表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

第3話 使命覚醒

校庭の中央で、二人は睨み合っていた。

小佐田眼――オリグナ。

真壁なるた――ドラグル。


対立と摩擦、欲望と支配。

それぞれの使命が言葉より先に殺気となって

空間をピリつかせている。


「……来いよ、小佐田」


先に動いたのは真壁だった。

欲望のままに一直線に距離を詰める。


「っしゃあああああ!!」


拳が唸りを上げて、純粋な暴力が小佐田の肩にぶつかる。小佐田は正面から受け止め歯を食いしばった。だがオリグナは対立すればするほど強くなる。ぶつかり合う衝撃で、小佐田の身体を加速させていく。


「いいねええええ!!!!」


――小佐田の拳が真壁の腹部へと突き刺さった。


ズドンッ!!


真壁の身体が吹き飛び校舎の壁へ叩きつけられ、ガラスが砕け粉塵が舞った。


「――っう!」


小佐田は攻撃をすることを楽しみ、腹を抱えて笑い出した。


「はあっはっはっはっはっはあああ!!」


血を吐き、真壁はよろめきながら狂った高笑いを披露する。


「気持ちいいねえええ眼!もっとおいでよおお!」


完全にハイだ。欲望が限界を超えて溢れ出している。真壁は一気に距離を詰め、小佐田の両足を掴み回し始めた。


「なっ――!」

「回すのって、最高以上に月なんだよね」


そのまま引きずり回すように回転させ、

小佐田を空中に瞬発に飛ばす。


「くっそ、なるた!趣味悪いなああ!!!」


小佐田の身体が大気へ放り投げられたが、空中で体勢を立て直しそのまま踵を落とす。


「ーーーっらぁ!!」

足の甲が真壁の頭部へ直撃する。

「くはっっっ!」


それでも真壁は倒れず、血を流しながらも全興奮の欲望を身体の細部まで巡らせている。


「いいねええ!!もっと!もっとくれよ!」


……これが、欲望に呑まれるということか。

俺と神楽坂は校庭前の階段で戦闘を見ながら、

俺は大きく息を吸い吐き出す。


「対立と欲望やばいな…神楽坂、準備できてるか」

「もちろん、いつでも!!!」

「――放出する!!!」


校庭の空間が歪み、黒い裂け目が幾つも走る。

そこから足枷と鉄枷を引きずる者が現れた。


アンフィックス世界で拘束されていた

死刑囚――ノードブレーカー。


「……ああ?」

真壁が、楽しそうに目を細め黒い裂け目から

出てきたノードブレーカーを認識する。

「こいつらも真壁が用意したのか?随分余裕じゃねーか」

「はあ?用意するわけねーだろ」

「お前の為に助けに来たんじゃねーのか」

小佐田は血のついた口元を拭い、興奮し両腕を広げ叫びだす。

「ぷはっ面白いな、全員ぶち犯してやるよ!!!」

真壁の欲望が、完全に解き放たれる。

「己の欲望のままに!!」


オリグナの使命とドラグルの使命が激突し、

未確定世界アンフィックスの戦場と化していた。

 

***

 

――少し前、生徒統括室。

星定学園の中枢に位置するその部屋で、遠藤マリア委員長は静かにこちらを見上げる。


「マリア学級委員長、一つお願いがある」

「なんですか、高瀬洸一くん」


いつもと変わらぬ淡々と対応するが、その眼は情報を測る冷静な演算が走っていた。


「アンフィックスの死刑囚を貸してほしい」


室内の空気が凍った。マリア委員長は明確な疑問と警戒を送ってきた。


「……死刑囚をですか?理由を聞かせてください」

「オリグナとドラグルを解放するには、危険が足りない。彼らが使命を本気で全うするにはそれに見合う環境が必要だ」


「そのためにアンフィックスの死刑囚を対象にした、《使命覚醒プロセス》を行いたい」


「……使命覚醒プロセス?」


マリアが静かに言葉を反芻し、真剣に考えている。俺は視線を逸らさず続けた。


「ああ、対立によって成長するオリグナ。

欲望によって限界を越えるドラグル。

二人が、100%の能力を発揮せざるを得ない状況を作る。それは同時に今後のアンフィックスに必要な武器であり、圧力装置にもなり得る」


その瞬間マリアの口元がわずかに緩み、興奮の笑みだった。


「ふふ、悪人は正義にもなり得る。そういうことですか」

「ああ、アンフィックスの秩序と歴史を守るために。不正解を――正解にする。俺は二人の最大能力を解放しアンフィックスを正してみたくなったんだ」


マリアはしばらく沈黙し、立ち上がった。


「承知しました。これは国家機密に該当します

私の家系は国政に関与しています。お父様に掛け合ってみましょう」

「助かる。ありがとう、マリア委員長」


マリア委員長はくすりと笑い、そしてはっきりと断言する。


「ふふ……制御できるかしら、英雄達を。

――勇者、高瀬くん」


まだ知らなかった。この正解が学園と世界を、

どれほど危険な方向へ導くことになるのかを。


死刑囚――ノードブレーカー

御堂カナメが校庭に姿を現した瞬間


――ガァンッ!!

金属音とともに足枷がひしゃげた。

「……あー疲れたやっと出てこれたわぁ」


御堂カナメは引きずっていた足枷を軽々と引きちぎり、肩を鳴らし長い髪の隙間から覗く瞳は濁っていた。


「お前らのおかげだよ、褒美をあげようか

ーーもっとも、すぐにいなくなるけどね」


御堂は足枷と長い鉄格子を投げ、鉄の塊が校舎の壁に激突する。


ドォン!!

コンクリートが砕け、校舎の一部が崩壊した。


「――っ!」


御堂は瞬時に距離を詰め小佐田眼と真壁なるたの背後に足枷の鎖が絡みつき、二人の首を同時に締め上げた。


「っ……!」

「っつ……!」

真壁が歯を食いしばる。

「あああ?誰なんだよ!!!」

小佐田は血を吐きながらも笑った。

「……ぐちゃぐちゃにしてやるよ!」


真壁は《黒欲ハンマー》を制定し、欲望のまま肉弾戦で殴りかかる。

だが――ガンッ、グシャッ!!


御堂カナメは砕けた足枷と長い鉄枷を容赦なく振り、真壁を叩き潰し、真壁の腹部から血が飛び散る。


「真壁!!!」


真壁の身体は地面へと叩き込まれ地面が陥没し、身体は埋め込まれる。起き上がる気配はない。


「……っ」


その光景を前に、小佐田眼は――静かに目を閉じた。お札を口に咥えている。

呼吸が変わり周囲の音が遠ざかっていく。


「《フォント・アームズ》!!!」

――対立と試練。

――摩擦と成長。


小佐田の精神は完全な小佐田の結界領域へと入る。

そして、眼を開いた瞬間。御堂カナメの周囲を血の結界が包み込んだ。

御堂は肩を落とし、残念そうに笑みを浮かべる。


「はぁ、萎えるわぁ。僕狭いところ、ずっといたから大嫌いなんだよねぇ!!!」

「ここは!!俺の領域だあああ!!!」


小佐田は一歩血の結界の中へ踏み込む。

血と血がぶつかり合い摩擦を起こす、御堂カナメと真正面からの足枷の鎖と肉弾決闘が始まった。


「ノードブレーカー?はあ?知らねえよもいでやるよおお!!」


血の結界の中心で足枷と肉がぶつかる音が激しく耳を犯してくる。


次の瞬間――ズシュッ。血の刃が、御堂カナメの胸を貫いた。心臓――直撃。


「――っ」

御堂は血を吐きながらも、震える声が笑う。

「……はあいいねぇこんなに、快感だよ。

…ノードブレーカーはいずれアンフィックスを

お前達の正解ごと、踏み潰す」

そう言い残し御堂カナメは、静かに目を閉じた。

「はぁ、終わったか」

小佐田が肩で息をしながら言う。 

「ノードブレーカー、、なんなんだよ」


血の結界が解放され、校庭は何事もなかったかのように洗礼される。


「使命解放したあいつらは計り知れないな」

「……まじで、覚醒半端ねぇな」


俺と神楽坂セラは小佐田と真壁を確信したが

同時にじりじりと恐怖が襲ってきた。

隣では激戦を見届けていたマリア委員長が、満足そうに微笑んでいる。


ーー生徒統括室。

小佐田眼と真壁なるたは、マリア学級委員長に呼び出されていた。神聖な空気の中マリアは二人を見据えゆっくりと口を開く。


「アンフィックスで起きたノードブレーカー、御堂カナメとの戦闘。その対峙は実に見事でした」


マリア委員長ははっきりと頷きながら、小佐田と

真壁を射止める。


「今後もあなたたちには、暴れてもらいます」

小佐田と真壁が疑問を浮かべている。

「オリグナ星小佐田眼、ドラグル星真壁なるた」

「星定英雄譚へ、正式に歓迎します」

「はああああ!?」

「星定英雄譚!?」

「君たちはツインレイ!選ばれた側なのだよ」


横から、神楽坂セラが軽い調子で割り込んだ。


「使命を全うして、アンフィックスを守れ!!

ついでにスライムも倒すのだ」

「神楽坂の言うことは、適当に流していいぞ」


二人は混乱しながらも胸の奥で、確かな昂りを感じていた。ノードブレーカー、再び相まみえるであろう破壊者たち。

そして――この日確かに刻まれたのは新たな英雄の誕生だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ