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悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
暗躍する悪魔たち
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魔人?

ヒデキの前にまた悪魔が現れます

 石井ヒデキは悩んでいた。望んだわけではないにしろ、テシオンと契約を結んでしまったため魂を拘束されている。そのためアキラに手出しをできなくなってしまった。それでも彼は一縷の望みを託していた。「一度広がった噂がそう簡単に終息するわけがない」。そう踏んでいたのだが、それも学年ダントツトップの成績を誇る浅井タモツによって打ち砕かれた。現状アキラを陥れる手段がないのだ。「このままではアヤメをアキラに取られてしまうかもしれない」。そう思うと気持ちばかりが焦ってしまう。しかしテシオンにかけられた四肢や指が切断される呪いのようなアザがあるかぎり、どうすることもできない。

「クソ、アキラを消せるならばなんでもやるのに……」。そう呟くが、有効な手段は見つからない。

「本当になんでもやるのか?」。ヒデキの頭に声が響く。「なんだいまのは?」。ヒデキが怪訝な顔をしていると、目の前に毒々しい色の体をした不気味な男が姿を現す。

「俺はタヤン。悪魔だ。お前、本当になんでもやるのか?」

 テシオンと同様、音もなく姿を現した悪魔・タヤン。彼は一度テシオンに痛い目に遭わされて以来、復讐の機会を伺っていた。その悪魔がヒデキの元に現れたのだ。

「悪魔? もう騙されないぞ。前に来たテシオンとかいう悪魔には無理やり契約させられたんだ。そのおかげで俺はどうにもならない状況にいるんだからな」

「石井ヒデキ。お前のことは聞いている。そうか。あまりにも不利な契約だから不思議に思っていたが、お前は騙されたのか」

 タヤンはそこで自分がいかにテシオンを恨みに思っているかを話した。

「どうだ? お前は上條アキラを憎んでいる。そして俺はテシオンを憎んでいる。利害が一致するとは思わないか?」

 タヤンの申し出に納得する部分はあるものの「それでも悪魔だからな。油断はならない」。そう考えるヒデキ。

「それで? どうすれば俺は自由になれるというんだ。前の契約をどうにか破棄して、お前と契約を結び直すとでもいうのか? それだと結局、俺の魂は死んだ後にお前の好きになるわけだから、俺としてはあまり望ましくない」

 ヒデキの問いにタヤンが答える。

「いや前の契約を俺の契約で上書きすることはできない。それは二重契約ということになって、俺もお前も地獄の長・サタンに即刻消されてしまう」

「じゃあどうするっていうんだ!」

 声を荒げるヒデキにタヤンが囁く。

「魔人になるんだよ」

「魔人?」

 タヤンの突拍子もない答えにヒデキは驚きを隠せない。

「人間としてのお前の魂はテシオンのものだ。これは契約上どうしようもない。しかしお前が魔人になるというのであれば別だ。人間ではなくなるわけだからな」

 一理あるような気はするが、さすがに「人間でなくなるというのはリスクが大きすぎるような気がする」とヒデキは考える。

「でも魔人になることのデメリットがあるだろう」

「お前は気づいていないかもしれないが、人間界にも魔人はそこそこいるんだ。お前は日常で『こいつは魔人だ!』とか『こいつは人間じゃない』と感じたことはあるか? ないだろう? 人間に紛れてふつうに生活することは可能だ。そういう意味ではリスクはないな」

「そういう意味ということは、ほかに何かリスクがあるのだろう?」

 ヒデキの問いかけに、タヤンはひと呼吸置いて答える。

「そうだな。それはお前が死後、必ず魔界、お前らが言うところの地獄にしか行けなくなるということだ。これからの行ない次第で天国に行ける可能性があるのに、それを失ってしまうという。それがリスクだな」

「俺が魔人になったとして、テシオンの契約がなくなる。それは俺にとってメリットではあるが、お前側のメリットはなんだ? それがあるように思えないが」

 腐っても学年トップを維持していたヒデキである。この提案に穴があることに気づいていた。

「そうだな。お前が上條アキラを潰した後に協力してもらいたいことがある。それさえやってくれるというなら、俺にとって大きなメリットがある」

「どういうことだ?」

「魔界の乗っ取りに協力しろ」

 いきなりスケールが壮大になってしまい理解が追いつかないヒデキ。困惑する彼にタヤンが続ける。

「俺はある方の意向でお前のところに来ている。その方はサタンによる独裁体制がひどく気に入らなくてな。俺もそうだが、同じように独裁体制に不満を持つ悪魔を集めて、機が熟したら魔界を乗っ取る計画なんだ。協力者は一人でも多いほうがいい。乗っ取るとなると、当然激しい戦いが起こるだろう。そのときにお前にも戦力として加わってほしいのさ」

 戸惑うヒデキ。「戦力として協力したとして、その後はどうなる?」「乗っ取りが上手くいかなかった場合、俺はどうなる?」。頭の中をグルグルとそういう考えで渦巻く。

「いますぐ返事しろとは言わない。そうだな。一週間後、また来よう。そのときまでに考えをまとめておいてくれ」

 そう言い残すとタヤンの姿は忽然と消えた。しばらくしてヒデキは冷静になる。「これだけ重要な秘密を知ってしまったんだ。協力しないと答えたら俺は消されるんじゃないのか?」。その不安は的中していた。タヤンは協力しないとなった場合、ヒデキを消すつもりであった。

「どうしろっていうんだ。なんで俺ばかり」。ヒデキはテシオンとはまた別の悩みを抱えることになるのであった。

ヒデキはどのような決断を下すのか?

ご意見、ご感想など頂戴できると励みになります。よろしくお願いいたします。

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