第5話 無能
星定学園全域に警告音が響いた。
《――ノードブレーカー、発令》
空間に展開された表示が、シールド・レイターが赤く染まる。
《シールド反応二九三三、リリック怪奇異能反応確認。ノードブレーカー個体――座禅有識者型
頭部欠損、座断。北洋ゲート完全死滅。全星人、戦闘体制へ移行せよ》
……物騒すぎるだろ。
俺は優雅にラーメンを嗜んでいたはずだったが
啜る手がぴたりと止まる。
「え、今なんて?」
神楽坂セラが立ち上がり真剣に、
シールド・レイターの情報を監視している。
「来たぞ!!危険度、高難度。さあ勇者よ、
坐禅のハゲだ!ノードブレーカーが動いた!」
「坐禅のハゲって何だよ!?まさか頭部欠損って」
「勇者、私たちは星定英雄譚だ。放出されたら、即起動!それが決まりだ」
「いや、俺戦闘したくないんだけど」
「勇者にとって文明的に運命的に最低限度の使命だから、無理だね」
「健康で文化的な最低限度の生活みたいに言うな」
「ところで高瀬くん、制御兵装は持ってるのか?ノードブレーカー対処には必須だぞ」
「……装備?何もないぞ」
セラは思い出したように手を叩く。
「そうか、マリア委員長が言っていた第三管理棟に行こう」
「第三管理棟?」
「武器正装、レーション室だよ」
――第三管理棟・レーション室
星定学園における武器担保・制御装備室。
神楽坂は慣れているようだ。
「ここには、聖剣武器、長槍《星導槍》、血を媒介にする《血結ナイフ》、能力殺しの銃お札整備兵装等が整備されている。ただし使命によって、装備できるかどうかだ」
「使命によって?」
難易度高すぎないか。そう思いながら俺は星定ブレードに近づいた途端ふわりと光が浮かび天使の輪のような光輪が、俺の頭上に現れた。
「……え?」
次の瞬間、短剣が俺の手に収まっていた。
「高瀬くんやっぱり勇者は、《アンフィックス・ブレード》だよね」
「まじか、聖剣?」
「勇者にぴったりだな、不正解を切りまくればいいんだよ、高瀬くんの使命だ」
「まじでやるのかよ」
俺はここから始まる恐ろしい事例を出来るだけ避けたいと思った。
ノードブレーカー個体――座禅有識者型、座断。
真冬の雪が積もった中、坐禅を組んでいた。
神楽坂と俺は装備を持ち臨戦体制に入るが、
ノードブレーカー座断の様子がおかしい。
坐禅を組み、何かを唱えている。
「えー、最近は便利になりましてね。何でも自動で出てくる時代でございます。自動販売機、飲み物だけじゃありません。この前、駅前で見つけたんですよ「星人が選べる自動販売機」怪しいでしょ、選択するとゴロンと出てきます。ボタンが三つありましてね。子供、大人、おじいさん、話しかけてくるんですよ〜僕のコレクションを買いたいとゆう無能な勇者が、来てくれたのかな?」
坊さんのお経じゃなくて、落語の一節だ。噺家なのか?意味わからないけど、神楽坂を見るとビビって怯えながら数を数えている。
「こえー自販機からでてきたんだ」
「いやそこじゃねーだろ、神楽坂あいつが唱えてるのは」
「坐禅有識者型ノードブレーカーだ。物語を語ることで世界を侵食する。物語の中で星人たちは消費され犯されるんだ、勇者、行くしかない!!」
まじかと落胆するが、もう逃げ場はないと確信している。俺は星定ブレードを握り直した。
「アンフィックスの秩序を護るためだ。あの、
噺家さんそのお話もっと聞かせてくれないか」
「来ましたか、勇者!では初めから」
ーー座断の物語に吸い込まれていく。
「えー私たちは不思議なもので喧嘩を売られると腹が立つ。喧嘩を買われるともっと腹が立つ、ところが一番腹が立つのは何かと言いますと相手にされないことでございます」
――別の話だ。
「ある男は愛と勇気で勝とうとしますが、喧嘩において勝てないからじゃありません、相手にできないんです」
「傲慢で無能だからです」
声が少し低くなり、噺家は瞬間に俺の背後を取り
敷地内に全投下して、俺は無惨に内臓をもぐちゃぐちゃにした。
「ーーっんぐっ」
おえっおえええええ、見えねえなにも、、、
「高瀬くん!!」
「おや?おやおやおやおや?君はコレクションにもできないのか。ぴえんぴえん!!!」
座断は急変しと高笑いをする。
神楽坂は《星導槍》長槍でノードブレーカー座断を狙っている。
神楽坂は星導槍で座断を遮断するが、軽々飛び跳ねて全く効いていない、上に体感速度が早すぎる。神楽坂の背後と腹部にラウンダーキックが入り、神楽坂は屋敷に引きずり回される。見ていられない、神楽坂から両腕がもがれて
銃ももてず立とうにもふらふらな状態だ。
「あぁ、いてええええなああ!!!座断、、おい!!!こっちみろおおおおお」
俺は《アンフィックス・ブレード》に光を入れるよう集中し、
座断の体勢がぐるり顔面からこちらに来る。
アンフィックス・ブレードの威力は凄まじく屋敷全体に響く。
ブレードから青い威力で座断を切り刻んでいくが座断は逡巡避けながら、臨戦体制に入る。
物語の中に入る様に、様々な異形星人が出てくる。俺は大きくブレードを振り切り星人を破壊していくが、きりが無いくらいに出てくる。
「はあーあ面白くない。無能な上にちっぽけなんだ、君は愛と勇気で救いたいのかいいい???」
座断はブレードを折り軽々しく笑う。
「うっせえ…うるせえよおおお!!!」
俺は座断の視線だけに集中した、座断が目線の前に来る前に動け、動け、動け、動けええ!!!!
座断を真ん中から、右半身をブレードで切断。
効果は抜群で右半身を切られてよろめいている座断だが、笑みが絶えない。
座断より先に、先に、先行するんだ!!!!
俺の動きは座断の未来を予測していてアンフィックス・ブレードを背後から差し、刻み叩きこむ。
「自分を過信して!傲慢だねええええはあ、吐け、吐くがいい」
座断は不気味に笑っているが、なにやら呪文のように唱えている。
「、、やにかひめまねなひかのまらからたわ。それでは座断はお暇いたします、さようなら
無能な勇者」
別の物語の中に座談が消えた。俺はブレードで襲うが、何の感覚もなくなっていた。
ーーノードブレーカー座断は勝手に現れ、敷地を荒し撤退した。
神楽坂は血眼で俺を見ながら言った。
「無能がああああああああ!!!!」




