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悪魔は悪いの?

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アキラ、そもそもの疑問をぶつけます。

 カオルが真剣な、そして困惑した顔で部屋から出てきた。タカオ、奇跡、ユキヒロ、久仁子が側に来る。

「おじさん、アキラは? どうなんですか?」

 タカオの問いにカオルが医師から伝えられた言葉で答える。

「それが……体の傷はすっかり治っているらしいんだ。損傷していた内臓も問題ないらしい」

 その言葉を聞いて久仁子が安堵する。

「じゃあアキラさんは助かるんですね!」

 嬉しそうな久仁子。タカオや奇跡、ユキヒロもホッとした様子だ。

「ただ意識が戻らない。お医者さんも『この回復で意識が戻らないというのは見たことがない』と言っていたんだ」

 それを聞いてタカオが嫌な想像をしてしまう。

「まさかおじさん、アキラは植物状態なんてことは……」

「ちょっとお兄ちゃん! 変なこと言わないで」

 タカオの言葉に久仁子が声を荒げる。

「いや脳死というわけではないから植物状態ではないよ。それだけに意識が戻らないのが不思議で仕方がないという話だったんだ」

 カオルの言葉に全員が黙ってしまう。数分続いたのではないかという長い沈黙の後、奇跡が口を開く。

「大丈夫だよ。あれだけ優しいアキラっちだよ? 私たちを悲しませることをするわけがない。それにアキラっちは家のことをめちゃくちゃ頑張っていたじゃない」

 奇跡の言葉にカオルがうなずく。

「だから少しくらいお休みしてもいいじゃん。アキラっちの休憩時間だよ。そのうち『父さん、ごめん。すぐにご飯作るね』なんて目を覚ますよ」

 みんなを元気づけようとする奇跡の言葉に、カオルは「こういう子がアキラの友人でいてくれて本当にありがたいな」と感じる。

「そうだな。アキラは僕たちを悲しませない。それはあいつがいちばん嫌がることだからな。全快したらみんなでお祝いしなきゃね」

 明るくカオルが返して、この日は解散したのだった。

 カオルには今回の一連の出来事で腑に落ちないところがあった。まず犯人たちについて。警察から犯人確保の連絡が入ったが、全員が心神喪失状態。何を問いかけても反応がない。体の一部を欠損しており、ふつうなら痛みで声を上げてもいいはずなのに、そうした反応もない。

 次にアキラのこと。一晩で体の傷が完全に回復している。事故以前よりも良い状態にあるくらいだ。医学・薬学に詳しいカオルからすると、絶対に起こりえないことであることは承知している。「どういうことだろう?」。カオルの疑問は尽きなかった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 そのころアキラは魔界で料理を振舞っていた。今日のご飯はチキン南蛮だ。アキラの料理が大好きな悪魔たちであったが、チキン南蛮は特にお気に入りなようで絶賛の嵐だった。

「これはいつもの揚げ物とはまた違う美味しさがありますね」

 アスモデがそう言うと、パズズも同意する。

「アキラくん、もしかしたら俺はこれまでの料理でこのチキン南蛮がいちばん好きかもしれん。酢って美味しかね」

 相変わらず優しい彼らを見てアキラはひとつの疑問が生じた。それを素直に質問する。

「みなさんにお聞きしたいことがあります。僕はこれまで小説や映画、ゲームなんかで『悪魔は悪い存在』『悪魔は人類の敵』というような描かれた方をしていたので、ずっと怖いイメージがありました。でもみなさんを見ていると、とてもそんな悪い存在には思えないんです。悪魔ってなんなんですか?」

 アキラの言葉を聞いてテシオンは「そんなこと考えたこともなかった。そういえばそもそもあたしたちってどうやって生まれたんだろうな?」と疑問を持った。それにはサタンが答える。

「そうですね。もともとは私のように天上界にいた者が追放されて魔界に来た。いわゆる堕天使ですね。それが悪魔と言われる存在です。それ以外にも土地の神だった者が魔界に追いやられて悪魔と称されるようになったケースもあります。当然私たちを魔界に追いやった神などに対しては思うところはあります。でも人間から直接被害を受けたわけではないので、人間をどうこうしようというのは特にありませんよ」

 サタンの言葉を聞いてアキラはさらに質問する。

「だとしたら、どうして人間の間で『悪魔は悪い存在』というのが広まっているのでしょう?」

 それに対してサタンは「そうしたことに疑問を持つ、こういう人間が増えてくれるとありがたいですね」と考えながら答えていくのであった。

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