S1E10 神民創成
1999年ーーアーリウス敷地・文明正解会議
ここは文明設計機関アンフィックの中枢。
高瀬 天継はアーリウスであり文明を正解にする、文明設計者である。
アンフィックス会議は天継の司令によって開催される。
円卓が並ぶ円形議場、天井には静かに回転する星図。議場にいるのは、各界の設計者、思想管理官、軍事統制者――アーリウス、プレシウス、シルディア、オリグナ、ドラグル、プレリナ、フリーヴァ七人の星人が並ぶ。
いずれも世界を裏から動かす者だ。
円卓の中央にはアンフィックス文明律動盤が浮かび、各地の情勢、経済波動が光の粒となって流れている。高瀬天継が立ち上がり命名する。
「アンフィックス会議を開始する」
プレシウスが告げる。
「現在ノードブレーカー発生率、前年比130%増ノードブレーカー、国家による発生が臨界点に近づいています」
ドラグルが報告し、律動盤に発生場所が光る。
「各国はノードブレーカーを即時死刑としています」
フリーヴァがシールドレイターを持つ。
「ノードブレーカーの情勢操作、統治形態の改変が必要です」
高瀬天継が静かに断言する。
「ノードブレーカーを抑える。文明第156条を名する」
円卓皆が沈黙する。
「神民創成。子をすべて、アンフィックスの神にする」
***
アーリウス子院回廊の廊下は静かで冷たい。
遠藤マリアは、メイドに付き添われ静かに歩いている。
反対側の廊下には数人の下女に囲まれた少年がいた、高瀬洸一。両手首と首元には、呪縛札が貼られていて、触れれば星術が逆流する制御印。
彼の周囲だけ空気が歪んでいた、近づけない、近づけば弾かれる程、男の子は厳重に管理されていた。高瀬洸一は目が黒く無表情だった。
感情を出せば札が反応して、アンフィックスを反転させる力を持っているそれほど強いアーリウスの神聖だった。神民創成で生き残った子供は僅かであり、厳重な神聖隔離を制限されている。
マリアは立ち止まり、洸一と視線が合う。
一瞬札が微かに揺らぎ痛々しく思った。
私たちは、もうここから出られない。
神民創成で生き残った子供は私たち以外いないのだから。逃げ道なんてない
アンフィックスの奴隷だ。
***
2050年――地下神殿型。
星定学園の地下深くにある星定層。七星機アストラ・コード。白基調・王冠モチーフのアーリウス機、黄金・天秤モチーフプレシウス機、透明装甲・データ粒子シルディア機、未完成変形体オリグナ機、重装・赤黒・ドラゴン紋様ドラグル機、細身・時計・リング型プレリナ機、非対称・ワープ型フリーヴァ機、七つの機体が円形装置に封印されている。
白い王冠を戴くアーリウス機の内部。
静寂の中、機体の脈動だけが低く響いている。
高瀬天継は、玉座のような操縦席で前方を見据えている。遠藤マリア委員長が監視していた。
「マリア、七星アストラ・コード機体、起動はどうなっている」
「はい天継さま。各機体誤差なく稼働、計画は順調です。ですが天継さま、現在高瀬洸一は記憶を失っています」
「失ったのではない、我々が切り離しただけだ」
「彼は今自分が何者かすら――」
「マリア、あの時に始末しておけば、お前の方が力を持っていたはずだ」
黄金の装飾を纏った神楽坂セラがシールド内に入る。
「そんな段階、もう過ぎてると思うけど?」
「プレシウス……神楽坂セラか」
「何が言いたいんだ」
「簡単よ、高瀬洸一はまだ未完成、選ばれる側ですらないアンフィックスを全破壊する人間よ」
「あの子に使命を思い出させるのは私にしかできなかったでしょ?」
「……神楽坂セラ、記憶の再構築はどこまで進んでいる」
「七割ってところね。残りは、コンタクトで埋めるわ」
「シルディア、マリア援護に入れ」
「承知」
高瀬天継がアーリウス機から、前方を睨んでいる。
「神民創成、アーリウスコンタクトを始動する」
遠藤マリアと神楽坂セラはその場に跪く。
「承知。アーリウスコンタクトを開始します」




