ノヒローの憂鬱?
テシオンとアキラ、久々の登場です。
ツバラは腹を抱えて爆笑していた。その一方でノヒローとタヤンはなんとも言えない顔をしている。
「見た? 伝説の鍛冶屋、子孫が悪ドルとアクセサリー職人だって。パズズくんのあの顔!」
おかしくて仕方ないという感じで心からバカにして笑っている。
「美少女フィギアでどうやってロンギヌスの槍を防ぐんだろうね?」
斥候クモでパズズたちの様子を見ていたが、伝説の防具にたどり着くどころかアクセサリー職人に防具を作ってもらうという展開にツバラは笑いが止まらなかった。笑い続けるツバラにノヒローが声をかける。
「確かにロンギヌスの槍を防ぐことができる防具をあの悪魔が作ることはできないだろうが、それでもどういう防具ができるかわからないだろう。いまのうちにパズズを殺したほうがいいのではないか?」
笑いすぎて涙を流しているツバラ。笑いが収まらないまま答える。
「ノヒローくん、わかってないなぁ」
不確定要素を排除したいノヒローは不満気な顔をする。
「いいかい? あんなアクセサリー職人が作ろうとしている防具にパズズくんは望みを託しているんだよ。彼からするとこれでどうにかできるかもしれないと思っているのさ。だからあえて防具が完成した後にその防具ごと葬ることで、サタンたちに絶望を与えるの。自分たちの策なんてなんの役にも立たないことを知らしめるためにね」
つい先日までの慎重なツバラはどこにいったのか。マモンを殺して以来、天使が変わったかのように狂気じみた感じになっている。
「僕の剣とブーメラン。そして本物のロンギヌスの槍。負ける要素がないでしょう?」
ツバラの言葉には説得力があるとは感じるが、それでももう少し慎重になってもいいのではないか?とノヒローは考える。しかしマモンとの闘いで戦力にならなかった自分の言葉が届くとは思えない。
「貴殿がそう言うのであれば、とりあえず静観しよう」
そう返すのがやっとであった。
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パズズが防具のできあがりを待っているころ、テシオンとアキラはサタンの居宅があるコージー城を訪れていた。
「テシオン、恥ずかしながら帰ってまいりました」
その声にサタン、アスモデ、ベルゼブブが振り返る。
「テシオン、おかえりなさい……ってどうしてアキラくんがここにいるのですか?」
サタンが驚きの声を上げる。
「アキラ、友達を怖い目に遭わせた今回の首謀者がどうしても許せないから、一発ぶん殴りたいそうなので連れてきました」
テシオンの返事に幹部一同驚きを隠せない。そのなかでベルゼブブがアキラに声をかける。
「アキラくん、はじめまして。ベルゼブブと申します。あなたの料理、大変美味しかったです。魔界へようこそ」
続けてアスモデもアキラに話しかける。
「アキラくん、私はテシオンの直属の上司であるアスモデです。あなたの料理、とても感動しました。そして今回の事故、事前に防げず申し訳ありませんでした」
そう言って頭を深々と下げるアスモデにアキラは笑顔で答える。
「アスモデさんのせいではありませんよ。悪いのは今回のことを企んだ悪魔と大天使です。僕の大切な友人を危ない目に遭わせた奴らが許せないので、テシオンに無理を言って連れてきてもらいました。お邪魔かもしれませんが、よろしくお願いします」
アスモデ以上に深く頭を下げるアキラ。その姿に幹部たちは感銘を受ける。そこでサタンが危惧することをテシオンにぶつける。
「テシオン、アキラくんが魔界に来ることはかまわないのですが。肉体と離れすぎているのではありませんか?」
その心配をテシオンは笑い飛ばす。
「大丈夫ですよ、サタン様。そこはゼウスさんが守ってくれているので」
「ゼウスですって?」
テシオンは病室であった一連の出来事を報告した。ゼウスが現れてアキラの治療を申し出たこと。ツバラという大天使が首謀者で、彼を殺しても問題にならないこと。テシオンが回復魔法でアキラを治療したこと。報告を聞いてサタンたちはさらに驚く。
「あなた聖魔法を使って治療って……」
絶句するサタンとアスモデ、ベルゼブブ。
「いや〜、あたしもさすがにちょっと無理かもと途中で思ったんですけど、なんとかなりましたよ」
そう言って笑うテシオンを見て、改めてその規格外な能力に「敵に回らなくて本当に良かった」と思う3人であった。
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