激おこアキラ?
アキラ、悪魔を相手に闘います。
テシオンが解放した魔力に一同が驚いたそのとき、すごい速さでタヤンに近づき拳を入れた者がいた。アキラである。
「ブゲェ」
無様に吹っ飛ぶタヤン。
「久仁子ちゃんに怖い思いをさせたこと許さないぞ」
アキラは冷たく言い放つと追撃の中段回し蹴りを叩き込む。あまりの威力に悶絶するタヤン。「なぜだ? たかが人間の攻撃がこれほどまで効くとは……」。激しい痛みを感じながら困惑する。
「アキラの攻撃は聖属性だからな。お前のような心底真っ黒な悪魔にはめちゃくちゃ堪えるだろうよ」
テシオンが笑いながら言う。その言葉をタヤンは信じられない思いで聞いていた。「人間が聖属性? そんなことがあるのか」。
そんなタヤンにアキラは攻撃の手を休めず、得意の空手を使ってボコボコにしていく。
「クソ! 人間風情が調子に乗るな」
そう言ってタヤンが鋭く伸びた爪でアキラに攻撃を加えようとするが、それは虚しく空を切った。その間もアキラの攻撃が的確にタヤンを捕らえる。「人間と同じような姿をしている以上、急所も似ているはず」というアキラの読みは的中していた。
「待て、待ってくれ」
タヤンの懇願はアキラに届かない。フィニッシュとばかりにアキラは後ろ回し蹴りをタヤンの側頭部に決める。その蹴りが当たった瞬間、タヤンは「グゥ」と声を漏らしながら体が崩壊していく。
「すげえな。アキラの聖属性の攻撃。悪魔を消滅させられるんだ」
テシオンが感心して声を上げる。サタンをはじめとした幹部たちも驚いていた。
「アキラくん、料理だけでなく戦闘も優れているのですね」
マモンの言葉にサタンも同調する。
「アキラくんの料理は食べたいですが、攻撃は食らいたくありませんね。タヤンも気の毒に……」
盛り上がる魔界と違い、ツバラとノヒローは驚嘆しつつ焦りを感じていた。
「ちょっと待て。なぜ人間が悪魔を消滅させられるんだ? 聖水や祈りの言葉もなしに悪魔を撃退するなんて聞いたことがないぞ」
ノヒローは狼狽している。ツバラも「人間ごときが僕と同じ聖属性の攻撃ができるだって? ふざけるな!」と驚きつつ苛立ちを隠せない。
「ノヒロー様、ツバラ、助けて……」
そう言い残すとタヤンは完全に消滅した。あれだけ聖属性の攻撃を食らったのでは助けようがなかったというのが本当のところだ。
タヤンが消滅したのを見届けたテシオンがツバラに向かって鋭く言葉を投げかける。
「さて。あたしの相手はあんたでいいかい?」
そのときマモンが横から口を挟んだ。
「ちょっと待ってくれテシオン。その前に裏切り者を私が粛清する。少しだけ時間をくれ」
そう言いながらノヒローに厳しい視線を送る。
「魔界の次期頭首がどれほどのものか。その体にわからせてやる。ノヒロー、勝負だ」
「ふん。分身体と同じ目に遭わせてやる」
精一杯の強がりでノヒローも返したが、実際は絶望的な戦力差があることを理解している。それでも魔界の幹部を務めている者としての意地はあるようで、ツバラに向けて言葉を放つ。
「ツバラ、手出しは無用だ。マモンは私が始末する。貴殿はあの下級悪魔を蹂躙するがいい」
「ふ〜ん。ノヒローくん、腹を括ったみたいだね。わかった。マモンは任せるよ。とりあえずあの下級悪魔を瞬殺して、僕は他の幹部を殺るから」
ツバラはそう言うと、テシオンに向けて歩を進める。
「下級悪魔ごときが大天使である僕に勝てる道理はない。いくら魔力がすごくてもね。それもわからないから下級なんだろうね」
そう笑いながら言うツバラにテシオンはため息をつきながら言う。
「本当に救いようがないバカ天使だね。まぁいいさ。マモン様がノヒローを殺した後、あんたをじっくり料理してやるよ。勝負に水を差すわけにはいかないから、ちょっと待ってな」
味方ですら戦慄するほどの殺気を放つテシオン。ツバラはいまだテシオンの能力を甘く見ている。それが地獄のような時間を生みだすことも知らずに。
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