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伝説の防具?

ロンギヌスの槍にどう対抗するか? 悪魔たちが悩みます。

 サタンがマモンの死を察知してから間もなく、マモンの遺体が発見されサタンの居宅へと運ばれてきた。遺体についた傷を見て、アスモデが疑問を口にする。

「これは……この傷は見たことがないものですね」

 その疑問にベルゼブブが答える。

「ロンギヌスの槍による傷に似ている気がします」

 天上界と8万年ほど前に揉めた際、ロンギヌスの槍を振るう大天使ミカエルの姿をベルゼブブは見たことがあった。傷を負わされた悪魔たちの体には、マモンに付いている傷と似たような焼けただれた跡があったことを思いだしていた。

「独断専行で動いているということは、おそらくその大天使は無断でロンギヌスの槍を持ちだしているのではないでしょうか」

 ベルゼブブが私見を述べる。サタンもその意見に同意する。

「そうなると無断で宝物を持ちだしたことに対するペナルティがあるはずです。それをうやむやにするには、魔界を完全に掌握してそれを手土産にするしかないでしょう。敵の本気度がわかりますね」

 そうサタンが口にしたことで、集まった幹部(アスモデ、ベルゼブブ、パズズ)が気を引き締める。

 その様子を斥候クモで見ていたツバラは「バレちゃったね。バレたところでどうすることもできないだろうけど」と楽しそうに笑っている。

「ロンギヌスの槍……対抗できるとしたらデモンズシールドしかありませんね」

 アスモデが口にする。魔界屈指の鍛冶屋が作ったとされる盾。それがデモンズシールドだが、現在ではどこにあるのか誰も知らない。実物を見たことがある悪魔が少ないこともあり、なかば都市伝説のような扱いになっている。つまり対抗できる防具が、現状存在しないということであった。

「こちらがどんだけ攻勢に回って有利になっても、一発で逆転される可能性のあるもんね。ちょっと厄介やね。マモンもやられとうし」

 パズズがお手上げといった感じで話す。幹部たちに沈黙が流れる。漫画やアニメでもないかぎり相手の攻撃をすべてガードしたり躱したりということはあり得ない。致命傷となる一撃を避けながら、何発か貰いながらこちらの攻撃を当てる。そういった攻防になるが、ロンギヌスの槍の場合、すべての攻撃が致命傷になりかねない。

「すべての攻撃を躱す、ガードする。まぁ現実的ではないですよね」

 アスモデもパズズの意見に同意しているが、ふと思いつく。

「そういえば、伝説の鍛冶屋の血を引く者がいたはずです。その者ならばどうにかできるのではないでしょうか?」

 もちろん伝説の防具ほどのクオリティは求めていない。完全にロンギヌスの槍を防ぐことはできなくていい。数発耐えられるだけでいいのだ。

「その者はどこに?」

 ベルゼブブの問いにアスモデが答える。

「確か魔界の極東にいたはずです。まだそこにいるかはわかりませんが」

 それを聞いてパズズが「自分が行く」と言いだした。

「極東ね。東部から中部にかけて、いちばん詳しいのは俺やろうけん。ちょっと探してくっばい」

 パズズの申し出をサタンはありがたく受け取る。

「すみませんね、パズズ。ぜひともその鍛冶屋を見つけてください」

「任せとって。みんなに良か報告のできるごと、頑張って探してくるけん」

 そう言い残すとパズズはサタンの居宅を出て、東の方に向かっていった。

「さてパズズが単独行動に移ったな。ツバラ、どうする?」

 ノヒローの問いにツバラは目を輝かせながら答える。

「う〜ん、面白いから少し泳がせてみようか」

 自由に行動させて伝説の鍛冶屋の血脈を持つ者と出会ったら厄介なことになるのではないか? そう心配するノヒローが眉を顰めるとケラケラとツバラが笑う。

「いいじゃない。実際に伝説の鍛冶屋に会ったとき、パズズくんがどういう反応するか見てみたいんだよ。殺すのはその後でも遅くないしぃ」

 マモンを殺して余裕ができたからか、慎重派のツバラとは思えない発言をする。しかし魔界転覆の主導権はいまやツバラの手にある。ノヒローもタヤンも何も言えないのであった。

パズズVSツバラ。開戦間近です。

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