料理で強化される?
昨日は更新できなかったので、本日は2本更新します。
アキラの料理、とんでもないものです。
アザゼル、アバドン、レヴィアタン、ベルフェゴール……ノヒローを除くおもだった幹部たちが一室に集う。全員がアキラ作ホットケーキを無心で食べている。言葉を発さないものの思いは同じであった。「こんなに甘くて美味しいものがあったのか!」。
その様子を斥候クモで見ていたツバラは呆れていた。
「は〜、魔界に危機が迫っているというのに、みんなでおやつとか呑気なものだね」
以前パズズに音声傍受に特化したクモを潰されて以来、映像のみでの偵察であるがコージー城ののんびりした空気を見て「楽勝かな」と楽観的に考えている。
傍受に気づいていないコージー城では、悪魔たちが腹を膨れさせて満足気な表情を浮かべている。全員があまりの美味しさに恍惚としていた。そしてひと段落すると、サタンがあることに気づく。「私の内部に聖属性の力が宿っている。どういうことだ?」。そしてじっとアキラを凝視して、ひとつの事実に気づいた。
「信じられないかもしれませんが、アキラくんの料理を食べると聖属性の力が宿るようです。みなさんもそれを感じませんか?」
サタンの言葉に驚く幹部たちであったが、言われてみればこれまで感じたことがない聖なる力がわずかではあるが、体に宿っている感覚があった。
「サタン様、これはどういうことでしょうか?」
困惑しながらベルゼブブが尋ねる。サタンは「これは私の考えにすぎませんが」と前置きをして話す。
「おそらくアキラくんはこれまでの他人を思いやる人生の中で、自然と聖属性側の人間になっていたのではないでしょうか? 人間に属性がつくというのは滅多にあることではありませんが、絶対にないというわけではありません。そしてそのアキラくんが作ったものであれば、自然と聖属性を帯びたものになります。それを食したということは、私たちの体にも聖属性が宿っても不思議ではありません」
あまりの話にアキラ自身がいちばん驚いていた。「僕、美味しく作れるようにしていただけなんだけどな……」。さらにサタンの見解は続く。
「そう考えると、テシオンが回復魔法でアキラくんを治療したのも納得がいきます。日常的にアキラくんの料理を食べていたテシオンは、悪魔とは思えないくらい聖属性を帯びた状態にあるはずです。だから聖属性の回復魔法で消滅することなく治療ができたのでしょう」
テシオンは事態が飲み込めず、目をパチクリさせている。そんなテシオンを「こんな美味しいものを毎日食べているのか!」とバアルたちが羨ましそうに見ている。
「私たちが天使や神との戦闘で相性が悪いのは、聖属性の攻撃に弱いからです。しかしアキラくんの料理を食べて聖属性を帯びたいまの私たちならば、以前よりも攻撃に対する耐久性が上がっていると思いますよ。こんなに美味しいものを食べて強くなれるなんて、願ってもないことですね」
サタンの言葉を聞いて幹部たちは改めてアキラを尊敬の眼差しで見ている。アキラは気恥ずかしい思いながらも、自分が役に立っていることが嬉しかった。
「サタンさん、だったら戦いが始まるまで僕が作った料理を食べ続けたらみなさんが怪我をする可能性が低くなるということですか?」
アキラの問いにサタンが驚いた様子で声を上げる。
「アキラくん、作ってくれるのですか! 聖属性など関係なしにアキラくんの料理が食べられるならば大歓迎です。もちろん食べることで私たちは強化されますから、怪我を負う可能性は低くなります」
「だったらみなさんに美味しい料理を作りますね。それでみなさんが強くなるなら、首謀者も困るでしょうから。僕の大切な人に怖い思いをさせた首謀者を懲らしめたいです!」
アキラの力強い言葉に、幹部たちは「他人のためにここまで怒れるなんて」と感心するとともに「これほど美味しい料理を毎日食べられるのか!」と喜んでいた。
「ありがとうございます。アキラくん。魔界を代表してお礼を言わせてください」
サタンが優しい顔でそう答えると、テシオンが横から口を挟む。
「サタン様、アキラと出会ってさらに魔界まで連れてきたあたしの評価も上がりますよね? ボーナス期待してもいいですか?」
それを聞いてサタンは「あなたは本当にブレませんね」と言って呆れた顔をしたが、そこにいた全員爆笑するのであった。
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