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戦争の原因?

悪魔も神も大人気ないのです

「それはやはり天上界の影響が大きいでしょうね」

 サタンがアキラの「悪魔がなぜ人間にとって悪の存在として認識されているのか」という疑問に答える。

「人間界にもあるのではないですか? たとえばアキラくんの知り合いを悪く言う人がいて、実際にその人に会ったら全然悪い人ではなかったというようなこと。それと同じようなことです。最初に争ったゼウスを含めた神は私たちをそれほど悪く思っていないはずです。いちおうキチンと手打ちしているわけですからね。でも当事者でない者からすると、天上界と揉めたという事実だけで、一方的に私たちを悪いと断じるのではないですかね? まぁ仕方がないことではあります」

 サタンの言葉を聞いてアキラは学校で流された噂について思いだしていた。「僕のことをよく知らないまま噂を信じた人たちと同じか。どこの世界でもあることなんだな」と感じていた。

「言うなれば私たちは人間界で言う警察や刑務所のような役割を担っているのですよ。悪人の魂を連れてきて、更生させたり束縛しているわけですからね。ですから決して悪の味方というわけではありません」

 人間界の警察機能を魔界が担当しているとなると、アキラにはひとつの疑問が生じた。

「サタンさん、そうだとしたら天上界と揉めた原因はなんだったのですか?」

 その問いにサタンはとても答えづらそうにしている。口ごもったサタンの代わりにアスモデが答える。

「それはゼウスが魔界に来たときの手土産が原因なのです」

「アスモデ部長! そのことは……」

 サタンが止めようとするが、おかまいなしにアスモデが話す。

「ゼウスが人間界で人気の『ジャガイモの山』『かぼちゃの里』というお菓子を持ってきたのですが、それを食べたサタン様とゼウスが『どちらが美味しいか?』で揉めたのです」

 人間界でも長いこと話題になっている「ジャガイモ、かぼちゃ論争」。争いごとの原因はまさかのお菓子であった。

「それで戦争にまで発展したのですか?」

 アキラが絶句する。アイリーも「私、お菓子が原因の戦争で死んだの?」と納得がいかない様子であった。戦争の発端を知らないまま戦っていたベルゼブブ、パズズも言葉を失う。しかしテシオンだけは違った。

「で、サタン様。どっち派?」

 テシオンの言葉にサタンが気まずそうに答える。

「私はジャガイモ派です」

「わかってんじゃん!」

 意気投合するテシオンとサタン。その様子を呆れて見ている幹部たち。

「お菓子のことで殺し合いにまで発展しますかね……」

 ベリアルが静かに口にする。その言葉に幹部たちは大きくうなずいている。アキラも「ちょっとなに言っているか、わからない」という状態。テシオンがそこで提案する。

「みんな納得いってないようだけど、じゃあ今から検証しようじゃないか」

 そう言うと、魔力を使ってジャガイモの山とかぼちゃの里を持ってくるテシオン。

「全員で食べて、サタン様の主張が正しいかどうか。戦争に発展したのがどうなのかを考えてみようよ!」

 お菓子で戦争なんてアホじゃなかろうか?と考える幹部たちであったが、とりあえず食してみる。2種類を食べ比べるとアスモデが口を開く。

「確かにサタン様の言うとおり、ジャガイモも美味しいですが私はかぼちゃが好きですね」

 それにベルゼブブが反論する。

「いや私はジャガイモが好きです」

 アザゼルもそれに同意するが、アバドンはアスモデの意見に賛成する。

「貴殿はわかっていない! このかぼちゃこそ至高のお菓子であろう」

「あなたこそわかっていませんね。ジャガイモのポリポリした感じ、これこそ究極のお菓子でしょう!」

 掴みかからんばかりの勢いで意見を交わす幹部たち。その様子をサタンは嬉しそうに見ている。

「みなさん、戦争になったのも仕方ないと理解していただけましたか?」

 その言葉に興奮していた幹部たちが静かになる。

「確かにこれはムキになるのもわかります」

「自分が好きなものを否定されたような気になって、思わず声を荒げてしまいました」

 そこでアキラが困惑した表情で「どっちも美味しいではダメなんですか?」と訊くと、全員がハッとした顔になった。

「むぅ……」

「確かに…」

 アキラの言葉にいちばんバツが悪そうな顔をしているのは、当然サタンだった。

「アキラくんと出会うのがもっと早ければ、天上界との戦争は避けられたかもしれませんね」

 人形型に変形してお菓子を食べていたアイリーも「そうだよ。サタン様、私なんのために死んだの!」と不満を漏らすが、お菓子を食べる手は止めなかった。

 静寂が部屋を包むなか、パズズは「でも俺はこのお菓子よりアキラくんのホットケーキのほうが美味しかと思う」と言うと、全員が深くうなずくのであった。

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