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第8話  幼き守護者

公宮には、百を超える皇貴・皇女が暮らしている。その下に仕える下女や下民は、その倍以上を優に超える数だ。

その中にあって、神楽坂セラ、姉の神楽坂カエラは皇女の中でも四天王の杯を持つ存在だ。

白律院の序列において彼女達はただの皇女ではなく選ばれた者だ。

 

「セラ、そのイケメンはなんだい、もっと早く寄越してくれよ」

「姉ちゃんにあげるとは言っていない。お前に従うのは玄冥げんめい玲乱れいらだろ。帰ったぞ」

 

黒と灰色のゆったりした拳法服を纏っているのは玄冥、玲乱は白と薄桃色の巫女風ワンピースでお迎えする。

 

「お帰りなさいませ」

「セラ皇女様」

「しっかり健康だな、お前らって白律院ユグの

弟子はまだしてるのか?」

「はい、ユグ様の元で」

「精進しております」

「セラ、玄冥と玲乱を貸してやってもいいぞ、ユグに負けたんだからな。二人を敵にするがいい」

「それはありがたい。ユグ、呼吸を教えてやる代わりに玄冥、玲乱を連れて帰ってもいいか」

「いいよ〜言っておくが二人は誰にも容赦しないよ、行ってきなさい玄冥、玲乱」

「承知しました、ユグさま」

「承知しました、セラさま」

 

玄冥、玲乱は紳士にこちらに協力してくれる。さすが神楽坂の従えるメイドだ。双子は戦闘対象になるみたいだ。

ユグがセラの肩をつんつんして興奮している。

 

「早速だセラ、私に呼吸を教えてくれ」

「おお、そうだった。ユグ丹田というおへその下に集中して力を入れろ。そして口から吸って、すううううう、吐いて、はああああああ」


白律院ユグがセラの真似をして大きく手をのばして吸って、吐いている。

 

「どうだ、酸素を吸って二酸化炭素を吐き出せたか」

白律院ユグはその場にへたりこみ、落胆してその顔はうるうるしている。


「、、、何も入ってこない、、ぴえん」

「やっぱり空気なんて必要ないんだよ。ユグには簡単じゃない、だけどなくても生きていけるだろ」

「本当に呼吸を必要としないんだな、不思議だ」

「、、空気という感覚を必要としてみたいんだ!!!君は治療できたのか、高瀬洸一くん、ぐちゃぐちゃにしてしまってごめんね」

「いや、それはそれはとてもえぐいほど痛かったですけど、ユグ様にとって呼吸は特別なんですか」

「ああ私が夢みる花の一種であり、夢のつぼみだよ」

白律院ユグが涙ながらに真剣に憧れを思っていることが伝わってくる。

 

「白律院は元々呼吸のいらないセレスタ星を持っている。ないものを手に入れたいと羨ましくもあり、ときに必要のないものだ。隣の芝生は青いのはユグにとっては隣の芝生を赤くするほど、喉から手が出るほど欲しているんだよ。だから私は手に入れれるまで探し出し、機会を与えてやっている」


スピ星定英雄譚でも思ったが、札を主食としたり、エネルギーにできたり尋常じゃなく星たちの特性が気鋭している。人間では通用しないことが当たり前なのだと思い知らされる。

スピ星人といつの間にか話している、一緒に過ごし明日を迎えている、そんな当たり前に心が躍っているんだ。


セラと玄冥、玲乱は白律院ユグと神楽坂カエラに見守られ白律院の隔絶区域から出る。そこには青色の星人が馬車を用意して下乗してくれるのだという、ここでの青星人は白律院が従える星人なのだ。


「うげっ分かりやすい宇宙人じゃん、マジでいるんだな」

「そうか、高瀬くんには初めてだったか。紹介する。マジの宇宙人です」

 

マジの血色の悪い宇宙人はぺこりときちんと90度のお辞儀を披露している。こちらもぺこりとお辞儀を返すとのりなさいと合図をしていた。

 

「玄冥、玲乱守りなさい。道中見繕いにあわずにね」

「御意、カエラさま」

「御意、カエラさま」


玄冥、玲乱は神楽坂カエラと白律院ユグに従える。ユグが先頭に立ち宣言している。


「セラ、次は新たなる呼吸法期待しているぞ」

「任せろって!次はとっておきの礼法呼吸習得してきてやる!では、高瀬くん、玄冥、玲乱向かおうじゃないか。私たちのアンフィックス《スピラ・フィールド》星定学園へ」


青星人が馬車を走らせていると、空気が固まった。静かだ、森林の風も匂いもしない、静かすぎる。ふと影走を見ると藩士が周りを従い続き数百人に囲まれている。


「なんだよ、あれ、、数が尋常じゃねえ」

玄冥、玲乱が警戒体制に入るとセラが悠々余裕に座っている。

 

「来たか、人の武士、黒峰藩暗殺衆、黒峰藩」

「黒峰藩ってなんだよ、どうみても人間のようだがスピ星人なのか」

「セラ様と高瀬さまは先にスペラフィールド」

「星定学園へ」

「あれはスピではない、ただの暗殺者だ」

セラが首を縦に振るなり、玄冥、玲乱が馬車後ろでセラと俺を守っている。


「お出ましだ!!黒峰藩暗殺衆筆頭、灰刀伊織《灰刃流・削り殺し》!!!」

 

灰刀伊織は道中を崩して地面を割ると玄冥、玲乱が真正面に、灰刀伊織は関節 、 内臓 、 骨、 神経の順で黒峰藩刀で抜刀していく。

玄冥、玲乱は交互に内家拳を喰らわせている。

伊織は黒峰藩刀でどれもが、気候のように避けていく。

 

「《玄冥・寸界穿》」

0.1秒で心臓直下を打ち抜く寸勁だ。玄冥と伊織は後ろに下がりながら崖から同時に飛び降りる。

 

「っふ、いいですね寸界穿ですか。ではこちらも《藩士流・首狩り十字》」

 

伊織は死角から交差する二刀の軌道で、玄冥の両足をごっそり切り落とす。


「うがああああああああああああああ」

「逃げ足ごと切る。これは一の手段だよ」

「お兄さまああああああああ、許さない、もう完全に玲乱が仕末する《玲乱・白律封界》」


玲乱が結界術で半径30mを完全遮断する。 

玲乱の術式簪《白命》が丸ごと伊織の内臓ごと

気圧で破いていく。玄冥が立ち上がり追うように術式手甲《冥掌》で伊織の呼吸を止めた。

 

「はあ、はあ、さすが我が妹よ」

「お兄さまもさすがです」

「白律、折れず」

「神楽、崩れず」

「我らの命に従って」


玄冥、玲乱は行いを律することを辞めない。

その名に白律院と神楽坂の命に従って。

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