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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
暗躍する悪魔たち
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悪魔が揚げ物好きな理由?

魔界の食事は決して美味しくありません。

 サタンからの緊急連絡を受けてテシオンは緊張していた。「魔界で新たな動きがあったのだろう。こちらにも影響を及ぼすかもしれない」とアキラたちが危険に巻き込まれるかもしれないと思ったのだ。しかし連絡内容は予想もしないものだった。

「アキラくんには非常に申し訳ないのですが、食事を送る際は5人分お願いできないか訊いてみてください」

「はい? えーと、サタン様。これ非常時に使用する緊急テレパシーで送るような内容ですか?」

「当たり前です! 私の分しか食事がない場合、アスモデ部長、マモン、ベルゼブブ、パズズが敵方に寝返ると断言してます」

「なにやってるんすか、あんたたち……」

 思わず呆れてしまうテシオン。しかし幹部たちに寝返られるわけにもいかない。

「わかりました。アキラにお願いしてみます。でももしダメならば潔く寝返られておいてください」

「!」

「嘘ですよ。あの子のことだから『わかったよ』と笑顔で答えると思います」

「くれぐれも頼みましたよ」

 サタンからの連絡事項をアキラに伝えると苦笑しながら、「本当に僕の料理でいいの? 作る分にはかまわないけど」と了承してくれた。アキラは自分の料理が評価されてうれしいいっぽう、サタン訪問のときから疑問に思っていたことをテシオンに尋ねる。

「テシオンって揚げ物が好きじゃない? それってテシオン個人の好みだと思っていたのだけど、悪魔って揚げ物が好きなの?」

「う〜ん、大概の悪魔は揚げ物好きかも。というのも魔界の食べ物でああいうサクサクした食感の食べ物がないんだよ。サクッとした歯ごたえと噛んだ後にジュワッと広がる旨味。ああいうのは初体験だったな」

「ふだんどんなものを食べているのさ?」

「人間界の食べ物でいうと焼肉が近いかな。でも旨味は全然人間界の肉に及ばないし、ネチャッとした感じの噛みごたえなんだよ。魔界ではそれがふつうだったからなんとも思わなかったけど、アキラの料理を食べてしまうともう魔界のものは食べたくないな」

 焼肉なのにネチャッとしているというのがアキラにはどうにも理解できなかったが、魔界の食べ物があまり美味しくないことだけはわかった。

「だったらサタンさんに送る料理、頑張って作らないとね。この間かなり深刻な話をしていたんでしょう? 疲れているだろうから元気になる料理を美味しく作らないと」

 そう言って優しく笑うアキラを見てテシオンは心が温かくなった。それと同時に「絶対にアキラには手出しさせないぞ」と改めて強く思うのであった。

「どうしたのテシオン? 顔がちょっと怖いよ」

「あ! イヤイヤ。今日の晩御飯に何をリクエストしようかなと真剣に考えていたもので」

 そう言って頭を搔くテシオン。アキラは笑いながら「今日は豚しゃぶにする」と答えた。

「豚しゃぶ? それはどういう料理なんだ?」

「簡単だよ。豚肉を軽く茹でるような感じ。ポン酢やゴマだれで食べると美味しいんだ。ここのところ揚げ物ばかりだったから、たまにはサッパリとね。豚肉が特売で安かったし」

「豚肉の料理か。トンカツもいいけど、それはそれで美味しそうだな」

 アキラの説明を聞いてテシオンはよだれを垂らす。その様子を見て「気が早いなぁ」と笑うアキラ。ふとテシオンは真面目な表情になりアキラに注意を促す。

「アキラ。高校生の君に言うようなことではないかもしれないけど、学校の行き帰りには注意するんだぞ」

「どうしたの、急に?」

 まさか「魔界の連中が君を狙っているかもしれないから」なんて言えるわけもない。

「いや、最近物騒な事件が多いからな。アキラになにかあったら、カーくんもあたしも悲しむから」

「心配してくれているんだ。ありがとうね」

 もちろん自分が万全の構えでアキラを守るつもりではあるが、正体不明の敵がどのような手段で来るかもわからない状況だけに心配になるテシオン。だからといって深刻な空気を出しすぎてもいけない。

「アキラの料理が食べられなくなったら、あたしもサタン様も人生が終わるからな」

 そう言って空気を和ませるテシオン。

「もう! 腹ペコ悪魔さんたちはしょうがないな」

 アキラは笑いながら、夕食の準備を始める。テシオンとサタンの心配が的中するのは、このもう少し後になるのであった。

アキラの身に起こる不幸。その話は2話後になる予定です。

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