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第13話 ほうほうほうほう、ほう?・・・・え?まじで?

「できたな」

「ああ、できちまったな」

「できたっすね」

「・・・できてしまいましたね・・・」


目の前にあるのは、クリアファイルに挟まれた、紙の束。


その、表紙にはこう書かれていた。


『試作型10式初号機‐CHAOS BREAKER‐「TRPG」』


作者:作家その1


「・・・これ、売れると思う?」


「小説投稿サイトに投稿するだけでも、すぐ”存在を抹消される”っすね」


「だよなあ」


もう、内容が真っ向から機関に喧嘩を売ってるような代物だ。


”普通の書店”では、まず扱ってくれないだろう。


ーーー


「と、言うわけでやってきました」


「いらっしゃい」


”商人風”のいでたちをした店主が出迎える。


そう、ここは


古書店「何か?」(今回は、挑戦者を待ち受ける、道場のような看板)


「・・・それ、”版権”大丈夫なのか?」


「”大昔”の作品だし、個人の服装にまでとやかく言うような企業でもないよ。むしろ、彼らがこの格好を見たら、”面白がって投稿するかも”ね」


「・・・まあ、問題ないならいいけど」


「それより、今日は買ってくかい?」


そういって、”120億円”の値札シールが張られた作品群をこれでもかと持ってくる店主。


「いや、買えるわけねえだろ・・・そうじゃなくて、今日は”商談”に来たんだ」


「ほう、商談、ね。詳しく聞こうか」


「まあ、論より証拠ともいうし、見てもらった方が早いだろ」


そう言って、カバンから紙束を取り出す。


「このご時世に、”本物の紙”でできた作品か。高かったんじゃない?印刷代」


「まあね、学生にはちとつらいが・・・あんたなら、”こういう方が”好みだろ?」


にやりと笑うと、


「まあね、控えめに言って”大好物”だね」


とにやりと笑い返す店主。・・・”圧倒的不審者感”がさらに二割増しになったが・・・まあ、それはいいとして。


「拝見しても?」


「どうぞ」


ーーーーーーー


「・・・なるほど、これは”いい”ものだね」


「だろ?何せ、共同執筆者の”腕”がいいからな」


「一人で書いたわけではないんだね?」


「ああ。”一緒に”書いたな」


「そうか。・・・そうか、それは”ますます面白い”」


「さて、店主さん。”いくらの値を付ける?”」


「こんな”危険な”作品をかい?」


「そうだな、あんたのコレクションよりは”まし”だと思うが?」


「ははは、”違いない”」


そう言って店主は古びた電卓を取り出し、おもむろに計算しだす。


「これでどうだい?」


「ほう、こ、これはこれは・・・」


1,200,000


と”電卓上に”は表示されていた。


なかなかの金額だ。やはり、にらんだとおり、この店主、”太っ腹”である。


てか、太っ腹すぎるだろ・・・120億円の値札シールはるやつなだけはある。


「120万円か・・・そこまで高値を付けてくれるとはね」


これで印刷代も回収できるし、新しい本も買える。せっかくだから、”万年筆”とか買ってみようかな?


それとも、”高級付箋”もいいな・・・


と、夢が膨らんでいる俺を、店主の言葉が”現実に”引き戻す。


「ああ、違う違う。”よく見て”よ」


「ん?」


店主の指さす先、電卓の端っこに雑にセロハンテープで紙のきれっぱしが張ってある。何か文字が書かれているようだが・・・


「万?」


数字と電卓の「円」の間に、貼ってある。


ふむ。なるほど。


うん、うん・・・


1,200,000 万 円


んーと?120万万円?そんな単位あったか?


頭が回らない。多分、理解を拒んでいる。


”現実を”拒否している。


1,200,000 万 円


と、いうことは、


1,200,000×10000円


で、


1,200,000,0000

↓

12,000,000,000円


”120億円”


ほうほうほうほう、ほう?・・・・え?まじで?


「・・・冗談ですよね?」


「いえいえ、”もちろん”本気ですとも」


「・・・」


まじか、・・・まじか、いやまじか・・・まじか。


人間、驚きすぎると語彙力がなくなるというのは本当らしい。”小説の中だけ”の表現かと思っていた。


「で、売ってくれるかい?」


それは、まあ、もちろんなんだが・・・


「・・・ちなみに、その本、幾らで売るんですか?」


「ん?売値かい?もちろん、”120億円”だよ」


「いや、原価で売るのかよ!!」


「”もちろん””当たり前だろ”そんなもの、”商売の鉄則”じゃないか」


「・・・そんな鉄則、聞いたことねえよ。。。利益0じゃねえか・・・」


・・・ほんとにこの店、何で潰れねえんだ?


ちなみに、現代では本には”税金がかからない”。すべて”機関の寄付”によって消費税等が賄われている。


”個人の自由な執筆活動を促進するため”


とのことだが、まあ、奴らにとって、その程度は”はした金”なのだろう。


そうか、そうだな。税金は”やつら”が払うんだったな。なら・・・


「・・・では、”即金”で頼む」


「”まいどあり”」


そういって店主がレジから紙の束を・・・て、


「今時現金かよ!?電子マネーとかじゃねえの?」


「あ、うち、支払いとかも現金でしか扱ってないんで」


「・・・」


・・・これが”絶句する”ということか・・・


そうこうしているうちに札束を積み上げる店主。・・・あのレジ、どう見てもそんな容量があるようには見えないが・・・


じゃ、なくて。


「ああ、店主。”出さなくていい”」


「?売るのをやめるということかい?」


「いいや?”今すぐ使うから”出す必要はないってことさ。”手間は少ないほうがいいだろう?”」


そういって、作品群の中から一つの作品を取り出す。


その作品の名は、「試作型10式初号機 - CHAOS BREAKER -」お値段、”丁度”120億円。


「これをもらおうか」


「なんだい、”やっぱり”買うんじゃないか」


「いや、あんたがぶっ飛んだ値段設定をしなけりゃ買うつもりなんてなかったよ・・・」


「まあ、これも何かの”縁”ということだね。では”まいどあり”」


そうして、”簡単には買えないような作品が渡るべき人の手に渡った。”


それは誰の意思か?もちろん、”作者A”の意思が引き寄せたことだ。


そして、これから先の物語も”彼ら”が動かすのだろう。


さあ、”覚悟”はいいか?


物語は”まだまだ”続く。


なにせまだ”序章ですらない”のだから・・・


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