安寧
個人ランキング公式戦1位になってからというもの益々狙われる事が多くなった。
マスターの話だとPKする目的はデスペナルティーでレベルを下げてランキングを落とすのだという。
ちょっと待って!私のレベルが幾つだと思ってるの?と憤慨するとマスターは貴方の場合は嫌がらせかもねと笑みを浮かべる。
サブマスターにそれならとソロプレイのストーリーを進める事を提案されたので、ほとぼりが冷めるまで公園には近付かないと決めた。
ストーリーモードは種族や職業などにより様々な物語が進行していく。
種族は人族で職業は職人で年齢は推定0歳だが果たしてどんな物語が待ち受けているのだろう。
貴方の物語は存在しません。
何と?物語が無いと?普通ならストーリーモードをクリアすると二次職業になれる資格を得られるのだが?まあ良い私の物語はこれから紡いでいくとしよう。
急に暇になってしまい公園に近付かないと決めたばかりだが、戻って来るとサブマスターに白い目で見られていたのでストーリーは終わったと伝える。
マスターは暇ならギルド公式戦でSクラス昇格戦が有るというので参加する事にした。
そうだ!ギルド公式戦なら刺客に襲われる事はないじゃないか!とマスターとサブマスターに懇願するとピンチになったら救けるという条件で交渉が成立する。
Aクラスの21人との昇格戦が決まり開始まで各自に戦闘の準備をして私は会場の後方を陣取ると試合が始まった。
開始直後に団子の材料を広げ素早くこねこねして団子を作り上げるとミルクを沸かし茶葉を入れる。
茶碗に茶こしを被せ沸かしたミルクティーを注ぎ茶葉を取り除くとロイヤルミルクティーの完成だ。
さてと実食に移ろうとすると試合が終わってしまい後片付けをして撤収する事になり、もう少し気を遣って長引かせてくれても良いのだが、それは次の試合に期待しよう。
それにしても誰の邪魔も入らないのは作業に集中してより良い物が作れるというもので、この場所は私が求めていた安寧の地に違いない。
次の昇格戦が決まり何を作るか悩んでいたが、ふと対戦相手を見ると以前に沼の海に沈めた刺客を見つけ笑みを浮かべる。
きっと闇に潜んで死角から狙って来るだろうが、そうはさせないと過去のログからあの刺客を探し試合開始と共にロックオン状態にして下着姿にすると、何事も無かったように料理の準備を始める。
薬草で青汁を作り下着姿の刺客が持っていた麻痺薬を入れて麻痺青汁を完成させると一気に飲み干す。
直ぐに麻痺して動けなくなるが、どうせ戦う事は無いので効果が切れるまで試合を眺めていると麻痺耐性を獲得した。