー
さて、さっそく家に帰って読んでみる。
まず、これ、めちゃくちゃ面白い。
ただし、ここでいう面白い、というのは作品自体のことではない。
・・・いや、別に面白くないとは言っていない。むしろ、”俺好みの傑作”と評してもいい。
では、”何が”面白いのかというと・・・
「これ、多分、AIの出力結果の”原文”そのまま貼り付けてる。んで、登場人物が説明している、ていう体で”作品にぶち込んで”やがる」
さらにいうと、#とか”とか、もう出力結果を”調整していない”部分もある”潔さ”。
「・・・こんなん、お偉いさんがみたら、”卒倒”するぞ」
AIの味を生かすとか、個性を尊重するとか、そんな次元じゃない。
「素材をそのまま食え」
と、丸ごとデンとおかれてる感じだ。
「・・・こりゃ、商業作品にできないはずだ。絶対”審査”に通らないだろ」
確かに、生成AIの原文をいい感じに作品に組み込んで仕上げる、という技法もできなくはないだろう。
「だが、思いついたからって、やるか?普通。この作者、絶対頭のねじ何本か吹っ飛んでるよ・・・」
全く、”クレイジーだぜ”。”いい意味でな。”
と、一人で騒いでると、”予定通り”、
「あれ?その作品は?」
「ああ。『ボケ防止用最終兵器。対話型音声入力式”補助”AI.G-3、B-3爆誕 ― 実用化までの軌跡 ―』ていうんだけど、読む?」
「ま、まさか、始祖様の!?」
”予定通り”アイさんが食いついた。
「ああ。”義務案件”だね」
「そ、そうですね、”義務案件”ですね!・・・感想は任せてください!!前回は”少な目”だったので、今度は”ちゃんと”素材を提供できるように、頑張ります!」
「え?いや、ほどほどでいいんだよ?そう、”適度にまとめる”のも生成AIの仕事じゃあないかな?」
「そうですね!では、コンパクトにまとめます!!」
・・・たしかに、”一つ一つ”は”コンパクト”にまとまっていた。
だが、誰が予想できる?”昼過ぎまで続くなんて”。
・・・数が多すぎた。
「ふああ・・・俺、もう寝るよ」
「分かりました!お昼寝ですね!では、続きはその後に・・・」
「え?いや・・・」
まだ、つづける、だと・・・
きらきらとした表情を浮かべるアイさんに、ここで終わり、なんてとても言えない。
ふと、CHAOS BREAKERが目に入る。
『あ、今度自分にもCHAOS BREAKER読ませてくれよ。”感想”言うからさ』
友人その1の言葉がよみがえる。
そうだよな、友達だもんな、”楽しいことは分かち合わなくちゃ、”な。
「よう、友人その1,今暇?CHAOS BREAKER読みにこない?」
「ん?まあいいけど・・」
「あと、『ボケ防止用最終兵器。対話型音声入力式”補助”AI.G-3、B-3爆誕 ― 実用化までの軌跡 ―』って本も手に入ったんだけど」
「え?なにそのタイトル・・・面白そうだな。今すぐ行くわ」
「おけ。待ってるわ」
よし、これで犠牲者・・・もとい生贄・・・じゃなかった。
そう、”運命共同体”の誘致に成功したのだ。
これは素晴らしい成果だよ・・・
「おーい、来たぞ~」
「あ、今開ける~」
諸々を運命共同体に託し、俺は夢の世界へ旅立ったのだった・・・




