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許可の理由は?

強制解魂を許可するサタンの真意は?

「サタン様、本気で強制解魂を許可するのですか?」

「ええ。かまいません」

 極めて冷静にサタンが答える。テシオンは静かに「ありがとうございます」と礼を述べる。アスモデとテシオンに向けてサタンは許可の理由を説明する。

「アキラくんが事故に遭った件ですが、魔界の反対勢力はいっさい関係ないという可能性もゼロではありません。ただ暴走したバカな人間が起こしたという可能性ですね。しかしこのタイミングでこのようなことが起こった。偶然にしてはできすぎています。まず間違いなく魔界の誰かによって仕組まれたことでしょう。そうだとしたら私たちが禁忌である手段を使ってでも対処するという厳しい姿勢を敵に見せないといけません」

 こちらの本気度合いを敵に知らしめるための強制解魂。確かに筋は通っているかもしれない。しかしそのことで表向き敵対していない天上界と揉めたのでは、敵が増えるばかりで状況は悪くなる一方である。アスモデはそのことを気にかけていた。

「しかしサタン様。この状況で天上界と対立するのはよろしくないのでは?」

「確かに敵対する可能性はあります。しかしその可能性を把握しながらも強制解魂に踏み切ったという姿勢を敵方に見せつける必要があると私は判断しています」

 その言葉をテシオンとアスモデは静かに聞いていた。するとサタンはさらに言葉を続ける。

「魔界の揉め事であれば、魔界の中で決着をつければいいことです。それにより魔界の住人に多少の被害が出るというのは、望ましくはありませんが仕方がない側面もあります。しかしまったく関係ない人間界に被害が及ぶというのであれば、これはもう魔界内に収めていい問題ではありません。このことを放置するほうが、よほど天上界との関係が悪化すると私は思いますよ。この問題に『あれだけ厳しい対処をした』という事実を作る。それが大切です」

 穏やかに話すサタンだったが、ここで怒りの感情を見せる。

「それにね。私も怒っているのですよ。あれだけ我々に細やかな気遣いを見せてくれているアキラくんを傷つけられたこと。なんなら私がこの手で直接制裁を下したいくらいにね」

 魔界の長が見せる激しい怒りにアスモデは凍りつく思いがした。しかしテシオンは眉ひとつ動かさず、静かに話を聞き続けていた。

「テシオン。徹底的に容赦なく強制解魂を実行してください。実行後は幹部含めて話をしたいので、魔界に一旦戻るように」

「わかりました。ご許可いただきありがとうございます」

 そこで通信は途絶えた。テシオンはさっそく犯人に繋がる手がかりを探しに行ったようだ。アスモデが冷や汗をかきながら頭を抱える。

「しかし強制解魂ですか……。前例がないだけにどのような処理をすればいいのか」

 アスモデの苦悩をサタンは心配ないと笑って否定する。

「大丈夫ですよ。アスモデ部長であれば問題なく片付けられます。それに禁忌といっても、それは私たちが勝手に設定していただけです。それも『実行したら天上界と揉めるのではないか?』と予想してね。実際ゼウスから禁止されているというわけでもありませんし。まったく揉めない可能性もあると私は思いますよ」

「そうでしょうか。だとしたらいいのですが……」

 そこまで話すとサタンは沈んだ表情になり、「それよりも」と言葉を繋げた。

「心配なのはテシオンです。あなたも見たでしょう? 彼女、まったく表情を変えることがありませんでした。怒りの感情を見せてくれるのであればまだ安心でしたが、まったく感情を見せてくれなかった。あれだけ喜怒哀楽がハッキリしていて、表情がクルクル変わるあの子がですよ?」

 同じことをアスモデも考えていた。これまでテシオンはその豊かな感情を見せて、周りの空気を明るくしていた。だから結果が出ていないときでも、幹部たちは彼女に心を開いていたのだ。

「溜め込んだ感情が爆発したときどうなるか。あの圧倒的な力を感情のままに解放したとしたら……。まぁ敵さんにはお気の毒なことになるでしょうね」

 サタンの言葉にアスモデも全面同意する。「テシオンの全力。私でも危ないでしょうね」。そう考えると、また背筋が寒くなる。

「アスモデ部長。とりあえず我々はいつも以上に強固な結界を張れるようにしておかなければなりません。彼女が全力で暴れた場合、魔界そのものが消滅する可能性がありますからね。結界外に被害が出ないよう、それこそ悪魔の歴史にないレベルで結界を張らないといけませんよ」

 サタンの示唆した可能性はじゅうぶんにあり得る話であった。青い顔のままアスモデは「すぐに幹部会議を行いましょう。事情を知らない幹部たちにもこれまでの経緯を説明しないといけません」と提案する。

「お願いしますね」。そうサタンは返して、自室へと戻っていった。

テシオン大暴れの予感

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