表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔が来たりてお母さん?  作者: ももらら
充実ライフ!
47/128

決着、それですか?

手加減テシオンとカオルのスパーリングです

「オス、お願いします」

 そう言って体の前で腕を交差して挨拶するカオル。テシオンと一定の距離を取りながら牽制するように前蹴りを出す。迫る足をこともなげに片手で払うテシオン。返す刀で左の正拳をカオルに放つ。カオルはそれをガードすると、先ほど払われた左脚を上段に蹴りこむ。紙一重のスウェーで躱し、テシオンは距離を取る。ここまでの攻防がわずか5秒ほどで行われた。

 竹原は「形はめちゃくちゃだけど、アイさんは攻撃だけではなくガードも上手いな」と感心している。アキラは「父さんが死にませんように」と神に祈る気持ちで見ている。アキラの友人たちは目の前でスパーリングがあまりにハイレベルなため理解が追いつかない。ただ「とにかくすごいことが起こっている」と感じている。

「やるなぁアイちゃん。すごいよ」

「カーくんもすごいじゃん。じゃあ今度はこっちからいくよ」

 そうやりとりを交わした後、テシオンが上段回し蹴りを放つ。カオルは的確に両手でガードしようと頭部を守るが、テシオンは蹴りの途中で脚を変化させガラ空きのボディに向けて蹴りこむ。その蹴りを跳ねあげたスネでガードするカオル。「あの蹴りを防ぐのか!」。竹原は驚いた。「上條、全然衰えてないな。選手時代よりも動きが洗練されている感すらあるぞ」。

「へえ、いまのが当たらないんだ」

 テシオンも驚いたようだが、「じゃあこれはどう?」と言って上段に前蹴りを放つ。それをダッキング気味にカオルが避けたところで、脚をピタリと止めカカト落としに変化させる。とっさにカオルは頭部をずらし、右肩でそれを受ける。

「タカ、アイ姐すごいね」

 そう漏らす奇跡にタカオが反応する。

「ああ。だけどおじさんもすごいよ。アイ姐の攻撃に対しての反応が異常だ。動体視力がめちゃくちゃいいんだろうな」

 タカオの見立ては当たっていた。カオルの攻撃自体は、空手家として上の下といったところだがガードに関しては超のつく一級品。竹原は「上條にはまともに攻撃が当たらないし、当たっても効いているような手応えがないんだよな。本当に変わってないな」とタカオの言葉を聞きながら考えていた。

 テシオンは人間界に来てから、初めて自分の攻撃で倒れない人間がいることに驚いていた。「手加減しているとはいえ、あたしの攻撃をこうも見事に受けるなんてね」。そう思いつつ「ちょっとだけ本気出しちゃおうかな」と考えてしまう。アキラに散々釘を刺されているのだが、闘ううちに楽しくなってきてその言葉を忘れかけていたのだ。

 しかし決着は唐突に訪れた。テシオンが少しだけ本気になった上段回し蹴りを放つと、カオルは「これは受けるとヤバい。回避するしかない」と判断して、体をねじるように避けたのだがグキッという鈍い音がしてその場に倒れこんだのだ。

「父さん!」

 アキラが心配して大きな声を上げる。

「痛タタタ。なんか背中を変な方に捻った。すまんアキラ、助け起こしてくれ」

「もう! いい歳なんだから無理しちゃダメだよ」

 さすがに現役の選手でもないカオルが急に激しい運動をすることには無理があったのだ。そこは中年。どうあがいても中年なのだ。

「上條、お前さすがに年齢を考えろよ。あんな動き現役バリバリのときでもキツイのに。久しぶりのスパーリングでやることじゃないぞ」

 竹原も呆れている。その反面、このような決着になったことが残念でもあるようだ。

「いや、軽くのつもりだったんだけど。アイちゃんがあまりに強いから思わずな。まぁあのままでも5分はもたなかったと思うけど」

「あたしもカーくんがこんなに強いと思ってなかったからムキになった。ごめん」

 まさかのギックリ腰決着にタカオたちも「すごいものを見た気はするけど、どこか釈然としない」という気持ちになっていた。

「イケオジとはいえ中年だもんね」

 クララが言うと、カノンや奇跡、タカオが笑う。タモツやアヤメ、チエリは空手を知らないだけによくわかっていないが「それでもいまのスパーリングはすごいレベルだったんだ」と感じている。5人組は「この間のパーティーで親父さんにぶっ飛ばされなくて本当に良かった。師匠ほどじゃないにしろ、親父さんもじゅうぶんに化け物だ」と胸をなで下ろしている。

 ユキヒロはというと、テシオンに「あの変化する蹴りはどうやってやるんですか?」「前蹴りを捌いたガードのやり方を教えてください」と質問攻め。久仁子は「上條さんの道着姿、カッコいい」と見惚れている。

「こんなので本当に良かったのかな?」とアキラは思いながらテシオンを見ると、ユキヒロに熱心に指導していた。「うん、まぁグダグダだったけど良かったんだよね」と思い直すことにした。

 後日、その場にいたアキラの友人たち全員が竹原の道場に入門したのはアキラには意外だったが、それによってアキラやカオル、テシオンも道場に通うことになるのであった。

竹原師範の強さがまったくわからないままですが、いずれそれについても書きたいと思います。

ご意見やご感想など頂戴できたら励みになります。よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ